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2006年10月10日

【感想紹介】PopulouSCAPE @ BankART1929 その2

「なんだろ、これ。
 何を感じたかもよくわからないのだけど、
 最後には泣いてしまった。」


http://d.hatena.ne.jp/huili/20061008/p2


注)以上、「」内のコメントは、リンク先ブログ本文より引用。


PopulouSCAPEの感想用スレッド、その2。
あまりに嬉しい感想をご紹介いただいていたので、
改めて新しく立ててみました。
 
 

この感想をいただいて、
なんだか、僕の心の中に、温かいものを感じました。
本当に、凄く凄く凄く、嬉しい。
今、少し、うれし泣きしてしまっています(苦笑)。


「何を感じたかよくわからないのだけれど、
 最後には泣いてしまった」


憧れていた偉大なるアーティスト達の仕事を通じて、
僕も、同じような経験があります。


「この歌に、どんな想い出もないのに、思わず。。。」


そんな出来事が、まさか僕の仕事を通じて、誰かに感じてもらえるなんて。。。光栄です。

愛知万博のときは、上映時間との兼ね合いもあって、期待したほどのリアクションは得られませんでした。
■ 愛・地球博出展のお知らせ
http://www.kawasekohske.info/PS3/


けれど、PopulouSCAPE感想紹介スレッドその1でも紹介しているように、確かにこの作品を見てくれていた方にとっては、とっても想い出深い出来事として記憶して頂いていたようです。


【感想紹介】 PopulouSCAPE


そう、見ていただければ、きっと、様々なことを思い浮かべてもらえるはずなんです。この作品は。


作品が完成したとき、本当に、この仕事に携われて光栄だと思いました。その達成感が万博でどれだけ皆さんに伝わるか。。。結果はあまり満たされず仕舞いでした。


でも、こうして今、少しずつ、皆さんの声が届き始めている。それが、本当に嬉しくてたまらないのです。


2006年10月31日まで行われているBankART1929での上映では、投影された映像の大きさ、音響とも、今までの上映の中でも、最も充実した環境となっています。


■ PopulouSCAPE @ BankART1929
http://www.kawasekohske.info/PB3/

■ PopulouSCAPE|ポピュラスケープ 公式サイト
http://www.populouscape.com/


BankARTでの展示空間——薄暗い部屋の中で、PopulouSCAPEとあなたが、一対一で対峙する——は、じっくり作品を満喫していただくに相応しい場となっています。そして、作品鑑賞を通じて、みなさんの心象に様々な思いが蘇ってくることでしょう。それが何かは。。。僕にはわかりません。皆さんの記憶の中に眠る風景ですから。様々な風景が呼び覚まされたからこそ、こころ揺さぶられるのでしょう。理由もなく、こみ上げてくるものを感じる。。。何を隠そう、この僕自身も、この作品を作りながら、なんど嗚咽を漏らしたことか。そして未だに、自分でみても鳥肌が立つときさえあります。とんだ幸せ者ですね(苦笑)


9月のアルス・エレクトロニカ(オーストリア、リンツ)での上映に続いて、この後、来年にかけて、海外での上映も決まり始めています。まず来月には韓国で。そして、来年は、イギリスとフランスでの上映が予定されています。


もっともっと、沢山の声が聞きたい。


作者の一員として、この作品に対する興味は、恐らく、一生尽きることはないでしょう。

みなさんの声を聞かせてください。
まだまだ足りません。
だって僕は、誰よりも欲張りなんですから(笑)。

2006年10月02日

Kate Bush 「This Woman's Work」

The Sensual World
Kate Bush
B0000026IP

 
 
 なんだか、出かける前から、妙な寂しさを覚えていた。
 あれはいったい、なんだったのか?


 雨が降っていたから? 
 夜、遅い時間に遠くまで出かける用事があったから? 
 まだ身体の調子が思わしくなかったから?


