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2007年12月31日

Last Sunset in TOKYO 2007


長く苦しかった一年がようやく終わろうとしている。楽しかったことも数えきれないほどあった。けれど、とても残念で、悔しい出来事が、1つ、2つ、3つ…。それらが、全ての嬉しい出来事を一気に流し去ってしまうほどの大きな荒波となって襲いかかってきた。そして見事に、それは僕を飲み込んだ——試練の日々——くじけそうな毎日だった。
 
 

 
誰かに救いを求めてもみた。けれど、自分をも制御できない状態で、結果、沢山の人たちを巻き込み、迷惑をかけてしまった。深い自己嫌悪に陥った。抜け出せないかと思うほどの。どんな痛みもいつかは消える。だが、このまま、傷は残ってしまうのかもしれない。自分の内から次々と沸き上がってくる不安と外にある現実に押しつぶされてしまった。


けれど、僕は、立ち上がらなければならなかった。もはや僕は、独りではない。沢山の関わりを持つ今、僕が勝手に、全てを投げ出すわけにはいかない。

そうして、決意を新たにしたときから、少しずつ、状況が変わり始めたような気がする。その後も、奥歯を噛み締める日々が続いたけれど、じっと、耐え忍んだ。


そんな日常の中で、気づいたことがある。それは、これまで以上に、今年、僕自身が世の中と深く関わりを持ち始めたという事実だ。いくつかの辛く厳しい出来事は、その証だった。そしてもうひとつ。こんな乱心な状態でも、僕には、周りからの暖かい支えがあること。それを、決して忘れてはならない。いつも誰かに、守られている…今年は常に、そんな気がしてならなかった。そのお陰だろう。僕は今日もこうして、「僕」として生きていられる。

この苦境が教えようとしていたのは、何も見えなくなっていた僕に、忘れかけていた大切なものを改めて心に深く刻ませることだった。それが、僕の財産となった。決して失うことのない、「安心」という名の宝物だ。


大丈夫。


この言葉を、今日、初めて、自らに贈ろう。


波乱に満ちた一年だったが、この師走…心はとても穏やかでいられた。なぜだろう? これまで積み重ねてきた成果が、実り始めた予感がしているからだろうか? 


そのせいか、今夕、いつもの場所でみた夕日は、これまでで最も美しく輝いてい見えた。
 

2007年12月25日

幕を開けろ! FINAL

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Nine Inch Nails
Interscope 2007-11-20

by G-Tools


U2「ヨシュア・トゥリー スーパーデラックスエディション」とあわせて買ったNine Inch Nailsのリミックス盤。実にタイトルが判読しにくい文字列になっているが、つまりは「YEAR ZERO REMIXED」ということ。今年発表されたアルバム「YEAR ZERO」のリミックスを収めたアルバムだ。

実のところ、リミックス盤は、あまり興味がなかったりする。ただ、中には一つくらい、素晴らしいトラックがあるもので、今回もそれを期待して購入してみた。目玉は…「CAPTAL G」EPWORTH PHONESのトラックだろう。オリジナルのシャッフル・リズムを一度完全に分解し、再構築。そうして、見事にクラブ・チューンに仕上げてくれている。オリジナルの要素を巧みに取り入れ、ノイジーなリフが炸裂する辺りが、かなり好みの感じ。

しかし、リミックス=ダンスという構図は、いつから固まってしまったんだろうか? もちろん、この盤でも、すべてがダンスチューンに仕上げられているというわけじゃないけれど、もっと、多様なアプローチがあってもいいと思うのだけれど…。

そういう意味では、ビル・ラズウェルが手がけた「VESSEL」は興味深い。氏は、マイルス・デイヴィスのリミックスを手がけたときにも、まさに「再ミックス」という読んで字のごとくのアプローチで、オリジナルの要素を大幅に変えることなく、「別解釈のミックス」を聴かせてくれた。ここでも、そのアプローチで取り組んだと思われる展開が聴ける。よりハーシーに仕上げられた「VESSEL」は、オリジナルとまた違った魅力で輝いている。


「疲れたときにはGOODミュージック」


とっても世話になった某ディレクターからいただいた言葉を今、噛み締めながら、まさに浴びるように沢山の音楽を聴いている。次なる業務に挑むための英気を養っているかのようだ。



さて、「an etude for Scene of Light〜光の情景のための習作」世界初演の様子を記録するために書き始めた記録も、これで最後となる。予想を遥かに超える長文になったが、クリスマス・イヴに仕上がってきたばかりのフィルムの画像も数点紹介しているので、是非、終わりまで楽しんでもらえると嬉しい。
 
 

 
氷の世界



最終日。搬入時と同じく、午前7時出発のスケジュール。お陰でこの日も6時起床だ。結局昨夜も、あまり眠れなかった様子。疲れがひどく溜まっているから、数時間の睡眠くらいじゃ、どうにもならないらしい。昨日きてくれた友人にも「疲れが目に現れていました」なんていわれちゃうし…。確かに、あのときも相当疲れていたけれど…。今日一日、大丈夫だろうか?

かなり冷え込んだ朝、駐車場で車に乗り込むと、予想通り、フロントガラスが凍結していた。これを解凍するのには結構時間がかかる。急いでいるところでの時間のロスは、通常なら相当苛立つのだが、今日は、むしろ、こんな瞬間に立ち会えて、ラッキーだと思ったくらい。なぜなら、凍結したフロントガラスに映る画が、素晴らしく美しかったから。同じようなシーンに何度か遭遇しているが、今日の氷の表情が、これまでで一番美しかった。

ガラスそのものの色は、よく見ると、透明じゃない。少し青みがかっている。フロントガラスを通してみる氷の表情は、その「青」がカラーフィルターのような効果を発揮し、まるで深海から、光の射す海面を見上げたときのような、青とも緑ともつかない色を発していた。もちろん、まよわずシャッターを切る。それも、何度も何度も…。実は、同じような写真を過去にも何度となく撮影している。フロントガラスの凍結を体験する日に限って、カメラを持参していることが多いから不思議だ。僕に何かを気づかせようとしているのか?

このとき、次のシリーズを着想した。今回の作品を発展させて、この発想で、いろんなものの表情を捕らえていきたい。



凍結は、思いのほか早く取り除けた。さぁ、時間貸し駐車場の場所取りへ急ごう(苦笑)。


お客様は神様です。


表参道エリアは、いうまでもなく、東京のど真ん中。地価もそれはもう、相当なものだ。となれば当然、時間貸し駐車場の単価もかなりのもの。まぁそれでも、1〜2時間停めておくくらいならそれほど気にすることもないが、今宵、搬出があるとなると、12時間近くは駐車することになる。ただでも赤字確実な状態で展示に挑んでいるわけだから、少しでも節約したいところ。

この辺りの上限設定のある駐車場の相場は、一日最大およそ3000円前後。だが、当然、車庫の数には限りがある。平日ともなれば、この周辺で各種工事を行なっている業者のバンで占拠されてしまうのだ(路上駐車の取り締まりが厳しくなってから、皆さん、工事の職人さんが電車移動している姿を多く見かけるようになったことにお気づきだろうか? それに加えて、昨今の原油高騰…どこも必死なのである)。

そんな事情があって、確実に駐車場を確保するため、作家の入り時間10時30分のところを、午前8時には周辺に到着するスケジュールを組んだというわけ。だけど、よくよく考えると、今日は日曜日。家から会場へ向かう途中も、道はガラガラ。「ちょっと早すぎたかな?」。そんな予感は的中し、目当ての時間貸し駐車場へ到着してみると、ほとんど空き状態。だが、今日のスチール撮影のためのフィルムを買いにいったりと、色々用事もあるから、2時間くらい、あっという間だろう。先に車中で一眠りしてから…と思うも、買い物を先に済ませるのが先決。車を停めて、まだ日陰も多く寒さが肌にしみる時間帯、表参道を原宿方面へ下っていった。

すると…ヒルズの前に、なにやら長蛇の列ができている。それも相当な数の…。間違いなく、数百人はいたはず。もしかすると、千人超えか? そう感じさせるほどの、長い長い行列。「クリスマスのバーゲンでもやっているんだろう」と思いきや、行列の先には、「SMAPショップ」と看板が掲げられていた。臨時の店舗なのか、スペースは想像していたより小さい。「こんなに小さい店の中に、この行列している皆さんに行き渡るだけの商品があるのだろうか?」と、余計な心配までしてしまったほど。それにしても、ファンって、本当にありがたい。僕も、無償の愛で支えてくれる人たちに守られてみたい。

ちなみに、夜に再び前を通ると、朝には店内のマネキンに着せられていた衣装まで全て完売していたよう…うらやましい。


フィルムは古の産物か?


作品を記録するときは、デジタルカメラだけじゃなくて、フィルムカメラでも撮影するようにしている。きっかけは、デビューのとき、プロの写真家の方に作品の記録撮影をしていただいて、その出来栄えが驚嘆するほど美しかったから(もちろん、仕上がりは機材や仕様に依存しているわけではなく、全ては経験と技術によって導き出される結果だということは、重々承知している)。それ以来、かなり簡易的ではあるが、自分でもフィルムを使った撮影をするようにしている。

思えば、フィルムを買うのも久しぶり。ベアリング・グロッケンの展示以来だから、ちょうど一年ぶりくらいだろうか? デジタルカメラは、けっこうちゃんとした一眼レフだけど、フィルムカメラの方は、その昔、親が観光旅行の記念撮影のために使っていたようなもの。いわゆる、コンパクトカメラというやつを使っている。もちろん、撮影の調整なんてできないんだけれど、やはり、開発の歴史がデジタルのそれとは圧倒的に違うからか、シャッターひとつで捕らえた写真が、なんとも雰囲気のあるものに仕上がるから不思議だ。



素人ながら、フィルムの選択も、少しだけこだわっている部分がある。普通にコンビニでも売っているタイプなんだけれど、あるフィルムとこのカメラの組み合わせが、実にいい効果を生み出してくれるのだ。LOMOとかHOLGAといったトイカメラが流行っているようだけれど(僕も欲しい)、ああいったカメラ特有の「トンネル効果」(画面の四隅に陰が落ちるようなイメージ)が若干見られる場合があって、現像から上がってくるときが、何よりも楽しみなのである。それに、よくいわれる通り、奥行き感も断然違う画になる。まぁ、ただ僕が、デジタルカメラを使いこなせていないだけだろうけれど(苦笑)。



そんなわけで、今日もコンビニに寄って、フィルムを買い求めようとするも…おや? フィルムはあるけど、12枚取りのものしか、置いていないぞ。うぅ〜ん。いつもこの辺りでフィルムを買うのに立ち寄るコンビニまでいく? 結構距離、離れているけど…。

歩くことおよそ15分。眠気もすっかり振り払われ、身体も温まったところで、目的のコンビニへ到着。すると…今度は、フィルム自体の取り扱いが終わっている(泣)。困った。この時間、まだ渋谷駅前のビックカメラは開いていない。ここの他にコンビニは…脳内記憶検索! 思いついたけど…またちょっと遠いぞ(泣)。

さらに歩くこと10分。次のコンビニへ到着。が…ここでもフィルムの取り扱いがなくなっている。そういう時代…ということだな。さらに別のコンビにも近くにあったけれど、あきらめて、ビックカメラが開くまで待つことに。それまで、車に戻って一眠りしよう。でも、すっかり駐車場から遠くは慣れたところまで歩いてきてしまった。早速、足も痛み始めている(この4日間の影響で)。「脳内ぐーぐるまっぷ」を起動して、即座にショートカットルートを検索(苦笑)。すると、意外にも想像していたよりも近道して戻ることができた。昔、散々散歩したおしておいたかいがあった。そういえば、数年前、表参道から自宅まで歩いて帰ったことも。我が家は、表参道下車、徒歩2時間30分の物件ということが判明。これじゃ、いつまでたっても人気は出なさそうだな。


突き動かされるもの


車に戻って食事を済ませ、今朝も忘れず、携帯電話の目覚ましをセットして仮眠の準備。車の中にはいつも、機材を運搬するときの緩衝材代わりとして毛布を何枚か常備している。それにくるまり、ポカポカの状態で1時間ほどうたた寝。決して快適ではないけれど、なんだかやけに、幸せな気分だった。

今年様々な出来事で辛い思いをして、どうなるのやら?と心労を重ねていたのだけれど、こうして年の瀬に展示機会が得られて、それが自分でも満足いく形で披露できたことが何より嬉しかったのだろう。懐事情はますます…だけれど、この展示を無事に終えて、今年の有終の美を飾りたい…その気持ちが、ものすごく強かったから。無理なスケジュールで作品制作に突入したのも、そうした思いがあったからだし。だから余計に、この束の間の休息の時間が、心地よく思えたに違いない。

制作途中も、「自分をここまで突き動かすものは、何なのだろう?」と考えていた。未だにその理由はわからないけれど、誰に頼まれるわけでもなく、誰のためでもなく、特別な利益が得られるわけでもなく、ただ、「創りたい」というだけで、ここまでできるものなのか? それが自分でも不思議でならなかった。おもえば、完全に独りですべての準備を手がけた展示は、デビュー作「Long Autumn Sweet Thing」を発表したとき以来だ。制作していた季節も近くて、展示に挑む気構えや途中、肌に感じていた空気感まで、すっかり当時と同じような気分になっていた。だからこそ「今回の展示も、きっと上手くいく」と思えたに違いない。まぁ、僕が自分の展示でヘマをすることなんて、ないんだけどね。なんて(笑)。


Scene of Light = SOL 「母なる光」


そんなことを夢うつつに思い浮かべていたかどうかは定かでないが、心地よいうたた寝も、時間通り鳴り出した携帯電話の目覚ましによって遮られた。さぁ! いよいよ最終日だ! 気を引き締めて取りかかろう。まずは、手に入れ損なったままのフィルムを買い求めにビックカメラへゴーだ!

