U2「ヨシュア・トゥリー スーパーデラックスエディション」とあわせて買ったNine Inch Nailsのリミックス盤。実にタイトルが判読しにくい文字列になっているが、つまりは「YEAR ZERO REMIXED」ということ。今年発表されたアルバム「YEAR ZERO」のリミックスを収めたアルバムだ。
実のところ、リミックス盤は、あまり興味がなかったりする。ただ、中には一つくらい、素晴らしいトラックがあるもので、今回もそれを期待して購入してみた。目玉は…「CAPTAL G」EPWORTH PHONESのトラックだろう。オリジナルのシャッフル・リズムを一度完全に分解し、再構築。そうして、見事にクラブ・チューンに仕上げてくれている。オリジナルの要素を巧みに取り入れ、ノイジーなリフが炸裂する辺りが、かなり好みの感じ。
しかし、リミックス=ダンスという構図は、いつから固まってしまったんだろうか? もちろん、この盤でも、すべてがダンスチューンに仕上げられているというわけじゃないけれど、もっと、多様なアプローチがあってもいいと思うのだけれど…。
そういう意味では、ビル・ラズウェルが手がけた「VESSEL」は興味深い。氏は、マイルス・デイヴィスのリミックスを手がけたときにも、まさに「再ミックス」という読んで字のごとくのアプローチで、オリジナルの要素を大幅に変えることなく、「別解釈のミックス」を聴かせてくれた。ここでも、そのアプローチで取り組んだと思われる展開が聴ける。よりハーシーに仕上げられた「VESSEL」は、オリジナルとまた違った魅力で輝いている。
「疲れたときにはGOODミュージック」
とっても世話になった某ディレクターからいただいた言葉を今、噛み締めながら、まさに浴びるように沢山の音楽を聴いている。次なる業務に挑むための英気を養っているかのようだ。

さて、「an etude for Scene of Light〜光の情景のための習作」世界初演の様子を記録するために書き始めた記録も、これで最後となる。予想を遥かに超える長文になったが、クリスマス・イヴに仕上がってきたばかりのフィルムの画像も数点紹介しているので、是非、終わりまで楽しんでもらえると嬉しい。
氷の世界

最終日。搬入時と同じく、午前7時出発のスケジュール。お陰でこの日も6時起床だ。結局昨夜も、あまり眠れなかった様子。疲れがひどく溜まっているから、数時間の睡眠くらいじゃ、どうにもならないらしい。昨日きてくれた友人にも「疲れが目に現れていました」なんていわれちゃうし…。確かに、あのときも相当疲れていたけれど…。今日一日、大丈夫だろうか?
かなり冷え込んだ朝、駐車場で車に乗り込むと、予想通り、フロントガラスが凍結していた。これを解凍するのには結構時間がかかる。急いでいるところでの時間のロスは、通常なら相当苛立つのだが、今日は、むしろ、こんな瞬間に立ち会えて、ラッキーだと思ったくらい。なぜなら、凍結したフロントガラスに映る画が、素晴らしく美しかったから。同じようなシーンに何度か遭遇しているが、今日の氷の表情が、これまでで一番美しかった。
ガラスそのものの色は、よく見ると、透明じゃない。少し青みがかっている。フロントガラスを通してみる氷の表情は、その「青」がカラーフィルターのような効果を発揮し、まるで深海から、光の射す海面を見上げたときのような、青とも緑ともつかない色を発していた。もちろん、まよわずシャッターを切る。それも、何度も何度も…。実は、同じような写真を過去にも何度となく撮影している。フロントガラスの凍結を体験する日に限って、カメラを持参していることが多いから不思議だ。僕に何かを気づかせようとしているのか?
このとき、次のシリーズを着想した。今回の作品を発展させて、この発想で、いろんなものの表情を捕らえていきたい。

