【感想紹介】アルカディ・ザイデス「DAAT」(映像編)
去る2007年10月24日に行ったアルカディ・ザイデス「DAAT」についての感想紹介。
今回は、映像についてのことが少し触れられています。
http://sasazuka.livedoor.biz/archives/50758583.html
今回の映像を担当したのは、「PopulouSCAPE|ポピュラスケープ」」、「KOTOBUKI_PROMOTION」を手がけた、岡部友彦+福島慶介の名コンビ。そして、アルカディ本人(天井から吊り下げ下げられていたプロジェクターから投影されていたもの)。
アルカディ本人が作った映像は、横浜の街で気になったものを写真に収めて、それを加工しスライドショー化したもの。ダンサーといえども流石はアーティスト。「観る」視点が独特で、そのスライドショーだけでも立派な作品といえるほど、優れたセンスを発揮していました。
岡部+福島が手がけたメインとなる映像は、建築家である彼ららしく「都市」をテーマにしたもの。都市再生、都市解析を研究してきた視点から、横浜の街を様々な角度から切り取り、今回のパフォーマンスのコンセプトに沿ったストーリーを作り上げていました。
上記で紹介してくださっている感想にも触れられているとおり、今回の目玉は、魚眼レンズを用いたイメージでしょう。全てのものを丸く映し出す魚眼レンズ——ファインダーから望む都市の光景は、なんと不思議なことに、宇宙に浮かぶ惑星のように見えるのです。彼らがPopulouSCAPE|ポピュラスケープでみせた、フル3DCGの技法だけに頼らない、これぞまさしく「視点」の勝利といえましょう。
人口数や現存する航空網、インターネット網などのデータを視覚化した「PopulouSCAPE|ポピュラスケープ」は、都市解析の手法をアート表現へ応用した好例。その手法が、この「DA AT」でも遺憾なく発揮されています。
上記の魚眼レンズを用いた惑星を連想させる映像にオーバーラップしていた「星屑」のようなイメージは、横浜の主要駅を行き交う人の流れを視覚化したものなのです。
「人の営みを数値化し視覚化すると…それは、星空のイメージ=宇宙の営みと似ている。」
こんなロマンティックなメッセージが、この映像には込められていたのです(そのはず・笑)。実際の映像をお見せできないのがなんとも残念! どなたか、我々に機会を与えてください! 映像と音楽だけをつかったインスタレーションを作ってみたいくらいです!
また、冒頭の激しいノイズ音が交錯するシーンでは、テレビの砂嵐の画面を、ピクセル単位で「暴力的」に拡大縮小を繰り返し、音・ダンスと合わせて、近代都市が多種多様な要素で構築されている現実を表現しています。人が溢れ、ビルに囲まれ、音に埋もれて暮す都市生活人…。ノイズの中から浮かび上がる都市の風景、そして音の洪水の中から漏れ聞こえてくる現代人の営みを象徴する環境音…今回のパフォーマンスが待つテーマを、この冒頭のシーンで鑑賞者に投げかけます。
アダムとイブが暮したエデンと近代都市…ダンサー達が身体を使って表現するのは、対極ともいえるその二面性。それぞれがあるとき出逢い、もつれ合い、寄り添い、突き放し…長い時間を経ていきながら、そして調和へと向かっていく…しかしその結末は…。
ラストシーンでみた出演者の表情は、我々から見ても、とても印象的でした。この先の展開を予見させるような…期待したいところです。
さて次はどんな感想が発見できるか!?
楽しみにしています!