午前9時。かなり日も高くなってきていて、日差しが当たる部分は、暖かさかを感じるほどになっていた。冬の朝の張りつめた空気は、なんて心地よいんだろう。気づけば、朝からこの周辺を歩き倒しているから、身体もけっこう元気だ(笑)。やっぱり、朝日が昇る時間に暮らすのが、人として正しいような気がする。そういえば、この作品の制作中は、珍しく午前中から起きて仕事をしていた。僕にとっての午前中といったら、日が昇らないうちの時間帯がほとんどなのだが、この作品は、「母なる光=太陽」へのオマージュでもある。だから、朝から、日を浴びながら作業したかったんだ。



Scene of Light=SOL=太陽をイメージしたタイトルだということに気づいた人は、どれくらいいるかな? 太陽は、「母なる光」といえる。すべての輝きの源だ。太陽を見上げて、美しいと思わない人はいないだろう。その尊さを、僕なりの表現で示していこうとしているのが、この「Scene of Light」シリーズというわけ。今回の習作が、どのように展開していくか、楽しみにしていて欲しいな。いくつか、かなりプランは練ってあるのでね。それを実現するためには…資本主義の世の中に暮らしているわけだから、まずは、先立つものが必要になるけれども…。



 


余計な買い物


渋谷のビックカメラは、たまにしか利用しないので、売り場の配置がよくわからない。ちょっと戸惑うも、目的のフィルム売り場に到着し、早速、必要なものを手に取る。それで帰ろうと思うも、よりどりみどりのフィルムが目の前にあると、つい、余計なものまで手にしてしまう。

「もうちょっと高感度のフィルムで撮影してみたら、どうなるかな?」

カメラ自体の調整ができないコンパクトカメラでも、フィルムの種類を選べば、また違った魅力で記録できるかもしれない。このカメラのレンズ自体もかなり明るいのだけれど、それでも室内だと、ファインダー内でははっきり見えていても、全体をきっちり捕らえきれていないことも多い。なので…高感度フィルムを…おっ。隣には、白黒かぁ…これも高感度のタイプで試してみたいなぁ…ざらざらした質感で撮れるんじゃないかなぁ…など、朝から独り、完全に自己満足モードに突入してあれこれ買い物を楽しんでしまった。

結局、感度の違うカラーフィルム3本と高感度白黒フィルム1本の計4本のフィルムを仕入れる。今朝、コンビニでフィルムが手に入っていれば…こんなことにはならなかったのに…。駐車場代を節約しても、結局ここで散財していたら同じことだ。しかも、現像だって本数分、お金がかかるってことを忘れてないかい?(苦笑)

ついうっかり買い物に興じすぎたせいで、気づくと、入り時間の15分前。撮影時間を少しでも長く確保するために、タクシー移動か? それともこの場合、電車で一駅乗るのが早いか? 徒歩でも10分あればつくはずだ! その3つの選択肢から、徒歩を選択。宮益坂を極力早歩きで登りきり、やや息を切らせながら、青山通りを闊歩。横断歩道を渡る順番も頭に入れながら会場へ一目散で向かう(そうしないと、余計に時間がかかるから)。



日本にはいい言葉があります。


会場へ到着。が、ここでまず、つまづく。どうもこう、杓子定規な対応しかできない人たちが増えているような気がするんだけれど…朝から、まず一つ、イライラ。そんな調子のまま、今朝は自分で電源を入れて、撮影を開始。順調に撮影を進めるも、開場してから、またイライラ。あえて聞こえるように、その苛立ちをぶちまけてしまった。大人げない。反省(土下座)。後日、記録を確認すると、そのときの様子が、ビデオにしっかり記録されていた(改めて反省)。

だけどさ、日本には、「お互いさま」といういい言葉があるじゃない? それを皆さん、忘れていませんか? 誰しも、自分の立場でしかモノをいえないのはわかります。でも、自分の都合ばかり主張するのは…ねぇ。こちらだって、辛抱しているのですから。お互いさまです(笑)。とはいいつつ、すんなり先方の主張を受け入れてしまった自分…哀しい(泣)。


お金がない! ファイナル!



今日の最終日は日曜日ということもあって、お客さんの出足がかなり緩かった。午前中は開店休業状態に近く、午後もかなりゆったりした時間から盛り上がってきたのだが、夜には、昨日の盛況ぶりが戻ってきたようだった。

久しぶりに逢う仕事先の方もきてくださったし、そんなに多くはなかったけれど、普段、なかなか会えない友人や知人と顔を合わせることができるのが、僕にとっての展示機会の醍醐味となっている。本当はもっと多くのみんなと会いたかったんだけれど、なにせ、師走の年末進行の最中ですから、みなさん、都合が…ねぇ。またの機会に、是非! 僕は普段、独りで仕事をしているんで、こういう機会に話しだめ?しておかないとならないから。普段は貝のように静かなんです。いや、ほんとに。

今日も友人知人、それから出展者の皆さんと駄弁に興じた一日…こんな過ごし方でよかったのだろうか?(苦笑) そろそろ撤収の時間が近づいている。まずは、車に置いてある梱包材をとりにいくことから始めよう。昨晩、帰るなり荷物を整理しておいたから、自分の展示としては初! 梱包材がボストンバック1個の中に収めることができたのだ。これは、奇跡的!(持ち帰る機材は、それどころじゃ済まないけど)。なので、駐車場まで徒歩で向かって、鞄を担いでまた戻ってくる…車を動かす手間も減ったし、なかなかよく練られた搬出マネージメント。我ながら、あっぱれ!



搬入時は、40組の作家がまばらに現れてセッティングしていったので、それほど混雑はなかったが、今日は、同じ時間にいっきに搬出が始まる。当然、混雑が予想されるし、自分は荷物も多い方だから、ゆっくり進めよう…だけど、そう考えているはみな同じことだろうから、ほどほどにペースを保ってやっておかないと、運び出すときに混雑に巻き込まれてしまうかもしれない。とにかく、周りの様子を見ながら…だな。

撤収をはじめてみると、意外にも順調に作業が進んだ。今回の作品は、これまでと違って、「シンプルに、さらっと展示できるようなものを」と考えて取り組んだだけに、その狙い通り、撤収もスムースに終えられそう。だが、それでも人よりは荷物が多いようで、周りを見渡すと、すっかり皆さん、作業を終えて、続々、会場を後にしていく…。

会場から支給された90センチ四方の展示台も、次々とスタッフの手によってバラされていき、気づくと、僕と、他数名くらいしか残っていない状況(苦笑)。まぁ、こういう状況になるのも想像できていたから、空いた空間でダラダラと梱包しますかね…だけど、展示台も撤収されてガランとした会場の様子を見たときは、かなりの寂しさを覚えた。嗚呼。これで今年も終わるんだな…。すべてが梱包し終わったところで、残った作家の皆さんとお別れの挨拶。さぁ、最後は、荷物を車に積み込むだけ。駐車場へ、車を引き取りに向かった。



暗く寂しい駐車場。その寂しさを増長させる精算機の機械音によるアナウンス…。こんなところに独りで長居するのはごめんだ。さっさと清算を済ませて会場へ戻ろう。

清算開始。金額は当然、一日最大上限価格が表示される。支払いを…あれ? あれ?あれ?あれ? 今朝、あれだけ沢山あった千円札が、一枚しかない!!!! なぜ? あっ。隣でやってた展覧会の図録としおりを買ったときに…ごっそり千円札、使ってしまったー。あれだけ用意周到準備していたというのに!!!!(泣)。あれ? そういえば、帰りの荷物の中に、その図録が見当たらなかったけれど…どこへやったっけ? あっ。荷物保管場所に忘れたままだ。急いで会場に戻らないと、行方がわからなくなっちゃうかも。

やや慌てるも、支払にはカードも使えることを確認。ふふふ。これで乗り切れるじゃないかっ! 早速、財布から取り出して挿入。これで一安心…が、なかなか終わらない。なぜ?なぜ?なぜ? 「センターに接続しています」というアナウンスが連発している。おかしい? あれ? もしかしてこれ、カードも飲み込まれたままか? 取り出せないのか? とりあえず、取り消しボタンを押してみる…すると、カードはすんなり吐き出されてきた。はぁ。焦った(汗)。もとい、改めてカード支払いを…。再びカードを挿入…。がしかし…。今度は無情にも、「カードは使えません」とのアナウンスが…。嗚呼。また、両替にいかないといけない。


「お金が、ないー!」


撤収マネージメント。あっぱれ! じゃ、全然なかった…これじゃむしろ、「渇っ!」だ(苦笑)。


まさか、初日の夜、帰り道の地下鉄の駅で仲間が轟かせた「オチ」を再び僕がここで放つとは…情けない。こんな物語は、誰も求めてないー! 何より悲惨なのは、その状況で、僕は独ぼっちだったことだ。この苦境を笑いに変換するためには、隣に誰が必要なのに…嗚呼。作品制作だけじゃなく、こんなことまで独ぼっちだとは…はぁ(苦笑)。



日曜日の午後10時近く。この辺りで買い物ができる場所があったかな? 半ばあきらめ気味に会場までの道のりをそのまま戻ってみるも、買い物ができそうなお店は見つからず…どうしよう(汗)。

いずれにしても、必要のないものを買っても仕方ないしなぁ…そうだっ! がんばってくれた女性スタッフに、お花を贈るというのは、粋じゃない? 確か、この辺にお花屋さんが…やっぱり、閉まってた。。。。困った。コンビニなんてこの辺にはないし…。



寒さも手伝って、そろそろ本気で泣きそうになっていた頃、目線の先に、希望の光がっ! おぉ。ケンタッキーフライドチキンがあるじゃないかっ!