凍結は、思いのほか早く取り除けた。さぁ、時間貸し駐車場の場所取りへ急ごう(苦笑)。
お客様は神様です。
表参道エリアは、いうまでもなく、東京のど真ん中。地価もそれはもう、相当なものだ。となれば当然、時間貸し駐車場の単価もかなりのもの。まぁそれでも、1〜2時間停めておくくらいならそれほど気にすることもないが、今宵、搬出があるとなると、12時間近くは駐車することになる。ただでも赤字確実な状態で展示に挑んでいるわけだから、少しでも節約したいところ。
この辺りの上限設定のある駐車場の相場は、一日最大およそ3000円前後。だが、当然、車庫の数には限りがある。平日ともなれば、この周辺で各種工事を行なっている業者のバンで占拠されてしまうのだ(路上駐車の取り締まりが厳しくなってから、皆さん、工事の職人さんが電車移動している姿を多く見かけるようになったことにお気づきだろうか? それに加えて、昨今の原油高騰…どこも必死なのである)。
そんな事情があって、確実に駐車場を確保するため、作家の入り時間10時30分のところを、午前8時には周辺に到着するスケジュールを組んだというわけ。だけど、よくよく考えると、今日は日曜日。家から会場へ向かう途中も、道はガラガラ。「ちょっと早すぎたかな?」。そんな予感は的中し、目当ての時間貸し駐車場へ到着してみると、ほとんど空き状態。だが、今日のスチール撮影のためのフィルムを買いにいったりと、色々用事もあるから、2時間くらい、あっという間だろう。先に車中で一眠りしてから…と思うも、買い物を先に済ませるのが先決。車を停めて、まだ日陰も多く寒さが肌にしみる時間帯、表参道を原宿方面へ下っていった。
すると…ヒルズの前に、なにやら長蛇の列ができている。それも相当な数の…。間違いなく、数百人はいたはず。もしかすると、千人超えか? そう感じさせるほどの、長い長い行列。「クリスマスのバーゲンでもやっているんだろう」と思いきや、行列の先には、「SMAPショップ」と看板が掲げられていた。臨時の店舗なのか、スペースは想像していたより小さい。「こんなに小さい店の中に、この行列している皆さんに行き渡るだけの商品があるのだろうか?」と、余計な心配までしてしまったほど。それにしても、ファンって、本当にありがたい。僕も、無償の愛で支えてくれる人たちに守られてみたい。
ちなみに、夜に再び前を通ると、朝には店内のマネキンに着せられていた衣装まで全て完売していたよう…うらやましい。
フィルムは古の産物か?
作品を記録するときは、デジタルカメラだけじゃなくて、フィルムカメラでも撮影するようにしている。きっかけは、デビューのとき、プロの写真家の方に作品の記録撮影をしていただいて、その出来栄えが驚嘆するほど美しかったから(もちろん、仕上がりは機材や仕様に依存しているわけではなく、全ては経験と技術によって導き出される結果だということは、重々承知している)。それ以来、かなり簡易的ではあるが、自分でもフィルムを使った撮影をするようにしている。
思えば、フィルムを買うのも久しぶり。ベアリング・グロッケンの展示以来だから、ちょうど一年ぶりくらいだろうか? デジタルカメラは、けっこうちゃんとした一眼レフだけど、フィルムカメラの方は、その昔、親が観光旅行の記念撮影のために使っていたようなもの。いわゆる、コンパクトカメラというやつを使っている。もちろん、撮影の調整なんてできないんだけれど、やはり、開発の歴史がデジタルのそれとは圧倒的に違うからか、シャッターひとつで捕らえた写真が、なんとも雰囲気のあるものに仕上がるから不思議だ。

素人ながら、フィルムの選択も、少しだけこだわっている部分がある。普通にコンビニでも売っているタイプなんだけれど、あるフィルムとこのカメラの組み合わせが、実にいい効果を生み出してくれるのだ。LOMOとかHOLGAといったトイカメラが流行っているようだけれど(僕も欲しい)、ああいったカメラ特有の「トンネル効果」(画面の四隅に陰が落ちるようなイメージ)が若干見られる場合があって、現像から上がってくるときが、何よりも楽しみなのである。それに、よくいわれる通り、奥行き感も断然違う画になる。まぁ、ただ僕が、デジタルカメラを使いこなせていないだけだろうけれど(苦笑)。

