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2007年08月29日

アトリエにて


 
 
写真は、「ひびのこづえperformance @ 水戸芸術館」のためのオリジナル・サウンドトラック作曲中に使用していたトイピアノ。このトイピと共に、昼夜問わず、アトリエに独り閉じこもって作曲作曲作曲!
 
 

 

このトイピアノはもちろん、自分の声、オモチャの楽器やギター、ウクレレ、ピアニカ、リコーダー…イメージにあう音色を探して、延々と独り演奏&録音を繰り返す日々…思い出すだけで思わずうっとりしてしまうほど、何とも官能的で濃密な幸せな時間だった。作業中のアトリエの様子を写真に収めていたのだが、それらを見かえすと、この一ト月の出来事が鮮明に蘇ってくる——写真は瞬間を切り取ると同時に、そのときの心の中に抱いていた「想い」をそこに永遠に封じ込める。
 
 
構想1週間——実作業2週間——最終調整丸3日。加えて、機材トラブルに泣かされること1週間——作業開始直前、ハードディクスがクラッシュ! さらに、手をケガするという事故にも見舞われ…。データは飛ぶは出血して楽器が演奏できくなるは(かすり傷程度だったけど)、エピソードには事欠かない不遇な滑り出しに、何事もそう簡単に幕が開くはずはないことを改めて痛感。しかしそのとき既に、脳裏には薄らと「これだけ追い込まれたら、きっといいものができるに違いない」と、ナルシスティックだかマゾヒスティックだかヒロイックだかわからぬ妄想が瞬時に沸き上がってきていた。一ト月前から作業を始めて、本番1週間前に27分30秒の濃密で繊細な、そしていつものように、どうしようもなくロマンティックな世界が完成! 結果にはだいぶ満足している。作品を発表する際には欠かさない作業——お客さんに観てもらうまでの道筋を細密に練り上げる——をいつも以上に入念に行い、ほぼその通りの内容に仕上ったように思う。
 
去る8月18日には、水戸芸術館で現在開催中のひびのこづえ展「ひびのこづえの品品 たしひきのあんばい」のオープニングを飾るイベントとして、最初のパフォーマンスを無事に終えた(出演:近藤良平)。きっと喜んでもらえたに違いない。出演者、スタッフ、全ての関係者の努力が実った瞬間。終演時、素直にそう感じることができた。
 
来る9月23日にもまたパフォーマンスが行われる(出演:森山開次)。今度もまた、全く別の表情を見せることだろう。このパフォーマンスを一番楽しみにしているのは、何を隠そう、この僕自身(笑)。仕事であるにも関わらず、これだけお客さんの気分に浸らせてくれる機会も珍しい。皆さんも、是非! 詳しくは下記を。
 
 
【ひびのこづえperformance @ 水戸芸術館】
http://www.kawasekohske.info/HKATM/
 

2007年08月28日

海辺にて

 
日を浴びて
風を感じ
匂いを味わい
耳を澄ます

こんな時間を楽しめるのは
この心と身体があるから

そんな当たり前のことを思い浮かべた日

もっと敏感になるために
もっと自由でいられるように

それはきっとまだまだ遠い遠い未来の出来事
 
 
憶えばずっとこのままでいいるような気がする
 

2007年08月27日

無題

これまで携えてきたもの。

「純真さ」

これから携えていくもの。

「純真さ」
 
 
いつまでも変わることなく、自分自身に問い続ける。
 

2007年08月25日

忘れられない言葉

いつからだろう。ふとした瞬間に、かつて誰からか耳にした言葉が蘇ってくるようになった。
 
 

 
これまで僕と関わったあらゆる人たちと交わした会話。その中で、何か「ひっかかるもの」を感じた言葉の数々——そのいずれも、耳にした瞬間には、何のことかよくわからなかったり、そのときの自分の考え方では決して受け入れられない、決して認められないと感じた内容だというのに、実はそれ以来ずっと、その言葉が自分の中に残ったままになっていることに気づかされることがある。時が経つにつれ、経験を重ねるにつれ、じわじわと、「あのとき、あの人がいっていたことは、こういうことだったのか!?」と感じられるようになっている自分がいるのだ。