飲み物だけを買うつもりが、それだけじゃ悪いし…なんて、ここでも無駄な気を使ってしまって、ポテトを合わせてオーダー。まぁ、夕食も中途半端だったし、丁度お腹も少し空いていたから、つまみ代わりに都合が良さそう。だけど、余計に荷物が増えてしまった。これはちょっと都合が悪い。というわけで、駐車場まで戻る間の数分のあいだに、それらはすべて胃袋へと場所を移動。これで両手が自由となった。よし! 今度こそ、ようやく、出庫だ。

会場に戻ると、全体の撤収も概ね終わりに近づいていた。車をとりにいっていたにしては時間がかかりましたね…なんて声をかけてくれるスタッフは誰もおらず(皆、自分の仕事で手一杯だったから)、独り台車を借りて、自分の荷物を車へ移動させる(気になっていた図録は、スタッフの誰かが、僕の荷物にそっと寄せておいてくれたよう。ありがとうございます)。

荷物を積み終えてから、再び会場内へ。最後の挨拶。気づけば今はもう年末だ。きっと今年、皆さんにお目にかかるのはこれが最後になるでしょう。「よいお年を」。最後はきちんと、礼を尽くしておきたいから。きちんと挨拶。これ、当たり前のことだけれど、肝心。


波乱の一年の締めくくりを、皆さんとの仕事で迎えられて…僕はまだまだ運を味方にしているようです。どうもありがとうございました。



メリー クリス枡


別れ際、今年のクリスマスキャンペーンの一環としてプレゼントされている「クリス枡」を差し出される(これ、単なるだじゃれじゃないんですよ。今回の展示で使われた四角形の展示台と枡の形が同じことが発想の由来になっているんです)。これ、実はちょっと、欲しかったんです(笑)。大切にします。



去年の今頃は、ここで展示を終えて家路に向かうとき、こみ上げてくるものがあった。今年は流石にそこまではなかったけれど、いつもとはまた違う寂しさを感じていた。それが何か、まだよくわからないけれど…。

車に乗り込み、いざ、我が家へ。これでようやく、長かった2週間が終わる。挨拶をできなかったスタッフの方へ携帯からメールを送信。慣れない業務で本当に色々と大変だったことでしょうが、一つ一つ丁寧に対応していただいて、僕はとっても助かりました。そして何より、会期中、僕の話し相手としてたっぷり機能してくれたこと(笑)…この上ない感謝の気持ちを送ります。

一息ついてイグニッションキーを回すと、今度は、光の使者?からメールが届く。「お先に」…って。そうかぁ…結局、ここでも僕を待ってくれる人は、誰もいなかったというわけねぇ(苦笑)。


大丈夫。何も変わってなんかない。



この展示の実現のために、僕を突き動かしていたものが、ようやくわかった。今年の苦境を自ら越えるためには、自らの仕事で締めくくる他ない。だから、無理なスケジュールでも挑んだに違いない。

結果は、展示が実現できたこと以上に、沢山の人に触れられたことが、最も大きく重要な成果といそうだ。久しぶりに逢った人。逢いたかったけど逢えなかった人。新しく出逢った人。これからもお世話になる人。いろいろ。たくさん。いっぱいの嬉しい楽しい出来事があったから。結局僕は、人と触れ合いたくて、表現することをやめないのかもしれない。


終わってみて気づいたのは、いつだって僕には、大勢の仲間がいて、馬鹿話につき合ってくれる友達がいて…気の置けない沢山の面々からの励ましや支えがあって僕がいる、という…そんなとっても恵まれた、そしてこれまでと変わりない境遇に僕は今でもいるということ。何も変わってなんかいない。何も失ってもいない。だから、何も心配はいらない。見失いそうになっていた、そんな当たり前のことを改めてわからせてくれた。


それから…僕の中にある大切なもの…それがようやくわかった気がした。だけど…いまごろ? ちょっと遅すぎたんじゃない?(苦笑)。まぁ、自然の流れの中で、いつか…そんな日がやってきたら、いいな。



これで、長く苦しくて辛かった…だけど終わってみれば、嬉しく楽しく愉快だった、波瀾万丈の一年がようやく幕を閉じようとしている。来るべき翌年、ここまで積み重ねてきたことが、そろそろ一気に弾けそうな予感もある。今年たっぷりかがみ込んだ分、弾けたときは、これまでよりも、もっと遠くへいける…そう信じている。

どんな明日がやってくるのか? 誰も歩いたことのない道を、僕はこれから、歩いてゆく。



ありがとう。
また来年。
メリークリスマス!
そして、よいお年を!


おしまい
 
 
 

2007年12月24日

幕を開けろ! その5

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坂本龍一
エイベックス・エンタテインメント 2007-12-12

by G-Tools


クリスマスを控えた三連休、中日。よせばいいのに、街まで。なぜって? それは、先日、現像を頼んでおいた写真が上がっている予定だったから。「Scene of Light」の展示記録を早々に仕上げておきたくて、フィルムの写真素材が必要になったというのも、慌てて出かけた理由の一つ。各方面へお配りするためのDVDジャケット用に、いい写真がないかと期待していたというわけだ。

現像を頼んだフィルム数は、カラーと白黒、あわせて計4本。今時、デジタル処理すればいかようにもなるというのに、今回は、わざわざ白黒フィルムでも撮影をしてみた。これは単なる、自己満足のため。高感度の白黒フィルムで作品を撮影したことがなかったので、どうなるかを試してみたかった…それだけの理由。いや、フィルムを探していた最終日に、コンビニでいつも使っていたフィルムさえあれば、こんな無駄遣いはしなかったのだけれど(その件は、近くアップされるはずの「幕を開けろ! その6」で紹介予定)。

白黒フィルムは仕上がりまでにちょっと時間がかかるということだったけれど、カラーはもうできているはず…そう思って、混雑を覚悟で出かけると、僕の勘違いで、まだ何も仕上がっていなかった。その他にも細かい買い物などあったから、その用事だけでも済まそうと街を歩くも、やはり連休中の街は、何事も能率が悪い。人ごみがますます苦手になってきている昨今…それだけでもやられ気味だというのに、どこへいっても空気さえ薄く感じられ、気づくと、相当気分が悪くなっていた。頭も痛い。今日は比較的暖かいというのに、寒気もするようだ。この年末…まだまだ休んでいられないんだから、風邪を引かないうちに帰ることに。結局、予定の3/5くらいしか済ませることができなかった。混雑する街へ慌てて出かけてもいいことなんて一つもないことは重々わかっているのに、辛抱できなかった自分にも苛立つ始末。情けない。

こんな夜は、お気に入りの音楽でも聞いて、心を鎮めよう。


「トニー滝谷」


この映画を最初に見たのは…ケーブルテレビでの放送だったかもしれない。いや、予告編だけみたような気もする。画の質感とそこに漂う空気感に圧倒されて、即、DVDを購入した。坂本龍一の繊細なピアノ曲によるサウンド・トラックも、本作の白眉と言えよう。それをじっくり聞きたくて、手元に置くことにした。

だが、サウンド・トラック単体での発売は、最近、ようやく実現したばかり。もちろん、迷わず購入。「禁じられた遊び」や「パリ・テキサス」など、予算の都合もあったらしいのだが、ギター単独で作曲されたサウンド・トラックの中には、歴史的名盤として語られるものがいくつかるが、ピアノだけで構築されたものでは、これといって思い当たるものがないような気がする(物語の主人公がピアニストだったり、ピアノが関係するドラマを除いて)。

おそらく、この「トニー滝谷」も、潤沢な音楽予算があったとは思いにくい。いずれにしても、ピアノだけで綴る…という選択は、大正解だったように思う。とにかく、映像と音の親和性の高さは抜群。DVDに収録されているメイキングシーンでは、この独特の映像美が生み出された秘密が明らかにされている。なるほど! どこかで体験したようでいて、かつ、非日常的な画が生み出されているのは、こういう理由だったのか! けれど、非日常的でありながらも、自然に仕上がっているあたりは流石。まさに「風景」といえる画面になっている。

音楽も同様に「風景の音楽」としての設え。主張するわけじゃないけれど、ないと寂しい…そんな感じの。まさに「風のような音楽」といえそうだ。本作が、「名盤」と呼ばれる日も、そう遠くないであろう。少なくとも、僕にとっては既に「座右の銘盤」となっている(笑)。


また本編がみたくなった。静かな今夜、そっと眺めることにするかな。


「an etude for Scene of Light〜光の情景のための習作」公開3日目の記録。今日は、北から「おやつの使者」が現れた(笑)。
 
 

 
何が起こるかわかりません(笑)


3日目の朝。予定通りの時刻に目覚めるも、すっかり緊張感も抜けて、朝からやや、ダラダラ。作品の電源投入も我が電源投入の使者?に任せておいたから、今日もゆっくり目に会場入りすればいい。夕方に来客予定があるから、その直前にいけばいいくらいなのだが、その前に、お招き差し上げたお客さんがいらっしゃらないとも限らない。なので、やっぱり朝一番からの会場入りを心がけてしまう。

今日も予定通り、5分ほど遅れて到着。すると、我が電源投入の使者が、僕の作品の近くで慌てて駆け出している。何事か? と思いきや、単に、既に開場しているのに、電源を入れ忘れていたということだったらしい。朝の挨拶を済ますついでに、早速、その件をツッコミ。「ホントに、何が起こるかわからないですね(笑)」と、昨日の夜の別れ際の言葉からつながって今朝のこの調子…。なに? 僕の人生はやっぱり、ドラマ仕立てなのか? なんてことも思ったり…まぁ、今年は本当に波瀾万丈だったから、その一年の最後を飾るイベントで、楽しい思い出が一つ一つ蓄えられるのは、嬉しいこと。みなさん、ありがとうございます。



土曜日。週末ともあって、かなりのにぎわいをみせている。だが…僕の展示は、まさに「箱」のような状態なので、かなりの確率で素通りされてしまう。初日から、キャプションの置き場所に困っていた。なにせ、全面鏡張りの展示ゆえ、どこに置いても画にならないのだ。床に置くと、説明を読むためにお客さんがしゃがみ込んでしまう…その図は、あまりにも美しくない。そもそも、大人が靴を脱いで上がったり床に座ったりしゃがみ込んだり、何かを身体に取り付けたり…それはあまりに野暮臭い。

こういう展示機会だから、見てもらうことが重要だし…やはり、キャプションは、鏡の上に置こう。あまりに自然な状態で設置できてしまったので、天板が鏡になっていることに気づかないひともいたみたいだから、映り込んだキャプションをきっかけにして気づいてくれたら…そんな目的もかねて、上に置くことにした…といいつつ、「やっぱり、上には置きたくないよなー」なんて独り言を連発して、下に置いてみたり…またもどしてみたり…と、落ち着かない(苦笑)。



おやつ 独り占め


夕方、予定通り、来客。これまでも多くの活動を共にしている建築家・福島慶介が実家のある小樽から弟さんを連れてやってきてくれた。若いのに気の利く素晴らしい青年だっ! 甘いもの大好きな僕に、とってもスウィートで濃厚なクリームが織り込まれたチーズケーキを小樽からお土産に持参してきているとはっ! 素晴らしいっ! 会場は飲食禁止なのだが、お土産を持ってきていただいた礼儀として、その場で味見しないといけないでしょ? なので、こっそり一口、いただきました(土下座)。いや実は、ただ、一刻も早く、その味を堪能したかったからだけなんだけど…。味は、評判どおり、とってもおいしくて…その後の時間、裏の事務所に身を寄せて、数分の間に、独りで全部平らげました。スタッフの皆さんでもいたらお裾分けしようと思ったんだけれど、タイミング良く?誰もいらっしゃらなかったから…。皆でシェアできるように…と、気を利かせて用意してくれた使い捨てのスプーンは、あいにく、全く役目を果たさないままでした(僕が独り占めしたせいでね・笑)。今度は是非、現地でこれを味わいたい。もちろん、絶品の海産物もあわせて、ね(笑)。

夜、別の友人が来場。彼は映像の専門家なので、合成のことなど、あれこれ技術的な話題で盛り上がる。「この後、食事をする予定があるけれど、一緒にどうですか?」と誘ってくれるも、明日の搬出準備もあるし、既にその日も、相当な疲労っぷりだったし…終わってからの体調次第で…という曖昧な態度に留めておいたら、その後に、メールが…食事の約束は勘違いだったとのこと。ふぅ(苦笑)。でも、これで少しは、明日の搬出に向けた体力温存ができそうだ。


記録撮影


今日の最大の仕事は、作品の記録撮影を自ら行なうこと。前日、同じ展覧会に出展されているシムラユウスケさんが、会場全体の記録撮影を行なってくださって、僕も気づかなかった見事なアングルを発見してくれた。自ら「直線好き」と名乗る氏だけあって、流石だ。お陰で、スチールの作業はかなりスムースに進んだ。

ただ、ビデオの記録が…難儀してしまう。鏡を使った作品だから、当然、周囲の風景がすべて入り込んでしまうわけで…どのアングルから狙うのが正解なのか? 初日から随分と思案していたが、結局、普通のアングルに収まってしまった。こういう作品の撮影のときには、カメラごと水平に移動できるようになっていると便利なんだろうなぁ…レール、自作するかな? なんてことまで、一瞬本気で考えたり(苦笑)。

その後、いろいろと試していると、予想外に面白いアングルが発見できた。記録の中で有効に使えるかどうかはわからないけれど、とにかく、押さえておこう。どう活用するか、今後の編集でのチャレンジになるけれど。

閉場後、会場の後片付けが終わる時間まで、およそ30分くらいだったか…これまた独り、必死に撮影慣行。だけど、まだ素材が足りなさそう。明日、朝、早く入って再チャレンジしよう。我が電源投入の使者も、明日は午後からの入りらしいから、遅刻はできません(苦笑)。



家路へ。普段はの移動は、極力、JRを使わないルートを選択しているのだが、夜の時間帯は、逆にJRを使う方が、比較的ゆったりした気分で帰れることに気づいて、この会期中は、いつも、JRを選択して帰宅していた。