そんなわけで、今日もコンビニに寄って、フィルムを買い求めようとするも…おや? フィルムはあるけど、12枚取りのものしか、置いていないぞ。うぅ〜ん。いつもこの辺りでフィルムを買うのに立ち寄るコンビニまでいく? 結構距離、離れているけど…。
歩くことおよそ15分。眠気もすっかり振り払われ、身体も温まったところで、目的のコンビニへ到着。すると…今度は、フィルム自体の取り扱いが終わっている(泣)。困った。この時間、まだ渋谷駅前のビックカメラは開いていない。ここの他にコンビニは…脳内記憶検索! 思いついたけど…またちょっと遠いぞ(泣)。
さらに歩くこと10分。次のコンビニへ到着。が…ここでもフィルムの取り扱いがなくなっている。そういう時代…ということだな。さらに別のコンビにも近くにあったけれど、あきらめて、ビックカメラが開くまで待つことに。それまで、車に戻って一眠りしよう。でも、すっかり駐車場から遠くは慣れたところまで歩いてきてしまった。早速、足も痛み始めている(この4日間の影響で)。「脳内ぐーぐるまっぷ」を起動して、即座にショートカットルートを検索(苦笑)。すると、意外にも想像していたよりも近道して戻ることができた。昔、散々散歩したおしておいたかいがあった。そういえば、数年前、表参道から自宅まで歩いて帰ったことも。我が家は、表参道下車、徒歩2時間30分の物件ということが判明。これじゃ、いつまでたっても人気は出なさそうだな。
突き動かされるもの
車に戻って食事を済ませ、今朝も忘れず、携帯電話の目覚ましをセットして仮眠の準備。車の中にはいつも、機材を運搬するときの緩衝材代わりとして毛布を何枚か常備している。それにくるまり、ポカポカの状態で1時間ほどうたた寝。決して快適ではないけれど、なんだかやけに、幸せな気分だった。
今年様々な出来事で辛い思いをして、どうなるのやら?と心労を重ねていたのだけれど、こうして年の瀬に展示機会が得られて、それが自分でも満足いく形で披露できたことが何より嬉しかったのだろう。懐事情はますます…だけれど、この展示を無事に終えて、今年の有終の美を飾りたい…その気持ちが、ものすごく強かったから。無理なスケジュールで作品制作に突入したのも、そうした思いがあったからだし。だから余計に、この束の間の休息の時間が、心地よく思えたに違いない。
制作途中も、「自分をここまで突き動かすものは、何なのだろう?」と考えていた。未だにその理由はわからないけれど、誰に頼まれるわけでもなく、誰のためでもなく、特別な利益が得られるわけでもなく、ただ、「創りたい」というだけで、ここまでできるものなのか? それが自分でも不思議でならなかった。おもえば、完全に独りですべての準備を手がけた展示は、デビュー作「Long Autumn Sweet Thing」を発表したとき以来だ。制作していた季節も近くて、展示に挑む気構えや途中、肌に感じていた空気感まで、すっかり当時と同じような気分になっていた。だからこそ「今回の展示も、きっと上手くいく」と思えたに違いない。まぁ、僕が自分の展示でヘマをすることなんて、ないんだけどね。なんて(笑)。
Scene of Light = SOL 「母なる光」
そんなことを夢うつつに思い浮かべていたかどうかは定かでないが、心地よいうたた寝も、時間通り鳴り出した携帯電話の目覚ましによって遮られた。さぁ! いよいよ最終日だ! 気を引き締めて取りかかろう。まずは、手に入れ損なったままのフィルムを買い求めにビックカメラへゴーだ!
午前9時。かなり日も高くなってきていて、日差しが当たる部分は、暖かさかを感じるほどになっていた。冬の朝の張りつめた空気は、なんて心地よいんだろう。気づけば、朝からこの周辺を歩き倒しているから、身体もけっこう元気だ(笑)。やっぱり、朝日が昇る時間に暮らすのが、人として正しいような気がする。そういえば、この作品の制作中は、珍しく午前中から起きて仕事をしていた。僕にとっての午前中といったら、日が昇らないうちの時間帯がほとんどなのだが、この作品は、「母なる光=太陽」へのオマージュでもある。だから、朝から、日を浴びながら作業したかったんだ。

Scene of Light=SOL=太陽をイメージしたタイトルだということに気づいた人は、どれくらいいるかな? 太陽は、「母なる光」といえる。すべての輝きの源だ。太陽を見上げて、美しいと思わない人はいないだろう。その尊さを、僕なりの表現で示していこうとしているのが、この「Scene of Light」シリーズというわけ。今回の習作が、どのように展開していくか、楽しみにしていて欲しいな。いくつか、かなりプランは練ってあるのでね。それを実現するためには…資本主義の世の中に暮らしているわけだから、まずは、先立つものが必要になるけれども…。