 何か、心細い感じが少し。。。。


 そんな気持ちのまま、目的地へ向けて車を走らせた。
 
 

 今夜は、翌朝に行う予定だった作業を、無理を言って、前倒しにしてもらったのだ。夜の方が、移動の時間がかからないし、翌日からの業務を改めて見直してみると、この方が何かと都合がいいと思って。。。体調も、予想以上に早めに回復してきたことだし、今晩、済ませてしまおう、と。。。

 約束の1時間30分前に出発。先日から、よく聞いているKate Bushのアルバム「THE SENSUAL WORLD」をBGMに、1時間ほどのドライブ。

 10曲目。「This Woman's Work」に差し掛かったとき、明らかに、心揺さぶられるものを感じた。

 もともと、この曲は、名曲である。心揺さぶられるのは当然。だが、ただ感動する。。。というのではなく、何か、それ以上のものがそのとき、僕に届いたような気がした。

 それから目的地に到着するまで、アルバムはその曲をリピートすることになる。何度繰り返して聴いただろう。しまいには、突然にまた、こみ上げてくるものが。。。


 これまで、ずっと大切に抱えていたものが、時間がたって、少し色あせてきて。。。


 今まで言葉にならなかった思いが、少し、形を見せてきたような。。。


 途中の交差点で停車したとき、そんなことをぼんやり考えていた。
 そうこうしていると、目の前には目的地が。。。
 仕事の時間だ。


 薄暗い地下室で独り、黙々と作業。。。今晩のこの、空虚な地下室の感じは、若かりし頃の、なぜかコンサートや音楽劇の制作進行をやることになった時代のときのことを僕に思い出させてくれた。劇場やギャラリーの、人気のなくなった時間帯もまた、妙に心地よかったりする。深夜の楽屋口。。。独り薄暗く長い通路を、疲れた身体をいたわるように、少しうつむき加減で通り抜け、寝静まった街中に出るときのあの感じだ。満場の会場から沸き上がる喝采とは対照的な静けさ。。。舞台が上手く行ったときの充実感。。。終演後、自分の仕事に戻るために打ち上げにもでられず楽屋口を駆け足で駆け抜けていったときの寂しさ。。。そんな青い時代の想い出がいくつも浮かんできた。

 滞りなく作業が終了したのは。。。多分、22時前。作業時間にして30分ほどだったろうか。それから、居残って作業に立ち会ってくださったスタッフさんとしばし談笑?したのち、家路へ。すっかりあたりは、激しい雨が。。。ちょっとだけ、また寂しい気分。。。

 イグニッションキーをまわすと、車内にはもちろん「This Woman's Work」が再び流れ出す。。。帰り道は結局、ずっとこの曲を聴いていた。

 雨の影響で、普段よりも遥かに低速走行を強いられた第三京浜。僕は法定速度をキープしたまま走行車線を安全運転。たけど、こんな状況でも急ぐ車は後を絶たない。僕の目の前を、何台もの車が右往左往しながら通り抜けていった。赤いテールランプが描く軌跡は、まるで、流星群の尾っぽを見ているようで、それぞれ違ったスピードで、僕を取り囲むように目の前を駆け抜けていく。僕の車だけ、どこか別の世界にいるような錯覚さえ覚えた。


 ずっと大切に抱えていたものが、時間がたって、少し色あせてきて。。。


 なんだかわからない、自分を抑制していた何かから、ようやく、抜け出せそうな気がした。いや、抜け出さないといけない。。。。今夜のどうしようもないこの気持ちは、きっと僕に、そのことを気付かせようとしてくれていたに違いない。


 「This Woman's Work」


 この曲に、どんな想い出もないのに。。。
 言葉の意味だって、感じようとしていないのに。。。


 本当に、音楽の力は、計り知れない。

 だからこそ、僕は、今も音楽を続けているのだろう。


Kate Bush「This Woman's Work」
アルバム「The Sensual World」より