そんなわけで、今宵も迷わずJRへ。それにしても…このところ、やたらに人身事故などが各鉄道で起きているようだけれど、これだけの人がホームに常時いたら、事故が起きない方が不思議だ。せめて、混雑時は、階段の両脇の、ホームが狭くなっている部分には立ち止まらないで欲しいな。このところ、駅のホームを歩くときまで、相当気を使わされる。こんなことで、怪我などしている場合じゃないから。自分の名前を冠して作品を発表している以上、僕の代わりはいないんだから、背負っている責任がある。うっかり…なんてことだけは、ないように心がけたい。

明日はいよいよ最終日。搬出をスムースに行なうために、帰宅したら運び出す荷物の準備と…あっ。一日最大3000円のコインパーキングを無事確保するために、午前8時には会場周辺に到着していないとなぁ…。作家の入場時間は、10時30分だというのに(泣)。なんだか、花見や花火大会の場所取りみたいだ。まぁ、場所を確保したら、車の中で眠るとするかな。そういえば、去年の冬に参加したお台場の展覧会でも、会期中、ほとんど車の中で眠っていたっけ。こういうとき、独り身のくせに家族仕様になっている僕の車は、なかなか重宝してくれる。


つづく
 

2007年12月23日

幕を開けろ! その4

B000WZO64OSILK
ryuichi sakamoto 坂本龍一
エイベックス・エンタテインメント 2007-12-12

by G-Tools


またもや、映画本編を見ていないサウンド・トラックを手にしてしまった。同じようにして、本編を見ていないサントラが、我が家にはいくつもある。久しぶりに、教授の美しいストリングスをたっぷり堪能できた気がした。弓と弦がこすれる感じまでリアルに記録された音…レコーディングの醍醐味を存分に味わえる内容だ。これを現場で生で聞いたら、確実に鳥肌が立つに違いない。オーケストラの演奏だけは、生に勝るものはないと思う。去年、東京で体験したルツェルン祝祭管弦楽団の演奏は、一生の想い出として僕の記憶に刻まれている。アバド指揮、マーラー6番…あの演奏は、生涯忘れることはないだろう。

さて、「an etude for Scene of Light〜光の情景のための習作」公開2日目の記録を。この日も朝から、慌ただしかった。
 
 

 

メールメールメール! 電源投入の使者? 再び登場!


急遽制作、発表することになったこの作品。お陰で、自分のサイトを含めて、告知が全然間に合わなかった。とにかく、作るのが精一杯だったから…。制作期間にも、いくつか個別にメールでお知らせを送らせてもらったが、まだまだ送らなくてはならない皆さんが沢山いらした。というわけで、今日はまず、そのお便りを送る作業から始まった。

今年の前半、これまでのお便りの送り方を改めることを決めた。いわゆるBCCで送る形式…これまで便利だったからその形で進めていたのだが、ずっとこのスタイルに違和感を抱いたままだった。いくら面識のある相手に送っているとはいえ、このスタイルで送るのは、失礼じゃないだろうか? 相手へそれぞれ宛てた思いのこもったお知らせじゃないと、伝わらないんじゃないか? そんな疑念が積もり積もって遂に爆発。そこで、告知はblogで行なうことにして、興味のある方だけに見てもらう方式に変更…けれど、それも想像した以上にリアクションが薄く…これではいけないと思い改め、その都度、見てもらいたいと思う方々に、僕の活動に興味を示してくださっていると思われる皆さんに、個別に連絡をいれるようにした(皆さんの忙しさの度合いなども考慮しながら)。

すると当然、それだけ、お便りを書く時間が必要になる。いろんなことをすべて独りでやっている僕にとって、少しでも業務の負担を減らそうと、「告知はblogで」…そうしたはずなのに、結果は余計に時間を費やすは羽目に…。でも、一通ずつしたためた便りが、これまでよりも相手の気持ちに深く届くのであれば、それくらいの労力は惜しまない。もちろん、思いが届くことの方が大切。だから、これからも届けたい皆さんへ、一通ずつ、したためることにする。とっても全部には送れないから、マメにblogをチェックしてもらえると嬉しい…んだけどなぁ(独り言)。


といった具合で、その日の朝も、昔、不覚にも習得してしまった高速ブラインドタッチを駆使してメールを必死で書き続けるも、やはり、どうにも時間が足りなくなってしまっていた。これじゃ今日も、遅刻しそう…そう思って、会場のスタッフへメールを入れる。「遅れそうなので、今日も電源、入れておいてください。入れ方は、○○○さんにお伝えしてあります」と。

遅刻といっても、ものの数分遅れるだけの見込み。昨晩も疲労困ぱい状態で帰宅したので、顔だけ洗って寝てしまったから、お便りを送り終わってから風呂を浴びた。上がると、会場から携帯電話に不在着信が…伝言は残っていない。けれど、ピンときた。たぶん、電源の入れ方が、わからないんだろう。でもまぁ、5分くらいの遅刻予定だから、僕が到着してから入れればいいかな…そう思って、特別折り返すこともなく、身支度を始めた。



今朝は、親を連れていく予定にしていた。急いで作った割には、かなり奇麗に仕上がったから、是非、みせておきたいと思って。いつも、息子が何をやっているのか? よくわからないままになっているから、仕事の成果は、きちんとみせておかないと…この数年は、そう思って毎度誘っている。去年のベアリング・グロッケンのときも、横浜でのPopulouSCAPEの上映も、親を呼び寄せてみてもらった。いずれも気に入ってくれたようで…素直に、嬉しかった。

会場へ向かっている途中の乗換駅。都内の駅の中でも有数の長さで有名なエスカレーターを下っているときに、再び会場から着信。予想通り、なじみの声が聞こえた。「電源の入れ方が〜」。やっぱり(笑)。いつかのときも、こんな調子で、お手を煩わせたっけ。でも、あなたの手を煩わせると、どうやら僕には、いいことがあるみたいなので、今度もまた、甘えさせていただきますよ。「スタートボタンを押すだけです」。今度は、いつかのときとちがって、簡単だったでしょ?(笑) 電話口から、僕の音楽が鳴り響く。これもいつかのときと同じ。懐かしい感じがした。


団らん?


予定通り、5分ほど遅れて会場入り。僕の作品を含め、会場の全作品を親に見てもらう。こんな仕事をしているんだよ…それが伝わることが重要だから。

鑑賞は、ものの10分程度で終了。そそくさと帰ろうとする親を引き止めているところで、僕の電源投入の使者?が偶然登場。5年前。この同じ場所で催された僕のデビューの機会にも親は見に来てくれたのだが、確か、入れ違いできちんと紹介できないままでいた。今回、簡単ではあったが、紹介できてよかった。僕がどういう人たちと仕事をしているのか? 誰の支えがあって今日もこうして作品が発表できているのか? 伝えておきたかったから。そして、僕がどんな親に育てられてこんな風になったのか?(笑) それも知っておいてほしかったから。一つ一つ…手遅れにならないように、ね。

わざわざ出てきてくれたのに、これで別れるのもなんだから、ちょっと早めの昼食を隣のカフェでとることに。親子そろってランチセットというのも寂しいので、メニューからいくつか気になったものをチョイス。こうみえて、味には相当うるさい親子だから、差し出されてきた皿を次口に味見しては、あれやこれやと陰で駄目だし(苦笑)。いや、ツッコミを入れながら、食事を楽しんでいた…という感じかな?(笑) まぁ、どこの職業シェフよりも長い月日、家族の団らんを演出する食事を作り続けている母に言わせれば、採算重視で提供されるどんな食事も、今ひとつに違いない。家の食事がおいしくなくてどうする? 家族が育まれないじゃないかっ! ありがたい環境で育ててもらったことに、改めて深く、感謝!


公園で子供を遊ばせている親のように


展示は…基本的に、完全に放置状態。なぜってそれは、物販するものもないし、僕がそばにいたら、じっくり作品が見てもらえないから。

今回は、作品が本来備えている本質とはまた別に、鑑賞者同士のコミュニケーションが、この作品を介して生まれたら…そんなことを目論んでいた。鏡に浮かぶ映像と鏡に映る自分…一対一で作品と向かい合うだけじゃなくて、鏡に映った他の人の表情をみて、そこで思わず、何かの会話のきっかけが生まれたり…そんな素敵な出逢いは、生まれていたんだろうか? 公演で子供を遊ばせている親のように、遠くからときおり、作品の方を眺めるだけだったから、実はよくわからない。気になったことといったら、マナーの悪い鑑賞者のことばかり…。自分の思いがどれだけ伝わるか? 作品を発表する機会は、その実験の場ではあるんだけれど…毎度のことながら、残念な気持ちになることも多々ある。まぁ、僕が僕であって、そんな僕だからこんな作品が生み出せるわけだから…んっ? 何を言っているのか? 自分でもよくわからない…独り言…ブツブツ(苦笑)。


失笑の使者? 登場!(笑)


夕方、知り合いの画家と偶然遭遇。別件打合せで会場にきていたそうだ。それにしても…毎度、失笑を浮かべながら僕に歩み寄ってくるのはなぜ?(笑) 毎度言いますが、こんな時代に、笑顔を振りまいて迎えてくださるのは、本当にありがたいことです。感謝しています。だけどそれにしたって…。「大きな子供がいるみたい」。そういって笑顔を浮かべてきてくださるのは、褒め言葉? と捉えてよいのでしょうか?(笑)

その後、仕事で世話になっている方を交えてしばし談笑。馬鹿話から真剣な話題まで幅広く…。束の間だったけれど、楽しくも充実した時間となった。時折みせる彼女の真剣な眼差しは、いつか写真でみた、大きなキャンバスに向かって制作しているときの表情そのもので、彼女の作品のスケールや力強さ、広がりをそのまま映し出しているようだった。


似た者同士?


夜。別のスペースで催されている展示のオープニングが始まっていた。展示そのものにはすごく興味を引かれていて、作家の方とお話ししたかったんだけれど、パーティーの様子を遠巻きに眺めていると、相当立派な大人の集いのようだったので、お邪魔することは控えることに。自分の作品の周りでウロウロ、ダラダラしていた。

すると、背後から声をかけられ振り返ると、なじみの編集者の姿が! そこから、これまたいつもの調子で「ネジレの位置」の会話がスタート! お互い、馬鹿っぷりを炸裂させて、あれやこれやと無駄口の応酬! 楽しすぎて、疲れ果てた(笑)。いや、本当に毎度、こんな僕の馬鹿話に丁寧におつきあいいただいてありがとうございます。その様子を傍らで眺めていた某デザイナーは、「似た者同士ということだな」と、妙に納得した表情をされていたが…うぅ〜ん。その意見には同意しがたいけれど、冷静に見つめると、そうなのかもしれない…ガッテン!(笑)。ビジュアルの美しさまで似ていれば、僕としては嬉しかったけれど…あの美貌には、到底追いつけそうにない(泣)。



作品で使用している光の軌跡、光の表情の写真をどうやって撮影しているのか? その秘話を身振り手振りを加えた実演?付きでお伝えすると「新しいっ(笑)」と、爆笑しながらもお褒めのことば!?が飛び出した。その様子に、喜んでいいのやらどうか…。まぁ、撮影している様子をビデオにでも記録して公開した方が、確実に早く売れっ子になりそうだけど(苦笑)。だけど、その様子はちょっと、おみせできそうにない。なぜって、僕は、「鶴の恩返し」の鶴タイプなんで。人に作業中の様子をみられると、実力が発揮できないのだ。羽をはやしてやっているから。それはそっと、内緒にしておかないと、ね(笑)。

そうそう。今日がその、リアル美人編集者の誕生日だったそうで(女性を紹介する枕として「美人」とつけるのは社交辞令かと思われるので、本物の美人には「リアル」と付け加えます・笑)。直接口頭でお伝えしましたが、ここでも改めまして…。お誕生日、おめでとうございます。何歳になられたかは…しらない振りをしておきます(土下座)。あっ。そういえば…こんなお馬鹿な会話に興じすぎたせいで、忙しい最中、展示に足を運んでくれた友人を放置してしまう…。あとで会場内を見渡して探すも見当たらず…スマン(反省)。


こんな調子で、二日目も、いろんな人たちとひたすら駄弁していただけらしい(苦笑)。しかし、今日もあちこち会場をうろうろしすぎて、疲れ果てた…。平和に健やかな睡眠が確保できる夜が過ごせるのは今夜くらいだから、早く帰ってぐっすり眠ろう。明日の夜は、帰宅してから明後日の搬出準備があるし、ちょっとでも体力温存を期したいっ!