余計な買い物
渋谷のビックカメラは、たまにしか利用しないので、売り場の配置がよくわからない。ちょっと戸惑うも、目的のフィルム売り場に到着し、早速、必要なものを手に取る。それで帰ろうと思うも、よりどりみどりのフィルムが目の前にあると、つい、余計なものまで手にしてしまう。
「もうちょっと高感度のフィルムで撮影してみたら、どうなるかな?」
カメラ自体の調整ができないコンパクトカメラでも、フィルムの種類を選べば、また違った魅力で記録できるかもしれない。このカメラのレンズ自体もかなり明るいのだけれど、それでも室内だと、ファインダー内でははっきり見えていても、全体をきっちり捕らえきれていないことも多い。なので…高感度フィルムを…おっ。隣には、白黒かぁ…これも高感度のタイプで試してみたいなぁ…ざらざらした質感で撮れるんじゃないかなぁ…など、朝から独り、完全に自己満足モードに突入してあれこれ買い物を楽しんでしまった。
結局、感度の違うカラーフィルム3本と高感度白黒フィルム1本の計4本のフィルムを仕入れる。今朝、コンビニでフィルムが手に入っていれば…こんなことにはならなかったのに…。駐車場代を節約しても、結局ここで散財していたら同じことだ。しかも、現像だって本数分、お金がかかるってことを忘れてないかい?(苦笑)
ついうっかり買い物に興じすぎたせいで、気づくと、入り時間の15分前。撮影時間を少しでも長く確保するために、タクシー移動か? それともこの場合、電車で一駅乗るのが早いか? 徒歩でも10分あればつくはずだ! その3つの選択肢から、徒歩を選択。宮益坂を極力早歩きで登りきり、やや息を切らせながら、青山通りを闊歩。横断歩道を渡る順番も頭に入れながら会場へ一目散で向かう(そうしないと、余計に時間がかかるから)。

日本にはいい言葉があります。
会場へ到着。が、ここでまず、つまづく。どうもこう、杓子定規な対応しかできない人たちが増えているような気がするんだけれど…朝から、まず一つ、イライラ。そんな調子のまま、今朝は自分で電源を入れて、撮影を開始。順調に撮影を進めるも、開場してから、またイライラ。あえて聞こえるように、その苛立ちをぶちまけてしまった。大人げない。反省(土下座)。後日、記録を確認すると、そのときの様子が、ビデオにしっかり記録されていた(改めて反省)。
だけどさ、日本には、「お互いさま」といういい言葉があるじゃない? それを皆さん、忘れていませんか? 誰しも、自分の立場でしかモノをいえないのはわかります。でも、自分の都合ばかり主張するのは…ねぇ。こちらだって、辛抱しているのですから。お互いさまです(笑)。とはいいつつ、すんなり先方の主張を受け入れてしまった自分…哀しい(泣)。
お金がない! ファイナル!

今日の最終日は日曜日ということもあって、お客さんの出足がかなり緩かった。午前中は開店休業状態に近く、午後もかなりゆったりした時間から盛り上がってきたのだが、夜には、昨日の盛況ぶりが戻ってきたようだった。
久しぶりに逢う仕事先の方もきてくださったし、そんなに多くはなかったけれど、普段、なかなか会えない友人や知人と顔を合わせることができるのが、僕にとっての展示機会の醍醐味となっている。本当はもっと多くのみんなと会いたかったんだけれど、なにせ、師走の年末進行の最中ですから、みなさん、都合が…ねぇ。またの機会に、是非! 僕は普段、独りで仕事をしているんで、こういう機会に話しだめ?しておかないとならないから。普段は貝のように静かなんです。いや、ほんとに。
今日も友人知人、それから出展者の皆さんと駄弁に興じた一日…こんな過ごし方でよかったのだろうか?(苦笑) そろそろ撤収の時間が近づいている。まずは、車に置いてある梱包材をとりにいくことから始めよう。昨晩、帰るなり荷物を整理しておいたから、自分の展示としては初! 梱包材がボストンバック1個の中に収めることができたのだ。これは、奇跡的!(持ち帰る機材は、それどころじゃ済まないけど)。なので、駐車場まで徒歩で向かって、鞄を担いでまた戻ってくる…車を動かす手間も減ったし、なかなかよく練られた搬出マネージメント。我ながら、あっぱれ!