今、尊敬する人物がかつて僕に語ったある言葉が、僕に何かを問いかけてきている。何かを考えさせようとしている。何かを決断させようとしている。

その言葉を耳にした瞬間、僕自身、相当な違和感を覚えて「自分にはそういう考え方はない」と思ったことを、今でもはっきりと記憶している。「きっと、すぐに忘れる内容の会話」。その程度の出来事のはずだった。にもかかわらず、今、僕はその言葉の真意を深く感じ取れるようになっている。

今の僕自身が、その言葉どおりに進むことは、この日常から目を逸らしたいだけの、単なる現実逃避を意味することなのかもしれない。そのための言い訳にしたいから、都合よく昔の記憶を参照して、その言葉に支配されたフリをしているのかもしれない。理由はよくわからない。いずれにしても、その言葉の意味を、もうずいぶん長い間、思い浮かべてはかみ締めるようになっているのは事実だ。

しかし、実際、そのように進んだとして、自分がどうなるのか? 「こうなるに違いない」という察しはついている。だからこそ、今日までもがき続けてきた。その反面、内心、そのように進んでみた方が、全ての問題を解決できるのではないか? そう考える自分もいる。その狭間での葛藤——本当に「ずいぶん長い間」の…。

だが、結論は、自ずと下されるであろう。これからも続く長い歩みの中で、そうした時間も必要に違いない。今はなるべく、そう思うようにしている。

2007年08月20日

水戸便り

 
ひびのこづえ展@水戸芸術館「ひびのこづえの品品 たしひきのあんばい」関連企画 近藤良平ダンス・パフォーマンス。無事、終了。

音楽を担当させていただいた僕も、前日の17日午後からサウンド・チェックのため水戸入り。18日当日、驚嘆するほど充実した内容の展覧会と抱腹絶倒喜怒哀楽のパフォーマンス本番計2回を全て見届け、その後のレセプション、二次会とたっぷり楽しいひと時を満喫し、その夜のうちに帰京。大きなトラブルもなく本番を終えられた安堵とほどよい疲れ、そして、今年一番といえるくらい充実した一ト月が終わってしまったことへの寂しさ…。独り、最終列車で東京に戻るときのあの時間の気分は、なんとも形容しがたいものだった——口をつぐみたくなるような…今は誰とも口をききたくない…そんな感じの。
 
 

 
展覧会を裏から支える内外の大勢のスタッフ、関係者の、誰一人の努力が欠けても幕は開かない。毎度、現場に入ると、そのことを痛感させられる。アーティストはもちろん、展覧会を制作しマネージメントする学芸員の方から館の運営を支えるスタッフの皆さん…そして、出展作品の製作に協力された各社に至るまで。

「僕たちは同志。ひとつの目標に向かって全身全霊をささげている」。そんなある種の仲間意識のようなものはどこの現場でも感じられるが、今回は、それがより強く感じられたような気がした。

特に今回、学芸員実習のため多くの学生スタッフの方が立ち会っておられたのが印象深かった。一般的にこうした実習というと資格だけが欲しいがために参加する人もいるのだろうけれど、今回揃った面々にはそんな姿勢は見受けられなかったし、みな、それぞれの個性を発揮しながら、できる限りのサポートをされていたように感じた。この中から、今後、どういう形であれ、この世界に身を寄せて生きていってくれる人が一人でも多くでてくれたら…そんなことを、作業の合間に思い浮かべたり…。この日の光景が、あなたがいつかくじけそうになったときに、自らを奮い立たせるための手助けになったとしたら、展覧会に参加した一人として、これ以上の光栄なことはありません。

展覧会初日、そのオープニングイベントとしても位置づけられる今回のダンス・パフォーマンスの成功は、関わった全ての人たちはもとより、そんな、志ある若者たちへの最高のご褒美になったといえるだろう。