帰り際、スタッフの皆さんに挨拶。すると、例の電源投入の使者?から「明日も入れておきましょうか?」と、イヤミなツッコミ(もちろん、これは気の利いた冗談だけど)。明日はきちんと遅刻せずにくる予定と伝えてみると「でも、何が起こるかわからないから」と、気を利かせていってくれているのか? それとも本気のイヤミか? いずれにしても、お互い、まるで身内のような、相変わらず調子でのやりとり(笑)。「朝から会場にいるなら、入れておいてくれません?(笑)」と軽くツッコミ返したところで、お暇(笑)。手を煩わせるのもこんなときくらいだから…よろしくお願いしますよ、ね(笑)。


明日は土曜日。お客さんも沢山くるだろう。人の波にもまれて、疲れそう。


つづく
 

2007年12月22日

幕を開けろ! その3

B000001FA4The Unforgettable Fire
U2
Universal/Island 1990-06-15

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今日も、昨日手に入れた「ヨシュア・トゥリー スーパーデラックスエディション」をたっぷり堪能。未発表曲を収めたボーナスCDは、まるで、このアルバムを産み落とすまでの険しい道のりの記録のようだ。誰もが皆、その経過をしらない。結果だけをみて羨望の眼差しを向けてはいけない。彼らも僕と同じ。苦悩の中から宝物を掘り当て、磨き上げ、新たな命を吹き込んでいるんだ。少し安心した。

ライブを収めたDVD…90年代以降のライブ映像は、実はどれもあまり好みじゃない。大スペクタクルな演出がどうという以前に、演奏が微妙な気がしてならないから。特にこの「ヨシュア・トゥリー」収録の名曲「with or without you」なんて、どれもレコードの印象を超えられなくてがっかりしたものだが、このボーナスDVDで見られる演奏は、これまでの印象を一掃した。バンドって、やっぱり凄い。たった4人…楽器を携えて演奏するだけで、これだけの現象を巻き起こせるんだから。ロックンロール最強! 音楽を入り口に、その後いろんな表現に挑んできた僕だから、余計にそう思う。

だけど…実はアルバム単位として考えると、前作の「The Unforgettable Fire」の方が好きだったりする。最初にこの盤を聞いたのは、たしか、中学2年生のころ。たまたま近所に引っ越してきた同級生のTくんの家で、彼が持っていた自分のオーディオセットから流れてきたのが最初だ。もちろん当時は、アナログ盤による調べ。

当然、この曲の音がどうの…とか、そんなことはまだ一切わからなかったけれど、当時はやっていたforeignerなんかよりは、圧倒的に興味をそそるものだったように記憶している(foreignerもその場で一緒に聴いた気がする)。

それにしても、こんなレコードを当時から手元においていたTくんは素晴らしい。流石は、転校してきた初日に「パーマ」とあだ名が命名されただけのことはある。そう、彼は今で言う「ロン毛」に軽いウェーブのかかたパーマをあてて颯爽と現れたのだ。かなり衝撃的な図だった(笑)。いや、もちろん、とっても愛しいキャラクターという意味で。

思えば彼とは、東京ドームの前進である後楽園球場で行われた巨人戦を見るため、徹夜で並んだこともあるくらい、結構仲良くしていたっけ。あの試合は確か、8回裏、同点の場面で、80年代ジャイアンツの最強助っ人として語られる「クロマティー」がセンターバックスクリーンに勝ち越しホームランを放って決着したんだった。その光景をみて、独り盛り下がる僕…。「どうした?」とTくん。「いや、こういう試合展開なら、サヨナラホームランを期待したかった」と、僕。そんな調子で、当時から若干プロデューサー気質を発揮した返答をしていたいやな中学生(苦笑)。Tくん…いまはどうしているかな? 一度大人になってから、同窓会であったけれど…それっきりだ。
 

さて、思い出話が長くなる前に、一番新しい、思い出話の続きを。「Scene of Light」展示初日の様子の記録。まずは、設営が終わった夜、帰宅したところからだ。
 
 

 
12月13日。いよいよ、9x9 spiral bank exhibition開幕。前日の設営を終えてから帰宅すると、既にけっこう深い時間になっていた。それから食事をして、眠い目をこすって(なにせ、二徹だったから)キャプションを作るつもりだったのだが、やっぱり限界がやってきて…朝、早く起きてからやる! と決めて、バタリと眠りについた。もちろん、昨夕、メガマックを無意識にほお張って急速に眠りに落ちたときと同様に、携帯の目覚ましをセットするのは忘れなかったけれど。
 
 


身支度も含めて、出発1時間前に起きればキャプションは作れる。そう思って、なるべくギリギリまで眠るようにしたものの、結局、目覚めたのは、午前7時。出発3時間も前だった。しかし、どうやらその日の朝、無意識に目覚ましを止めていたらしく(止めたことも覚えていなかった)、そのまま寝過ごしていたら、きっと、初日を終えて、二日目になっていたことだろう(あぶない)。規則正しい暮らしを心がけたいと思うも、そんな生活は、いったいいつになったらやってくるのか?(遠い目)


今回の展示、作品のためのPRイメージは、とっくの昔に完成していたから、それに簡単な作品の説明を添える…こんな感じで、キャプションのフォーマットはすでに頭の中で決まっていた。サイズも概ね決定済み。出発の朝、見込みどおり、作業自体は、ものの30分くらいで終了した。事前に買い込んでおいた貼りパネにプリントした用紙を貼り付け、余分な部分をカット。これで立派なキャプションの出来上がり! あとは会場でどの位置に置くのがいいのか、検討しなくてはならない。できれば、何も置きたくないのは山々なのだが、そこまでお客さんと距離を置いた展示にしてしまうのも今回の場合は違うと思うから…とにかく、様子を見ることにしよう。


これで全ての展示準備が完了。ホッと一息。さぁ、身支度だ。初日だから、綺麗さっぱりして向かいたい。朝から風呂に入って気持ちも身体もリフレッシュ! そう思って湯船につかると、案の定、お湯に浮かびながら、うたた寝してしまった。はたと気づけば、けっこういい時間だ。まぁ、今回は、電源も誰でも入れられる仕様だし、方法も既にスタッフに伝えてある。初日の朝から大盛況なんてこともないから、焦らず会場へ向かおう…そんな言い訳を見繕って家を出ると、やっぱり開場時間より若干遅刻して到着。作品は、頼もしい会場スタッフの手により、既にきちんと動作していた(反省)。


嬉しい出逢い


今日は、大切な顔合わせがある。今年、僕が手がけた作品を聴いてくれた方から仕事のオファーがあったのは、12月の2週目…つまり、この作品の制作が本格化したころだった。「一度お逢いしたい」ということだったのだが、作品の制作で手がいっぱいだったため、会期が始まってから会場で顔をあわせるのはいかが? と僕から打診して、初日の顔合わせが実現したというわけ。

夕刻、予定通り皆さんと合流。会場に併設されているカフェで談笑を交えながら内容について打合せ。今、目の前にいるスタッフの皆さん以外に、この先、一緒に内容を作り上げる人たちは、今年、とある仕事で出会った皆さん(その仕事を見てくれて僕に声をかけてくれた)。この仕事を通じてまた再会できることになるなんて…とっても光栄。あのときよりも充実したものが仕上げられるように、今度もまた、いつもと変わらず、全力で挑むを誓う。それにしても、とにかく楽しい会話が満載で嬉しかった。やっぱり仕事は、魅力的な人がいるからこそやる気が沸くものだな、と改めて痛感。大切に、一つ一つしっかりと進めていきたい。


お楽しみの時間 お金がないー


顔合わせを無事に終えて、ホッとしたのか、ちょっと脱力気味になった。会場の椅子に腰をかけ放心。そんな調子で独りボーっとした時間を楽しんでいると、僕のデビューからを知っている世話になりっぱなしの方、そして今回の展示の制作を休みなくこなしてくださった方がふらりと現れた。なんといいタイミングでの登場だことかっ! 開口一番、先ほどの顔合わせについて報告。いい知らせが直接伝えられてよかった。もう、皆さんは家族のようなものだから…心配は、かけられません。そして、目の前で喜んでもらえると、僕も本当に嬉しいです。もっと喜んでもらえるように、あとは仕事の成果を期待していてください。


初日の展示の細かい様子は…実はあんまり覚えていない。覚えていることといったら、この顔合わせのこと、それから、他の出展者と馬鹿話に興じたことことくらい。それと、オープニングレセプションのこと。それくらいかな——あっ。そういえば、偶然に逢いたかった同志と、再会できたことは忘れちゃならない出来事。ちょうど、この展示のお知らせを送ろうと思っていたんだけれど、それさえ手が間に合わず…独り心の中で恐縮していたところだったんだよ。偶然ここでまた逢えて、よかったよ。それから、メジャーデビュー?(笑)おめでとう。今後のより一層の活躍を期待していますよ!


 
12月13日。いよいよ、9x9 spiral bank exhibition開幕。前日の設営を終えてから帰宅すると、既にけっこう深い時間になっていた。それから食事をして、眠い目をこすって(なにせ、二徹だったから)キャプションを作るつもりだったのだが、やっぱり限界がやってきて…朝、早く起きてからやる! と決めて、バタリと眠りについた。もちろん、昨夕、メガマックを無意識にほお張って急速に眠りに落ちたときと同様に、携帯の目覚ましをセットするのは忘れなかったけれど。
 
 


スポンサーの酒造メーカーから差し出された濁り酒の爽やかさ——出来立ての枡の匂い——。次々差し出される軽食を次々胃袋に放り込み、ここまで10日間ほどの労を自らねぎらったオープニングパーティー。ただただ、楽しかった。あっ。久しぶりに会う友達もきてくれたな。一緒にパーティーを楽しみたかったんだけれど、疲れた表情をしていたよう。いろいろあったみたいだけど…。がんばれ! 僕も大変だけどさ(笑)。

時間にして2時間弱だったかな? そんなに呑んでもいないのに、疲れが酔いを加速させたよう。そして気づけば、今日も一日、ほとんど立ちっぱなしだ。自分の体重が支えきれず、脚を破壊しそうになっている…一刻も早く座りたい! その理由だけで、友人を連れて再びカフェへ。セレブリティ価格のココアを一気飲み。本日2杯目。どうかしている(苦笑)。

このあとは、待ちに待ったお楽しみの時間。わざわざ今日にあわせてもらって、いつものメンバーで、軽く忘年会へ。いい報告もできたし、展示も無事に開けた。こんなにちょうどいいタイミングで、今夜、ほんの一瞬でも、気の置けない面々とこうして過ごす時間があることが、本当にありがたい。

宴は、始まりが遅かった分、あっという間に終電間際。明日からも体力仕事だから、早々に引き上げることに。まだ展示は開けたばかりだ。さぁ、帰ろう! んっ? おや? あなた、お財布、忘れたのかい? しかたないなぁ~おじさんが貸してあげよう(笑)。

今日のオチは、これで最後かな? そう思ったのも束の間…帰りの地下鉄の駅で「本当のオチ」が轟いた。


「お金がないー」
 
 
おあとがよろしいようで(苦笑)。


どこまでも愉快だ。
本当に、気の置けない面々。

みんな、一生の思い出を、どうもありがとう。


つづく
 

2007年12月21日

幕を開けろ! その2

B000XPKFM0ヨシュア・トゥリー~スーパー・デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付)
U2
UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M) 2007-12-12

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無事、課題提出、終了。

直前になって、あれこれ新しいアイデアを試したりしたので、時間が足りなくなりそうだったが、なんとか間に合った。この時代…ソフトウェアの使い方をちょっと覚えちゃっただけで、そこそこのことができちゃうのは、どうだろう? 冷静に見つめれば、たいしたクオリティのものはできていないんだけれど(専門外の作業のため)、なんだか、我が子をいとおしむように、手あかまみれの仕上がりが、相当に上出来な気分に浸れてしまう…いけない(苦笑)。もっと冷静に、自分の仕事を見つめ直さないと…。

それにしても、昨日の夜は寒かった。頭痛がひどくて作業続行をあきらめて床につくも、布団からでた頭の部分だけが異常なほど冷たくて、なかなか寝付けなかったほど。明け方、目を覚ますと、無事に頭痛はひいていて…それから終着まで作業を進め、夜、下りのラッシュアワーがピークを迎える頃、いつもの場所まで仕事を届ける。

帰り道、このところの過酷な業務を無事終えた自分へのせめてもの褒美に(こんなことを自ら言ってしまう輩はどうのこうの…という記事を大昔に読んだ気がする)、渋谷のタワーレコードへ寄って買い物。発売20周年を迎えて「スーパーデラックスエディション」と銘打たれた立派なパッケージで再発されたU2「ヨシュア・トゥリー」と、その特集記事を掲載した「サウンド&レコーディング・マガジン」を買い求める。レジで並ぶ最中、「明日の暮らしも心配な俺が、ホテルや城を買っちゃうようなセレブリティをよりリッチにするために散財か?」と気づいて、一瞬溜息を漏らすも、これくらいしか自分を労るすべはなく…嗚呼(苦笑)。