搬入時は、40組の作家がまばらに現れてセッティングしていったので、それほど混雑はなかったが、今日は、同じ時間にいっきに搬出が始まる。当然、混雑が予想されるし、自分は荷物も多い方だから、ゆっくり進めよう…だけど、そう考えているはみな同じことだろうから、ほどほどにペースを保ってやっておかないと、運び出すときに混雑に巻き込まれてしまうかもしれない。とにかく、周りの様子を見ながら…だな。
撤収をはじめてみると、意外にも順調に作業が進んだ。今回の作品は、これまでと違って、「シンプルに、さらっと展示できるようなものを」と考えて取り組んだだけに、その狙い通り、撤収もスムースに終えられそう。だが、それでも人よりは荷物が多いようで、周りを見渡すと、すっかり皆さん、作業を終えて、続々、会場を後にしていく…。
会場から支給された90センチ四方の展示台も、次々とスタッフの手によってバラされていき、気づくと、僕と、他数名くらいしか残っていない状況(苦笑)。まぁ、こういう状況になるのも想像できていたから、空いた空間でダラダラと梱包しますかね…だけど、展示台も撤収されてガランとした会場の様子を見たときは、かなりの寂しさを覚えた。嗚呼。これで今年も終わるんだな…。すべてが梱包し終わったところで、残った作家の皆さんとお別れの挨拶。さぁ、最後は、荷物を車に積み込むだけ。駐車場へ、車を引き取りに向かった。

暗く寂しい駐車場。その寂しさを増長させる精算機の機械音によるアナウンス…。こんなところに独りで長居するのはごめんだ。さっさと清算を済ませて会場へ戻ろう。
清算開始。金額は当然、一日最大上限価格が表示される。支払いを…あれ? あれ?あれ?あれ? 今朝、あれだけ沢山あった千円札が、一枚しかない!!!! なぜ? あっ。隣でやってた展覧会の図録としおりを買ったときに…ごっそり千円札、使ってしまったー。あれだけ用意周到準備していたというのに!!!!(泣)。あれ? そういえば、帰りの荷物の中に、その図録が見当たらなかったけれど…どこへやったっけ? あっ。荷物保管場所に忘れたままだ。急いで会場に戻らないと、行方がわからなくなっちゃうかも。
やや慌てるも、支払にはカードも使えることを確認。ふふふ。これで乗り切れるじゃないかっ! 早速、財布から取り出して挿入。これで一安心…が、なかなか終わらない。なぜ?なぜ?なぜ? 「センターに接続しています」というアナウンスが連発している。おかしい? あれ? もしかしてこれ、カードも飲み込まれたままか? 取り出せないのか? とりあえず、取り消しボタンを押してみる…すると、カードはすんなり吐き出されてきた。はぁ。焦った(汗)。もとい、改めてカード支払いを…。再びカードを挿入…。がしかし…。今度は無情にも、「カードは使えません」とのアナウンスが…。嗚呼。また、両替にいかないといけない。
「お金が、ないー!」
撤収マネージメント。あっぱれ! じゃ、全然なかった…これじゃむしろ、「渇っ!」だ(苦笑)。
まさか、初日の夜、帰り道の地下鉄の駅で仲間が轟かせた「オチ」を再び僕がここで放つとは…情けない。こんな物語は、誰も求めてないー! 何より悲惨なのは、その状況で、僕は独ぼっちだったことだ。この苦境を笑いに変換するためには、隣に誰が必要なのに…嗚呼。作品制作だけじゃなく、こんなことまで独ぼっちだとは…はぁ(苦笑)。

日曜日の午後10時近く。この辺りで買い物ができる場所があったかな? 半ばあきらめ気味に会場までの道のりをそのまま戻ってみるも、買い物ができそうなお店は見つからず…どうしよう(汗)。
いずれにしても、必要のないものを買っても仕方ないしなぁ…そうだっ! がんばってくれた女性スタッフに、お花を贈るというのは、粋じゃない? 確か、この辺にお花屋さんが…やっぱり、閉まってた。。。。困った。コンビニなんてこの辺にはないし…。