パフォーマンスの様子が、水戸芸術館HPでポッドキャスト、ならびにReal Videoにより配信されている。

http://www.arttowermito.or.jp/live/liveindex.html

ポッドキャストをご覧になる方は、上記ページの最初にあるアイコンをiTunesにドラッグ&ドロップし購読してください。


来月は、森山開次さんのパフォーマンスがある。曲は今回と同じ。もちろん、次回も今回同様、即興によってパフォーマンスが行われる。来月、ご来場予定の方は、是非、上記映像記録をご覧になって、比較されてみてはいかがでしょうか? 同じ曲でもまったく違うアプローチになるでしょうから。

ちなみに、音楽は、一日の時間の流れを表現しています。朝目覚めてから夜眠るまでの出来事…。僕の中で勝手にくみ上げた「妄想ストーリー」が27分30秒にわたって展開されていきます。いろんなエピソードが満載です。

詳しいストーリーは、次回のパフォーマンスが終わったころにでもここで紹介しようと思います。それまで、記録映像や実際のパフォーマンスをご覧になり、どんな物語が展開されているのか? 想像を膨らませてみてください。来月のパフォーマンスもどうぞ、お楽しみに!

詳細はこちらを。

http://www.kawasekohske.info/HKATM/


終演後…スタッフ、お客さんともに笑顔に包まれる瞬間…このところ、自分の作品を発表する機会でも同じような光景に遭遇する。こんな時代に笑顔がいっぱいなんて…そう振り返ると、思わず、こみ上げてくるものを覚えずにはいられない。苦悩は絶えない日常だけれど、こうした瞬間に立ち会える幸せを、いつもいつも、深く強く感じている。

関わってくださった全ての皆様へ。
そして、僕をこの瞬間まで導いてくださった沢山の人たちへ。

ありがとうございます。
そして、今後とも是非、ごひいきに(笑)。
どうぞよろしくお願いいたします。

2007年08月17日

ひびのこづえperformance @ ATM OST 完成


8月18日(土)、9月23日(日・祝)に水戸芸術館で行われるダンスパフォーマンスひびのこづえ展関連企画)のためのオリジナル・サウンドトラックが、明日(今日?)、現地でのサウンド・チェックを目前に控え、ようやく完成。現在、午前4時過ぎ。クールダウンのため、最近お気に入りの音楽を聴きながら更新。

結局、時間の許される限り、延々と作業を続けてしまった。各シーンの作曲を終えてから、シーケンス順に並べ、繰り返し聞くこと2日間。そして問題点を洗い出し、全体のバランスを調整するために丸3日…途中、何曲かミックスまでやり直したが、試行錯誤を繰り返したお陰で、これまでよりも一歩前進した印象。このまま売り物になりそうなレベル(実際売るとなったら、また重箱の隅を、穴の開くほど突くだろうけど)。

しかし…かなり根を詰めてやりすぎたみたい。この瞬間、どっと疲れが…耳も相当疲労している。いい加減、エンジニア的作業は、(超優秀な)専門家に任せたい(苦笑)。

だけど、音楽に集中させてもらって、ありがたい。色んな人たちに、心より感謝。


パフォーマンスの詳細は、こちらを。

http://www.kawasekohske.info/HKATM/
 
 
きっと楽しんでもらえると思います。

2007年08月15日

インタビュー @ Spiral Bank

SPIRALが展開していいる新しい試み「スパイラルバンク」。
作品紹介やアイデアのプレゼンテーションをスパイラルのサイト上で行えるというもの。クリエイターの活動支援の場。クライアントとの橋渡し役。

もちろん、我がプロフィールも扱っていただいているのだけれど、先日、僕のプロモーションの一環として、インタビューの機会を設けていただいた。それが今日、公開された。


TALK WITH SPIRAL VOL.2


音楽を始めるきっかけから現在に至までの経緯。そしてこれからのこと。たっぷり語っています。是非、お楽しみください。

2007年08月13日

作曲フィニッシュ


 
 
【ひびのこづえperformance @ 水戸芸術館】
http://www.kawasekohske.info/HKATM/


この一ト月、こもりっぱなしで作曲三昧。
そして今日、ようやく作業完了!
この間、外に出たのはわずか数回。
馴染みのところへインタビューを受けに、そして別件のための打合せへ…その他…あっ、これはナイショで(笑)。だってその時間は…大人が大勢集まって、ただただ呑んだくれていただけなんですもの(土下座)。でもお蔭様でその後の作業はとてもはかどりました(笑)。
 