財布が軽くなって余計に寒さを増した懐具合を確認しながら、師走の喧噪をかき分けるように繁華街をすり抜け、家路へ。この時季、この街をしらふで歩くものじゃないな。少しうつむき加減で、足早に駅へ向かった。
 
 

 

B000F3T7YCSecrets of the Beehive
David Sylvian
EMI 2007-04-24

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無人島に持っていくアルバム


今日のBGMも、David Sylvian「Secrets of the Beehive」。この一ト月くらい、移動中はずっとこのアルバムを聞いている。音楽畑に従事していながら、実は、携帯音楽プレイヤーを持ったことがない(いわゆる、iPodだとか、その類いのもの)。なので未だに、MD愛用。昔にMDに録音したアルバムがいくつかあって、結局、それ以外は外で聞くことがないから、今でもそれで十分に間に合っている。

そのライブラリーの中の一つが「Secrets of the Beehive」。高校生の頃、リアルタイムで聴いたこのアルバムには、相当な衝撃を受けた。ロックやポップスと言った、いわば「定型の音楽」ばかりを聞いていた僕には、形があるようでないようなこの音楽の魅力にどっぷりはまっていった。今でもよく覚えている。高校生2年生の冬。体育の課外授業でスキー合宿に向かう夜行バスの中でも、カセットにコピーしたこのアルバムを、ウォークマンでずっときいていたことを。よく「無人島に持っていくアルバム」なんて特集が雑誌で組まれていたりするが、間違いなく、このアルバムを持っていくに違いない。一番好きなアルバムと聞かれたら、たぶん、このアルバムと答えるはずだ。


展示設営日の朝は、何を聞いていたか? 当然、車移動だったから、CDを聞いていたはず。Peter GabrielかAmbitious Loversのどちから…いや、YES「talk」だった気がする。既に記憶が曖昧になってきている(しかし、YES「talk」って…ファンの間じゃ、そうとう人気なさそうなアルバムだけれど…これ、意外に好き・笑)。


カラダは労るべし!


結局、展示設営日の朝まで、二日間、徹夜することになってしまった。厳密に言うと、数時間くらいはどこかで仮眠しているはずだけど、あまりのプレッシャーに、寝た気もしない…それくらいの状況だった。まぁ、たいてい、展示直前はこんなものだけれど…。

前日は、世を徹して全力を出し切った状態で、朝、わずかな仮眠をとり、その後、展示台を装飾するための材料確保のため外出。思えば、何が僕をここまで熱くさせるのか? それが、未だもって謎である。

夜、独りで持ち運ぶ分量にしては、結構な数の荷物を携え帰宅。夕食をとり終えてから、早速、手に入れてきた材料をチェックして組み立ててみる——問題なし。その後、出発に備えて改めて梱包。これで一つ、気になる部分がクリアになった。

残った作業は、作曲のみ。曲づくりに集中するために、梱包が終わったところで、翌朝、持ち出すものをすべてそろえて荷造りを先に済ませておく。今回は、いつもと違って、随分と少量の荷物…そのはずが、用意してみると、やっぱり結構な分量になってしまう。毎度、軽い引っ越しみたいな感じ。そんな様子を冷静に見つめると…けっこう愉快だ(笑)。


映像のテンポと間が自然と音楽に寄り添う


曲の完成は、展示初日の朝でも間に合う計算。とにかく、設営日にしっかりと設置を完璧に済ませることを優先させる…そのつもりで、曲づくりはほどほどにして、きちんと身体を休めるつもりだった。設営から会期終了まで5日間。かなりの長丁場になりるから。

大まかなところまで当たりを付けておくだけに留めよう…そう決めていたのに、作業を進めたら、案外順調に手が進んでしまった。結局、完璧に仕上げることに決め、作業続行。これまでに作りためた曲をつなぎ合わせただけだけれど、映像も自分で手がけたせいか、テンポ感や間の感じが、自分の音楽のそれと自ずと似通っていたみたい。「このカット変わりで曲が盛り上がってくれたら最高!」という箇所で、映像と音がぴったりリンクする瞬間があったりする。音楽も映像も感覚だけを便りに創っているのだけれど、いずれも、身体に染み込んだリズムやテイストは、扱うものが異なっても似たものになるものだな、と痛感。

そんな調子で辛抱を続けていたら、想像していたよりも順調に、曲は仕上がった。が…もちろん、完成したとき、空は、すっかり明るくなっていたけれど…。


朝一番から会場入りして、搬入にやってくる作家を迎えているというスタッフの方に、無事作品が完成した旨、メールをいれる。さっとシャワーを浴びて身支度。いざ出発! どうか何事もなく、会場へ到着しますように。


いつかのときと似ている。


この作品の製作期間は、いつかのときに似ている。少し前の日記で書いた通り。今度もいい作品になる。そんな確信めいたものが既にあった。あとは…そう、験を担ぐ。これを忘れちゃけない。


あの日の朝と同じルートで、思い出の場所まで向かおう。そう決めた。


でも、途中で自然と、ルートを変更していた。あのときと同じでは駄目だ。今日から、新しい歴史が始まるんだから。そんな意気込みで挑まなくちゃいけない。無意識にそう決めて、行動していたよう。いつもは曲がらない交差点を迷わず右折した。

道中、眠くなる隙は一切なかった。平日の早朝…車の数はほどほどで、途中まではなんとんく混雑していたが、いつも渋滞必死のエリアは快調に通過できたし、なんだか幸先がいい。それでも会場へ到着したのは、予定より若干遅れていた。朝一番で搬入する作家もまばらで、荷物の積み降ろしもストレスなし。あとはこの二日間、計画した通りに展示台を加工して機材をセットアップするのみ。これさえ済めば、かなり安心できる。


アドレナリン大量放出


会場入りして荷をほどいたころには、計画した通り、午前9時だった。ここから、会場の開館までおそよ2時間。眠っていないだけに、未だアドレナリン放出気味で、やたらエネルギッシュ! 眠気は一切感じず、シミュレーションした通り、段取り良く、そして大きなトラブルもなく、予定時間内にセットアップを完了させた。

だが…。

肝心の、最重要素材の納品が、今夕。今は、手元にない。そして、その素材を、青山から葛飾区・四ツ木まで引き取りにいかなくてはならない。それも、一度も行ったことのない場所まで。それまでにゆっくり身体を休めておきたい。



開館。その後、続々と、作家陣が搬入&設営に訪れる。こちらは一時休憩モード。夕方までとくにすることもないから、いつも設営時には必ず持込む「マイ・ディレクターズ・チェア」に深々と腰をかけ、ときおり、うたた寝。けれど、ぐっすり眠れるほどの環境じゃないから、結局、手持ち無沙汰で、あちこち歩き回り、余計に疲れに拍車をかけるはめに…。眠気を振り払おうと、他の出展者やスタッフを捕まえては、ひたすら駄弁。それにも飽きたら、また、うたた寝。夕方まではまだまだ時間をもてあましそうだ。


満腹中枢崩壊!?


肝心の品物は、16時には受け渡し可能と伝えられている。ということは、15時に青山を出ればちょうどいい感じ。けれど、11時から既にやることがなくて、どうにも時間を持て余している。イライラ。

13時過ぎ。辛抱しきれず、予定より少し早めに昼食をとりに出かけた。ゆっくり、味わって食事をとって、車の中で十分な仮眠をとってから出かけよう…そういう計画にした。

この数日の過酷な準備の間も、かなり足腰が疲れ気味だった。今日も眠っていない上に、無駄に会場内を歩き倒してしまったせいで、すっかりまた、足が痛む。疲れもピークをとうに越えて、食事をとろうと、うどん屋さんの座席に着席したところで、ホッとしてしまい、一気に睡魔が…。目を覚まそうと試みたのか? よせばいいのに、鍋焼きシチューうどんなんてのをオーダーしてしまって、案の定、上あごを火傷した。それでも睡魔と疲れは到底拭えず…もうろうとしつつ会計を済ませて駐車場へ向かった。


駐車場で支払いをしようと財布を開けると…深い溜め息がでた。コインパーキング用に、千円札をキープしておいたのに…さっきのうどん屋さんで、使ってしまった。くずしにいかないと…。でも、この辺りじゃ、ちょっとした買い物をする場所もない。こんな場合、たいてい、森英恵ビル向かいのマクドナルドまでいって、100円のシェイクを買うのが僕の定番行為。でも、足が痛すぎて…歩くのも辛い状態。


引きずるようにして向かうも、なんと、こんなときに限ってマクドナルドが長蛇の列…あきらめてその先のサブウェイまで行くも気分が乗らず…足の痛みも眠気同様、ピークを遥かに越えている。いったん会場まで戻ってスタッフにくずしてもらうか? いや、微妙な遠さがあるから、それも避けたい。もう、苛立ちも湧かないほどの心理状態で、再び、マクドナルドへ戻ってみる。すると、さっきの長蛇の列はどこへやら…その様子をみて、何も考えずに、カウンターへ向かった。


僕はどうかしていたんだ。魔が差したに違いない。シェイクを買うつもりだった。ちょうどノドも乾いていたし。でも、目に飛び込んできたのは「メガマック」のメニューだけ。気づいたら、オーダーしていた。しかも、ポテトやらナゲットやらがすべてついた豪華なセットを。

メガマック入りの大きな袋を下げて、車へ戻り、またもや何も考えず、次々、胃袋へ放り込む。あれ? つい20分くらいまえに、鍋焼きシチューうどんを食べたんじゃなかったかな? ポテトの最後の一本を食べ終え、セットでついてきたコーラを飲み干すと、そのまま自然と眠りに落ちてしまった。もちろん、携帯の目覚まし時計のセットは忘れなかったけれど…。


気がついたら、もう16時を過ぎていた。1時間ほどぐっすり眠ってしまったようだ。これから四ツ木までの道路状況を考えると少々焦ったけれど、たっぷり眠った分、目覚めは健やか。眠気はどこへやら、すっかり意識良好だ。さぁ、四ツ木まで! 安全運転で行こう!



慣れない道で、途中、大幅に道を間違えたけれど、地図を読むのは得意な方だから、カーナビいらずで軌道修正。到着予想よりも早く業者へたどり着く。担当者がいたら挨拶をしようと思っていたけれど、あいにく不在だったため、早々に支払いを済ませて、そのままお暇。滞在時間はものの10分もなく、そのままタッチ&ゴー状態で青山へ再び舞い戻る。この時間、上りも下りも道は空いていた。あとはこの素材を展示台へ置くだけだ。きっと奇麗に仕上がるぞ! はやる気持ちを抑え、安全運転で会場へ向かった。


美しい


僕は美しさを追求している。

これでもこの数年、展示経験を積んできた。自分の名前を冠して行なった展示では、いつだって、イメージ通りの結果が得られている。今回も見事にそうなった。朝からセッティングをして、この素材が届くまでの間、周りのスタッフに「ここに○○○○○○が入って映像が浮いたように見えるんですよ〜」と何度説明してもピンっと来なかったらしく、あまりの雑然とした途中の状態に、首を傾げる様子まで見受けられたのだが、完成した状態をみせた途端、皆、一様に反応が変わった。


「わー(笑)」


その喜びようを見ていたら、ちょっと嬉しくなった。


友人の結婚式の余興で引き当てた商品券を有効活用して手に入れたアルミのフレームを取り付けてみる…。うぅ〜ん! なんとも美しい仕上がり! アルミのサイズ選びは結構悩んだのだが、やっぱり、この寸法で正解だった。

完成した状態で、しばらく作品を眺めてみる。すると…やっぱりいろいろと、気になる箇所がみえてくる。


今回の作品は「習作」というエクスキューズ付きでの展示だった。予定外に、急遽製作することになったこと。そして、会場から支給される展示台の様子が、当日までわからないことなど、不確定な要素が多かったため、十分なクオリティが出せないかもしれない…そう思っていたから。だが、仕上がってみると、意外にもかなりのレベルにまで到達していることに気づいた。もうちょっと手を加えると、さらにこの上のレベルにもっていけそう。ここであきらめちゃいけない。先人たちから教わった、最後の辛抱を、ここで発揮しないと!