寒さも手伝って、そろそろ本気で泣きそうになっていた頃、目線の先に、希望の光がっ! おぉ。ケンタッキーフライドチキンがあるじゃないかっ!
飲み物だけを買うつもりが、それだけじゃ悪いし…なんて、ここでも無駄な気を使ってしまって、ポテトを合わせてオーダー。まぁ、夕食も中途半端だったし、丁度お腹も少し空いていたから、つまみ代わりに都合が良さそう。だけど、余計に荷物が増えてしまった。これはちょっと都合が悪い。というわけで、駐車場まで戻る間の数分のあいだに、それらはすべて胃袋へと場所を移動。これで両手が自由となった。よし! 今度こそ、ようやく、出庫だ。
会場に戻ると、全体の撤収も概ね終わりに近づいていた。車をとりにいっていたにしては時間がかかりましたね…なんて声をかけてくれるスタッフは誰もおらず(皆、自分の仕事で手一杯だったから)、独り台車を借りて、自分の荷物を車へ移動させる(気になっていた図録は、スタッフの誰かが、僕の荷物にそっと寄せておいてくれたよう。ありがとうございます)。
荷物を積み終えてから、再び会場内へ。最後の挨拶。気づけば今はもう年末だ。きっと今年、皆さんにお目にかかるのはこれが最後になるでしょう。「よいお年を」。最後はきちんと、礼を尽くしておきたいから。きちんと挨拶。これ、当たり前のことだけれど、肝心。
波乱の一年の締めくくりを、皆さんとの仕事で迎えられて…僕はまだまだ運を味方にしているようです。どうもありがとうございました。

メリー クリス枡
別れ際、今年のクリスマスキャンペーンの一環としてプレゼントされている「クリス枡」を差し出される(これ、単なるだじゃれじゃないんですよ。今回の展示で使われた四角形の展示台と枡の形が同じことが発想の由来になっているんです)。これ、実はちょっと、欲しかったんです(笑)。大切にします。

去年の今頃は、ここで展示を終えて家路に向かうとき、こみ上げてくるものがあった。今年は流石にそこまではなかったけれど、いつもとはまた違う寂しさを感じていた。それが何か、まだよくわからないけれど…。
車に乗り込み、いざ、我が家へ。これでようやく、長かった2週間が終わる。挨拶をできなかったスタッフの方へ携帯からメールを送信。慣れない業務で本当に色々と大変だったことでしょうが、一つ一つ丁寧に対応していただいて、僕はとっても助かりました。そして何より、会期中、僕の話し相手としてたっぷり機能してくれたこと(笑)…この上ない感謝の気持ちを送ります。
一息ついてイグニッションキーを回すと、今度は、光の使者?からメールが届く。「お先に」…って。そうかぁ…結局、ここでも僕を待ってくれる人は、誰もいなかったというわけねぇ(苦笑)。
大丈夫。何も変わってなんかない。

この展示の実現のために、僕を突き動かしていたものが、ようやくわかった。今年の苦境を自ら越えるためには、自らの仕事で締めくくる他ない。だから、無理なスケジュールでも挑んだに違いない。
結果は、展示が実現できたこと以上に、沢山の人に触れられたことが、最も大きく重要な成果といそうだ。久しぶりに逢った人。逢いたかったけど逢えなかった人。新しく出逢った人。これからもお世話になる人。いろいろ。たくさん。いっぱいの嬉しい楽しい出来事があったから。結局僕は、人と触れ合いたくて、表現することをやめないのかもしれない。
終わってみて気づいたのは、いつだって僕には、大勢の仲間がいて、馬鹿話につき合ってくれる友達がいて…気の置けない沢山の面々からの励ましや支えがあって僕がいる、という…そんなとっても恵まれた、そしてこれまでと変わりない境遇に僕は今でもいるということ。何も変わってなんかいない。何も失ってもいない。だから、何も心配はいらない。見失いそうになっていた、そんな当たり前のことを改めてわからせてくれた。
それから…僕の中にある大切なもの…それがようやくわかった気がした。だけど…いまごろ? ちょっと遅すぎたんじゃない?(苦笑)。まぁ、自然の流れの中で、いつか…そんな日がやってきたら、いいな。

これで、長く苦しくて辛かった…だけど終わってみれば、嬉しく楽しく愉快だった、波瀾万丈の一年がようやく幕を閉じようとしている。来るべき翌年、ここまで積み重ねてきたことが、そろそろ一気に弾けそうな予感もある。今年たっぷりかがみ込んだ分、弾けたときは、これまでよりも、もっと遠くへいける…そう信じている。
どんな明日がやってくるのか? 誰も歩いたことのない道を、僕はこれから、歩いてゆく。

ありがとう。
また来年。
メリークリスマス!
そして、よいお年を!
おしまい