 

 
今週末、8月18日(土)より水戸芸術館で開催されるひびのこづえさんの展覧会「ひびのこづえの品品 たしひきのあんばい」にて行われる「ダンスパフォーマンス」のためのサウンドトラック。約30分——今回もまた、面白い内容に仕上ったのではないかと——自画自賛(笑)。

今回のコラボレーターもまた、ビッグネームです。
毎度、僕以外は有名人(笑)。
いつも貴重な機会を与えていただいて、本当に感謝です。

それにしても、この独りよがりっぷり——毎度のことではあるけれど、作曲から演奏、ミックスまで完全に独りでこなしたことを考えると、かなり笑えます。その内容は、分裂気味ともいえなくないかも?(苦笑)

2005年の愛知万博での上演(Creative Japan)を皮切りに、同年末のスパイラルでの上演など、何度かこづえさんのパフォーマンスをご一緒させていただいているけれど、これまでは、打ち込み率99%だったところを今回は、生演奏の比率をだいぶアップさせています。もちろん、その全てが僕一人によるものなのですが、声も含めて「自分で音の出せるものは全てやる!」という意気込みで取り組みました。全体の曲の構成の仕方も含めて「川瀬浩介ショーケース」と言えそうな仕上がりではないかと思っています。

パフォーマンスについての詳細は、こちらを。

http://www.kawasekohske.info/HKATM/


たっぷり頭を使って、ない知恵を絞り出して格闘していたわけだけれども、その間は、実に充実した時間で…苦しくも楽しい一ヶ月でありました。こんな日常がずっと続けばいいのに…と、いつもの妄想癖を今回も発揮しながら、連日明け方まで作業を進めることに…。

不思議だったのは、どんなに追いつめられた状態でも、作業を続行できたこと。これまでだったら、アイデアが出なくなったり自分の能力の低さを痛感したり〆切から逃れたくなって「不貞寝する」…これが僕の定番の逃避方法だったけれど、今回ばかりは、信じられないくらい精力的に作業を延々と続けられたのです。睡魔に襲われもう限界…という場面でも、椅子から立ち上がって、出来上がった音源を聞き返しながら部屋の中をグルグルと歩き、脳を活性化…そしてもう一踏ん張り…いよいよ限界となったら即眠って、目覚めた直後から作業再開…その繰り返し。よくぞここまで集中していられたと、自分でも感心しています。

今回の機会を与えていただいたことへの感謝と、その期待に十二分に応えたいという気持ち…そして、観ていただく皆様に喜んでもらいたいという想いが、これだけの集中力を発揮できた背景にあるのだろうと思います。さらに、この作業に入る前の数ヶ月間、自らを苦境に追い込んでしまった自分への戒めもあったのでしょう。

いつもそう。創っているとき以外は、無いに等しい人生だから、そのときがきたら、全身全霊を込めて集中する。全力で取り組む。それが僕にできる唯一のこと。創っているときは、完全に「無」になれる。何も考えない。ただ、漠然とイメージする風景を音にしていくだけ。創作をする身として、これ以上の幸せはあるでしょうか? 全体を統括しプロデュースする立場にたったら、そうも言っていられないだろうけれど、僕は音楽に集中させてもらえたから、ここまで自由にいられたのでしょう。本当にありがたい。

きっと、今の僕にとって「創る」という行為自体が、最高の「現実逃避」なんだろうと思います。だから今回、ここまで集中できたに違いありません(しばらく作業から遠のくからこれからがちょっと怖いけど)。


あとは、実際の公演で、この音楽がどう機能するのか? 今年の夏、僕の音楽に初めて出逢う皆さんに、どこまで喜んでいただけるのか? 皆さんの心の中に、それぞれの物語を呼び覚ましてもらえるといいのだけれど…。本番当日…様々な意味で、今からドキドキ、ワクワクしています。


窓辺から木々の隙間をぬって上空を見上げると、入道雲が空高く立ちこめている様子がうかがえます。見事な夏の空。今日、少しばかり気分がいいのは、きっとこの天気のせいだけではないのでしょう。