いったんセッティングを済ませた状態を再びバラして、細部の修正に取り組む。幸い、手元に手入れするための材料はなかったのだが、会場のスタッフさんが偶然にも持っていることが判明。迷わず借りて、即、対応。そのころには、もう、無駄口もだせないくらいの疲労度だったんだけれど、無言で取り組んだ修正の甲斐あって、すべてが出来上がった頃には、相当な満足度だった(もちろん、まだまだ完璧とはいえないが)。


箱しかない



散らかっていた荷物を整理して、少し離れたところに「マイ・ディレクターズ・チェア」を置いて腰をかけ、遠巻きに眺めてみた。どうだろう? 今回、狙った通りの展示になっているかい? 

この展示は、物販中心になる…そう予想していた通り、他の出展者にも同様に与えられた90センチ四方の、同じフォーマットの展示台の上には、それぞれの作品や商品が沢山レイアウトされている。そんな中、たった一つだけ、「箱しかない」「展示台しかない」…そんな作品があったら、面白そうだな…そんな狙いがあった。見渡す限り、僕の展示は、まるで、ただの荷物置きのようになっている(苦笑)。うん。面白い。やったぞ(笑)。狙い通りだ(笑)。


20時。会場全体の照明がいられたら。僕の展示は、光の反射があると効果がでないので、あえて照明は当ててもらわなかった。それで正解。もう少し全体が暗い場所で見られたら最高だけれど、今回はグループ展ゆえ致し方ない。完璧な状態での展示は、「習作」というエクスキューズを下ろしたときに。


会場を後にしたのは、何時だったろう? 今はもう、よく覚えていない。とにかく疲れた。明日の朝までに、キャプションを作らなくちゃ。昨日の夜、曲まで仕上げておいてよかった…この調子じゃ、今夜帰ってから曲づくりなんて、できそうになかったし…。早く帰ってキャプションづくりの作業をしよう。んっ? その前に、車の運転、大丈夫かな? 


明日、ようやく、幕が開ける。
 
 
つづく
 

2007年12月20日

頭痛

締め切り間近の課題…
想像していたよりも、順調に作業が進む。

が、ここへきて、いきなり、激しい頭痛。
それも、左側だけ。
おきているのもしんどくなってきた。
 
 

 

明日は何が起こるかわからない。だから「今日できることはその日のうちにやっておきなさい」。そんなことを、親をはじめ、多くの先人達から教わってきたはずなのに…いつまでたっても、こんな調子(苦笑)。


けれども、ギリギリまで待った甲斐あって、これまで思い浮かばなかったアイデアが沸いてきた。いや、まぁ、単純に、先に発表した「Scene of Light」のアイデアを、現実の中に投入してみようというだけだけれど…。

もともと、この作品は、純然たるアートワークとしてだけではなくて、幅広く転用、応用が利くものとしてプランしているから、それを早速試してみようというわけ。この気力体力も低下気味だった時季に、無理やり新作を作ってよかった(笑)。と、喜ぶのはまだ早い! それは資料を完全に作り終えてからにせよ>自分。

頭痛の影響もあって、作業は一時休止。タイムリミットは夕方まで…。早朝まで仮眠して、そのあと再開すれば間に合いそう。進捗を知らせるため、一本メールを入れてから仮眠へ突入しよう。

これが終われば、年末~年明けまで作曲三昧。果たして、身体がもつかどうか…若干、心配。

三が日は、ダウン確定かな?(苦笑)
 

2007年12月19日

幕を開けろ! その1


展示疲れがまだ抜けない。

撤収を終えた翌朝、17日は、17時間睡眠。その翌日は、よせばいいのに、後片付けを始めてしまって、予想以上の疲労が襲ってきて…結局、18日は、18時間睡眠。なかなか、都合良く眠り続けている様子。このままだと…24日は、24時間睡眠? まぁ、特別イベントはないから、ヨシとしよう(苦笑)。

 
提出を目前に控えた課題…頭の中では固まっているものの、なかなか手が動かせない。これはもう、完全なる逃避に違いない。一応、社会人ゆえ、そんな泣き言は許されないのを承知しているも、ここまで立て込むと、手に負えなくなってくる。


「できることは、全部独りでやる。」


そうしてこそ、作家性が最大限に発揮されるに違いない——自分から選んだこのスタンスとはいえ、現実は、なかなかシンドイ。愚痴をこぼすなんてみっともない…そんなこと、わかっちゃいるが、これくらいは、許しておくれ。

そう! こんな僕に、少しでもやる気を湧かせるために、せめて皆さん、あれだけ僕が誕生日をアピールしたんだから、社交辞令くらい、いいましょうよ! 大人は、社交辞令をいうものでしょ? ほら、今時、メールなんていう便利なものがあるんですからっ!

いや、心のこもっていない言葉なんて、言ってないのも同じ。コンビニの店員の機械的な「いらっしゃいませ」ほど虚無感ただようものはない。あんな挨拶ならしない方がマシ。僕はいつだって、本気。心のこもった言葉しか発しない。気持ちのこもった行動しかしない。付き合い程度の言葉なら、いらない(唯一届いた祝いのメールには救われました。感謝!)。


さて、先に展示した「an étude for Scene of Light〜光の情景のための習作」。展示した状態は非常に整然として仕上がっていたため、さぞかし皆さん、準備万端で挑んだように思われたでしょうが、実際は、その激しさたるや、尋常ではありませんでした。生まれて初めて、「これは間に合わないかも?」と、思ったほど。展示に至るまでの状況が、自分でもかなりバタバタしていて愉快だったので、ちょっとその回顧録を書いてみようかと思います。「幕を開けろ! その1」お楽しみください。


【注】写真は、設営時の様子。このあと、いろいろと細部が気になって、さらに修正を現場で加えて完成とした。鏡の中から映像が写り出し、鏡に映った自分自身の像とあわせて見つめることができる作品。別名「ナルシスの鏡」。ある角度からみると、会場の天井が反転して写り込み、天地がわからなくなる仕掛け。これは偶然の産物。素敵な作品はこうした奇跡を呼び寄せる。
 
 

 

 
 
90センチの展示台で何ができるか?
 
 
今回、作品を発表した「9x9 spiral bank exhibition」では、会場構成の都合で、90センチ四方の段ボール箱で作られた展示台の上で発表できるものを求められていた(一部、絵画や写真の方などは、ギャラリーの壁面を使用)。


「既存の作品を展示/販売する機会」…展覧会の企画が届いた時点で、僕はそう感じて「自分には出せるものはない」と決め込んでいたのだが、スパイラルのスタッフといろいろと話しをしているうちに、展示の可能性を自ら見いだしてしまい…結果、いつものように、自分で自分の首を絞めた…というわけである。



展示キャプション


光は教えてくれる。あなたが、光であることを。


「Scene of Light」は、2年前から暖めていたアイデアで、光の軌跡、光の変容の様子を写真で捕らえ、それをアニメーション化して、目には見えない「光の風景」を生み出そうとしたもの。目に見えているものは、すべては光の屈折であり、光がなければ、僕も君も存在しない…そんな、いつものようなロマンティックなことを訴求しようとした作品。今後はこのシリーズをあらゆる形で展開させていければと思う。純然たるアートワークとしてはもちろん、オブジェやインテリア、情報端末…などなど。


このアイデアをプレゼンテーションするための最善の方法を、映像/音楽を創りながら考えていたのだが、最終的なこの形に決定したのは、設営日の2日前。その時点で、映像はほぼ完成していたが、曲がまだ何もできていなかったため、準備する時間があるかどうか、慎重に検討し(といってもわずか10分程度)、ゴーサインを自らだした。


光で綴られた映像と、光の反射によって見えている自分の像。この二つの像を同時に写し出す方法…ようやく形にできた。これを、別名「ナルシスの鏡」とでも名付けておくことにしよう(笑)。


「君の美しさを世に知らしめているのは、光があるからなんだよ」


そんな会話が会場で交わされていたかどうかは定かでないが、少なくとも、僕独りの妄想ストーリーの中では、しっかりそのシーンが再現されていたことは言うまでもない(寝てないと、ろくな妄想が浮かびません)。


しかし、まずは、展示台の加工がどこまで許されるか? 事務局に確かめておく必要がある。実は、この段階で「どうか、NGがでますように」と心の中では願っていた(実際、電話で担当者にもそう伝えたほど真剣に願っていた。だって、許可がでるということは、結果、自分の首を絞めることになるから)。だが、特別問題もなく、すんなりOKが…。嗚呼。これでまた、赤字確実(泣)。でも、このアイデアは形にしてみせないと、伝わらない。だから…そんないつもの言い訳を再びここで…。


簡単に幕は開かない。


一番心配だったのが、このアイデアをより明確に伝えるために最重要となる素材がこの段階で手に入るかどうか? 大手ホームセンターなどに在庫はあるはずもなく(実際なかった)少々焦るも、用意周到派の僕だから、即座にネットで調べ上げた業者へ連絡。すると…仕込み日当日に手配できるとの好返答。これはもう、やるしか…ない。


というわけで、展示台内部に仕込む機材のための棚、重要素材を仕込む構造体を工作しなくてはならなくなった。簡単に図面を書いて、その場でオーダー…がしかし、ここで最初の関門。そのホームセンターでは、指定した寸法では加工できないというのだ。

一瞬焦るも、即、冷静さをとりもどし、急遽、図面の変更。電卓を使わない手書きの足し算引き算なんて、何年ぶり?? というくらい、何度も何度も綿密に寸法をチェックし直し、発注。あとは仕上がりを待つのみ。


その間、コンビニへ。重要素材の加工のための図面をファックスで送る必要があったから。こちらは難なく終了。その後、設営に必要な細かいものを次々物色し、一通りの準備が整ったころには、もう夕方だった。


気づけば注文した部材の加工も完了する時刻。引き取りに窓口へ。いざ、家路へ! んっ? 持ってみると、かなり重い…そりゃそうだ。あの巨大な板が2枚分あるんだから…。


このタイミングで産み落とされるべき作品だった…そう思わせる巡り合わせ。


車へ部材を積み込み、今度こそ家路へ。すると、またアイデアが浮かぶ。甲州街道と明治通りの交差点…あそこで信号待ちさえしなければ…。


「やっぱり、周囲にはフレームを取り付けた方が奇麗にみえるよなぁ。だけど予算が…」


ふと鞄の中に目をやると、先に出席した友人の結婚式の二次会のビンゴで当てた商品券が頭をのぞかせていた。


「おーっ! これは有効活用しなくっちゃいかんっ!」(結果、この英断?が実際の展示で功を奏すこととなる)


これまた都合のいい言い訳を発見し、再び売り場へ戻る。材料を物色し、即、その場で図面を書いてオーダー。仕上がりまで一時間…うぅ〜ん、お腹がすいた…手元には、残った商品券…。よしっ! これも有効活用しなくちゃ、ね。


というわけで、上階へ。レストランコーナー! とびきりチャーミングな店員さんがいたという理由で、サンドウィッチ屋さんを選択(ウソ。ただなんとなく選んだだけ。店員さんがチャーミングだったのは本当。だけど、似たような髪形とメイクで皆、同じように見えたのものまた事実・苦笑)。しばし独りで和む。


「この作品は、このタイミングで産み落とされるべき巡り合わせだったんだなぁ。きっといいものに仕上がるに違いない。」


そんなことを思いながら、そえられたブルーチーズを一口…んっ? これはもしかして、サンタギュール? 2002年冬、大仕事を終えて一休みに旅立ったパリでの懐かしい記憶が蘇ってきた。
 
 


波乱の一日はもうすぐ終了する。満腹で睡魔に教われながらも、なんとか無事、帰宅。即座に持ち帰った大荷物を広げて、早速、工作を開始。加工してもらったパーツを組み合わせる作業…その間およそ小一時間…完成。全く問題なし! 接着の完了をまって、再び梱包。大荷物は、玄関で明日の出発を待つ。


曲の続きを創らないと…と思うも、今回は完全な新曲というわけにはいかなそう。これまでに創りためたものからどれか…探してみると、いい雰囲気のものがあるじゃないかっ! それを再登場させることに(一部、完全な未発表シーンもあったが)。曲の当たりを付けたところで眠ろうと思うも、作業がはかどってしまって結局眠らずに続行。おや? たしか僕は、昨日も徹夜したんじゃなかったっけな? 出発は翌朝…今夜くらいは、眠っておきたい。

つづく



深夜0時過ぎ。映像を眺めながら曲づくり。
真っ赤なガムテープが、準備の壮絶さを物語っている?
 

