Queen 『Greatest Hits, Vols. 1 & 2』
「もちろん」とあえて記すほど、クイーンは僕にとって、とっても特別な存在。
最初に彼らの曲を聴いたのは、多分、4〜5歳のころ。僕には、ひとまわり年の離れた兄がいる。つまり、僕がまだ物心つくかつかないかといった頃、兄はちょうど思春期のまっただ中。当然、大方の思春期の男子の傾向と同様、学校から帰宅すれば家の中はロックミュージックが鳴り響く…そんな状況の中で暮らしていたお陰で、期せずして日常的にクイーンの曲を聴き続けることになったのである。
自分で意識してクイーンを聴くようになったのは、小学校高学年のころ。どんなきっかけで聴き始めたのか…確かな記憶はないが、たぶん、1980年前後のラジカセブームの影響だったのではないかと思う。世の中でラジカセがブームだったかどうかは定かではないが、当時の「僕にとっての全世界」だった「クラス」の中では間違いなく、そんなブームが巻き起こっていた。みな競い合うように最新型のモデルを手に入れては友達を家に招いて自慢する…音楽やラジオを聴くため、というよりも、ただ「カッコいいラジカセを持っている自分」をアピールしたかっただけの。。。
僕も同じような理由で、親にねだって最新型のラジカセを買ってもらった。そして迷わず、クイーンのアルバムを手に入れた。もちろん、カセットテープで。それがこの「グレイテスト・ヒッツ」というわけ。正確には、ここで紹介している2枚組ではなくて、現在で言うところの「グレイテイスト・ヒッツ1」(下で紹介してます)にあたるものだ。しかし、クイーンのファンの方なら良くご存知だろうが、この「グレイテスト・ヒッツ」シリーズは、発売国によって、収録曲の内容が異なっている。
僕が持っていたカセット版には、現在入手可能な盤ではほぼ収録されている「Bicycle Race」「Seven Seas of Rhye」が未収録であった代わりに、日本語歌詞が話題になった「手をとりあって」とデヴィッド・ボーイとの涙ものの競演が聴ける「Under Pressure」が収録されていた。僕にとっては、この2曲との出逢いがとても重要だった、と今になって振り返ると、そう強く思う。もし、これらの曲をあの年代で聴いていなければ、クイーンに対する印象はまた違ったものになっていたに違いないから(「手をとりあって」は、日本版の「グレイテスト・ヒッツ1」にのみ収録されている模様。「Under Pressure」は「グレイテスト・ヒッツ2」に収録されている率が高い。どちらも名曲。特に「Under Pressure」は個人的に、ボーイのベスト・パフォーマンスでは? とさえ感じさてしまうほどのお気に入り)。
クイーンの楽曲そのものから受けた直接的な影響——例えばフレーズが似ているとか和音の構成に影響された…など——は、あまり深くないかもしれない。
だがしかし、クイーンの最も偉大だと感じさせる部分——すなわち、楽曲のスケールの大きさとロマンティシズム——この点については、多大なる影響を受けたといっていいだろう。僕も作曲家の端くれとして、やるからには、大きな会場に似合う壮大なスケールを持った曲が書きたい…このグレイテイスト・ヒッツを聴くと、そうした想いを強く抱く。このアルバムに収録されているほとんどは、とにかく、ライブ映えする曲が多い。イングランドのウェンブリースタジアムで10万人大合唱…そんな現象をうみだせるアーティストは、数十年に渡るロック史を遡っても数えるほどしかいないだろう。決してマニアックになり過ぎす、かといってポピュラーすぎず…そのバランスがなんとも素晴らしい。そして…ステージ上でみせる、ちょっぴり「どんくさい感じ」もまた憎めない。まさに、愛されるべくして愛されたバンドである。
今でも、過去にとりためたクイーンのライブビデオをみては、号泣している(笑)。特に、フレディーの追悼ライブの記録映像は、涙なくしては見ることができない。
彼が逝ったのは、ちょうど、僕が音楽の道を本気で歩みだした二十歳のとき。当時通っていた学校で、その日のスポーツ新聞のトップに掲載された訃報を回し読みしたのを覚えている。そのころ、僕はクイーンから少し遠ざかっていて、彼の訃報には、正直、驚きも特別な感情もわかなったのだけれど、CDを聴いたりライブ映像などで振り返るにつれ、大きな存在をなくした寂しさを実感させられていった。
その追悼ライブ…ファンの間では有名な話題だが、あのジョージ・マイケルが歌った「somebody to love」(邦題:愛にすべてを)…フレディが乗り移ったかのような、素晴らしいパフォーマンスだった(この後、ジョージ・マイケルがクイーンに加入するんじゃないかと噂されたほど)。この模様は、「Gratest hits III」に収録されている。CDで聴いても、その感動は十二分に伝わってくる内容だ。
小学生のころ、クイーンの来日公演にいったことがる。まだ屋根がなくて空が見渡せた西武球場でみたクイーン…1曲目、派手なサーチライトの演出で始まった「フラッシュゴードンのテーマ」くらいしか覚えていないのが情けないところ(笑)。
昨今、クイーンが話題になることしばしば…いい傾向ですね(笑)。だけど、僕は、リアルタイムに彼らのことを知っている。そして、あまり覚えてないにせよ、同じ空間を共有したことがある…それだけで、何か誇れるような気分にさせてくれる。
今、少なからず自分も表現する立場になった。いつも心がけているのは「あの日、あんな作品をみたんだよ」…僕の仕事を体験してくれた人が、いつかそんな風に、誰かに話しをしてくれたら嬉しいな、と…。そう、今こうして、僕がクイーンのことについて語っているように。