2007年12月18日

下り坂


 
某館の螺旋のスロープは、下るものじゃなくて上るもの。

そんなことを会期中、ある出展者へ向けて話していたっけ。。。

 
めでたい日のはずの17日、なんと、17時間も眠ってしまった。17日だから17時間睡眠…そんな駄洒落を言うために狙ったつもりはない。ただ展示疲れがよほどひどかったのだろう。午後、遅い時間に起きるも、1時間もしないうちに再び床へ。気づいたらもう、夜だった。まぁ、いくらめでたい日といっても、祝電が山ほど届くわけでもないし特別な催し?があるわけでもないから、気にしない。いや、そんな強がりはもうよそう。相当、さびしい(苦笑)。
 
 

 

 
 
夜になってから、9x9 spiral bank exhibitionにて発表した「Scene of Light~光の情景」のための習作の記録を早速まとめようと、記録してきた写真とビデオをチェック。写真はいくつか、色調整までして、なかなかいいものになった。今日手をつけたものは、デジタルで撮影したものだけれど、近く、フィルムで撮影したものの現像も頼む予定。仕上がりが楽しみ。

ついで映像記録の整理。編集までは手をつけられないまでも、素材をパソコンに取り込むことくらいはやろうかな…と手を付けたところ、トラブル発生。と同時に、突然、激しく咳き込む。どうやら体調も下り坂か? 展示準備中から、かなり危ない状況だったし…無事に終えるため無理すぎたみたいだ。


パソコントラブル…対処しようとするも、もう午前3時…この調子で作業を続けると、また昼夜逆転仕事人状態に逆戻りしてしまううえ、体調も悪化しそう。なので、そろそろまた眠ろうかとおもう。


それにしても、今日くらいは完全に何もしないつもりだったのに、結局、あれこれと…。今、記録まとめをやっておかないと、この先また追い込まれることになるとはいえ、こんな自らの境遇に少々ため息が漏れる(苦笑)。


なんて独り言をもらしつつ、傍らでトラブル対策のために簡単な対処を施してみた。もう一手試したら、眠ろう。これでうまくいかなくても、もう今宵の作業はおしまい。うまくいったら…素材を取り込むところまでを目指そう。

本当にしんどくなってきた。
どなたか、労りをください。なんてね(苦笑)。
 

2007年12月17日

You are Light.


 
an etude for Scene of Light「シーン・オブ・ライト〜光の情景」のための習作

展示、無事終了。
 
 

 
急遽参加することになった「9x9 spiral bank exhibition」。そのため、告知などが全く行き届かなかったのが惜しまれるが、展示の内容自体は、かなり満足できるものだった。

実質1週間ほどで完成させた「光の情景」を捕らえたムービー「Scene of Light」。これは、この2年間ほどの間にとりためた光の写真を丹念にアニメーション化したもの。「習作」というエクスキューズ付きの状態ではあったが、みせ方も一工夫施したおかげで、このシリーズで掲げるテーマがより明確にプレゼンテーションできたのではないかと思う。けれど、善くも悪くも、狙い通りの展示となり、全体の中での注目度は今ひとつだったかも?(苦笑) 気づかない人には、ほとんど素通りされてしまったよう…じっくり見てくれた方には高い評価をいただいたけれど。

でも、刺激になる出逢いが沢山あったのも大きな収穫。これが今回の、一番の出来事となった。


参加する予定のなかった展覧会だったけれど、僕に展示の可能性を気づかせてくれたスタッフの皆さんには、この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。本当にどうもありがとうございました。お陰で、非常に充実した2週間でした。こうして産み落とされた新シリーズを実らせるため、努力してく所存です。今後ともどうぞよろしくお願いします。

それにしても…僕はいつもどうして、展示が終わると、恐ろしいほどの寂しさに襲われるのだろう? 今夜は涙こそ流さなかったけれど、いつもどおり、計り知れない孤独感に襲われた。去年の今頃も、やはり同様の気分だったし…。そして今、ゆるやかに…。気づけばもう日付をまたいで、今日はめでたい日だというのに…この質は一生治りそうにない(苦笑)。


とにかく、楽しすぎてはしゃぎすぎて…疲労困ぱい。今、ふと時計を見ると、時刻はちょうど…。不思議な感じ。


今夜はぐっすり眠りたい。健やかな37度目の朝を迎えるためにも。

おやすみなさい。
どうもありがとう。

2007年12月15日

素敵な光景

今日は、素敵な光景をたくさん見かけた。
些細なことかもしれないけれど、
それだけでなんだか嬉しくなる。

人という器からは逃れられない。
だからもっと、人であることを意識したい。
周りには、人がいる。
人がいるから、自分がいる。
僕らは、どうしたって人。
対話しよう。


余談だけれども…
今、ふとカレンダーを見返してみたら…
3週間以上、まともに休んでいない状態に陥っているではいかっ!
どうりで…今、異常なほど、疲労を感じるわけだ。
おかげで無駄にテンション高め。
展示でも、やけにリップサービスが弾む。
展示が終わったときが、怖い。

今日もそろそろ眠らないと…
なんだか、めまいがしてきた(苦笑)。


あっ。そういえば、
今日もまた、失笑とともに僕を迎えてくださる画家に偶然出くわした。
こんな時代に、毎度まいど、たくさんの笑顔をありがとうございます。
これから僕は、あなたのことを「師匠」と呼びましょう!
そのしなやかさに、勇気づけられました(笑)。
 

2007年12月12日

あのときのこと

今のこの感じ…
SICFグランプリ作品発表展覧会のときの空気感に似ている。


仕上がりの手ごたえも、似ている。


うん。
いい感じだ。


思えば、
誰に頼まれるわけでもなく、
誰のためでもなく、
何の目的もなく、


ただ、創りたい。


その気持ちに突き動かされ形にした仕事は、
LAST以来かもしれない。


発表まで、もうすぐ。
ひとつひとつ、大切に。
あのときと、同じように。
 

2007年12月11日

ナルシス降臨

直に発表する予定の作品「Scene of Light」。ただ今、映像パートがほぼ仕上がった。


この作品に込めた思いが、ストーリーとして、映像の中で伝わるように…そう思って、いつもの手段を使った。


ナルシス降臨


いや、いつもの手段を登場させるのはまだ先のこと。でも、その予兆は、たっぷり感じさせる内容に仕上がった。


あとは音楽…時間は限られているけれど、今度もいいものに仕上りそうな予感。楽しみだ。


今日は、設営のための材料手配。設置方法まで急遽改良を施すことにしたから、心身ともにフル回転。とにかく、何事も細心の注意を払って進めたい。気をつけること——これが大切。身体があってのことだから…もう一息。

2007年12月09日

ITALIA

近く発表する予定の「習作」を今日もせっせと製作。非力なマシンで重たい映像処理をさせているせいか、手を動かしているよりも、映像が書き出されるのを待っている時間の方が長い。その間は、音楽を聴いたり本を読んだり…ときには、窓辺から注ぎ込む陽光を浴びながら、ただただボーっとしたり…。

屋外の緑が風に揺らめいて、レースのカーテンに様々な模様の光と影を映してゆく。この時季特有の空気の澄んだ感じが、屋内にいながらも伝わってくるようだ。「東京だって捨てたもんじゃない」——そんなことを思いながら、仕上がりを待つ時間を楽しんでいる。
 
 

 

映像を自分の作品として手がけるのははじめてだけれど、これまでも仕事としていくつか、簡単な映像作品を制作していた。それもすべて、静止画をつなぎ合わせてアニメーション化する作業ばかり。今回も、その中で得たノウハウを活かして、作業を進めている。普段から撮りためている写真をふんだんに使いながら…。

僕は作曲家だから、音楽の力を借りることができる。単なるスライドショーでも、音楽が乗れば、それだけでも十分に見ごたえのあるものになる…それはわかっているのだが、どうも、手を進めるごとにこだわりがでてきて、どんどん、制御するパラメーターが増えていってしまう。この画像は、ただフェードアウトするだけじゃなくて、徐々に小さくなってぼやけながら消えていくように…画像の周囲は、マスクをかけて影を落とすように…なんてやっていると、映像を書き出す際に、膨大な時間が必要になってしまう。まだ作業の要領がつかめていないから、想像だけでは仕上がりが見えてこない。だから、書き出してチェックしてうまくいかなければまたやり直す…その繰り返し。そんなわけで、今日も待ち時間ばかりになってしまっている(発表はもうじきだというのに)。

映像を手がけるときは、いつも以上に、作業効率を考える。いかに無駄な時間を減らすか? 映像を書き出している間に、何かすることはないか? できることは? なんていっても、たいていは、休息になってしまうのだけれど…。

今宵、映像を書き出している間、このところ、まったくと言っていいほど見なくなりつつあるテレビをちょっとつけてみると、「また」、イタリアの素敵な街並みを紹介した番組が放送されていた(日本のテレビ局は、イタリア好き過ぎる・苦笑)。


毎度、そんな番組を見るたび思う。


「なぜ、僕はイタリア人じゃないのか?」


ため息が漏れるほどの美しい街並み。近代芸術の祖といえるルネッサンス発祥の地だけに、どこを切り取っても美しく見えるのが不思議だ。テレビだから、いいところばかり紹介しているに違いない。でも、それにしたって美しすぎる。だから、本心から思う。


「どうして僕は、イタリア人じゃないんだろう?」


ってね。


イタリアの全てに、深い嫉妬を覚えるのは、僕だけじゃないだろう。


「なんで、何もかもが、美しいんだ?」


日本だって、美しさでは誇れるはずなのに…それが普段の暮らしの中で見えてこないのは、さびしい。


「いつか、日本めぐりをしたい」


僕のこの口癖を実現できる「優雅な日々」は、やってくるのだろうか?
 

2007年12月08日

Stockhausen Farewell

シュトックハウゼンが逝った。


今、自分の仕事の新しいシリーズとして検討している作品の習作を創っている。「習作」といったら…ちょうど同じタイトルの電子音楽作品があったなぁ…そんなことをふと思い出して、シュトックハウゼンの「習作」を聞いていたのが、5日のこと。奇しくも、氏の命日となった日だ。
 
 

 
来る年賀状シーズンを目前にして、この12月、友人知人から喪中を知らせる便りが立て続けに三通、届いた。共通していたのは、いずれも11月中旬に亡くなられたこと。病に伏している方やご高齢で体力が衰えている方が寒い時期を乗り越えられないとは昔からよく聞くが、先に寒波が押し寄せたりしたせいもあるのだろう。残念である。


僕自身、今年…いろいろと苦しい出来事が続いて、体調を崩し気味だったこともあり、この時期、寒さがどれだけ身体的精神的苦痛を及ぼすかを、まさに「身にしみて」痛感していたときだった。そんなところへ、巨匠の訃報。同朋だったノーノもクセナキスも既に故人…。そして遂に、シュトックハウゼンも逝ってしまった。いずれはこの瞬間を迎えなければいけないわけだが、理屈では理解できていても、実際にその現実を目前にしたときの衝撃からは、いつだって逃れることができない。


いつか、誰からか聞いたことがある。


「親を亡くしたときの悲しみを和らげるために、人は、自分の家族を持つんだ」


確かにそうかもしれない。


多くの都市生活者と同じく、親戚付き合いも薄い核家族の中で育ったから「親族の死」というものを記憶の中に持ち得ていない。生物の法則から言えば、僕の場合は、親を失うのが最初の記憶になるはずなのだが、そのときのことを想像すると、計り知れない恐怖を覚える。最近、ご親族をなくされた知人は「想像以上の喪失感の大きさに堪えた」とおっしゃっていたし…。そして僕は…未だ、独り身…。親はまだまだ元気だから安心だけれど(もしかしたら僕以上に元気かも?)。


自分のことで精一杯で、孝行らしいことは何もできていないけれど、こうして作品を発表し続けることがせめてもの親孝行だと信じて、今日ものたうち回りながら「習作」を創っている。シュトックハウゼンのそれとは赴きの異なるものだが、氏がかつて成し遂げたことのように、僕の「習作」も誰かの心に響くことを願ってやまない。


この時季にぴったりの、安心の雰囲気が感じてもらえるような仕上がりを目指して…。そして、同時にそれが、表現者の端くれとして、後を継ぐものからの、せめてもの弔辞となるように…。


謹んでご冥福をお祈りします。
 

2007年12月02日

Happy Wedding

先の週末、友人の結婚式へ出席するため、西へ。

なんだか、やけに楽しくて嬉しくてめでたくて…
多くの人たちの祝福の想いが詰まった場に居合わせられる喜びを
独り勝手に感じていた。

そして、結婚を機に、新しい家族、仲間が増えるのは、
すごく素敵なことなんだな、と…
そんな当たり前のことを、ぼんやり思い浮かべたり…。

とにかく、思い出深い日になりそうな1日だった。


本当におめでとう。
末永く、お幸せに。


さて、こちらはそろそろ、
急遽制作することになった「新作」のための準備を進めないと…。
発表機会は、もうすぐそこまできている。