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幕を開けろ! その5

B000WZO64Yトニー滝谷
坂本龍一
エイベックス・エンタテインメント 2007-12-12

by G-Tools


クリスマスを控えた三連休、中日。よせばいいのに、街まで。なぜって? それは、先日、現像を頼んでおいた写真が上がっている予定だったから。「Scene of Light」の展示記録を早々に仕上げておきたくて、フィルムの写真素材が必要になったというのも、慌てて出かけた理由の一つ。各方面へお配りするためのDVDジャケット用に、いい写真がないかと期待していたというわけだ。

現像を頼んだフィルム数は、カラーと白黒、あわせて計4本。今時、デジタル処理すればいかようにもなるというのに、今回は、わざわざ白黒フィルムでも撮影をしてみた。これは単なる、自己満足のため。高感度の白黒フィルムで作品を撮影したことがなかったので、どうなるかを試してみたかった…それだけの理由。いや、フィルムを探していた最終日に、コンビニでいつも使っていたフィルムさえあれば、こんな無駄遣いはしなかったのだけれど(その件は、近くアップされるはずの「幕を開けろ! その6」で紹介予定)。

白黒フィルムは仕上がりまでにちょっと時間がかかるということだったけれど、カラーはもうできているはず…そう思って、混雑を覚悟で出かけると、僕の勘違いで、まだ何も仕上がっていなかった。その他にも細かい買い物などあったから、その用事だけでも済まそうと街を歩くも、やはり連休中の街は、何事も能率が悪い。人ごみがますます苦手になってきている昨今…それだけでもやられ気味だというのに、どこへいっても空気さえ薄く感じられ、気づくと、相当気分が悪くなっていた。頭も痛い。今日は比較的暖かいというのに、寒気もするようだ。この年末…まだまだ休んでいられないんだから、風邪を引かないうちに帰ることに。結局、予定の3/5くらいしか済ませることができなかった。混雑する街へ慌てて出かけてもいいことなんて一つもないことは重々わかっているのに、辛抱できなかった自分にも苛立つ始末。情けない。

こんな夜は、お気に入りの音楽でも聞いて、心を鎮めよう。


「トニー滝谷」


この映画を最初に見たのは…ケーブルテレビでの放送だったかもしれない。いや、予告編だけみたような気もする。画の質感とそこに漂う空気感に圧倒されて、即、DVDを購入した。坂本龍一の繊細なピアノ曲によるサウンド・トラックも、本作の白眉と言えよう。それをじっくり聞きたくて、手元に置くことにした。

だが、サウンド・トラック単体での発売は、最近、ようやく実現したばかり。もちろん、迷わず購入。「禁じられた遊び」や「パリ・テキサス」など、予算の都合もあったらしいのだが、ギター単独で作曲されたサウンド・トラックの中には、歴史的名盤として語られるものがいくつかるが、ピアノだけで構築されたものでは、これといって思い当たるものがないような気がする(物語の主人公がピアニストだったり、ピアノが関係するドラマを除いて)。

おそらく、この「トニー滝谷」も、潤沢な音楽予算があったとは思いにくい。いずれにしても、ピアノだけで綴る…という選択は、大正解だったように思う。とにかく、映像と音の親和性の高さは抜群。DVDに収録されているメイキングシーンでは、この独特の映像美が生み出された秘密が明らかにされている。なるほど! どこかで体験したようでいて、かつ、非日常的な画が生み出されているのは、こういう理由だったのか! けれど、非日常的でありながらも、自然に仕上がっているあたりは流石。まさに「風景」といえる画面になっている。

音楽も同様に「風景の音楽」としての設え。主張するわけじゃないけれど、ないと寂しい…そんな感じの。まさに「風のような音楽」といえそうだ。本作が、「名盤」と呼ばれる日も、そう遠くないであろう。少なくとも、僕にとっては既に「座右の銘盤」となっている(笑)。


また本編がみたくなった。静かな今夜、そっと眺めることにするかな。


「an etude for Scene of Light〜光の情景のための習作」公開3日目の記録。今日は、北から「おやつの使者」が現れた(笑)。
 
 

 
何が起こるかわかりません(笑)


3日目の朝。予定通りの時刻に目覚めるも、すっかり緊張感も抜けて、朝からやや、ダラダラ。作品の電源投入も我が電源投入の使者?に任せておいたから、今日もゆっくり目に会場入りすればいい。夕方に来客予定があるから、その直前にいけばいいくらいなのだが、その前に、お招き差し上げたお客さんがいらっしゃらないとも限らない。なので、やっぱり朝一番からの会場入りを心がけてしまう。

今日も予定通り、5分ほど遅れて到着。すると、我が電源投入の使者が、僕の作品の近くで慌てて駆け出している。何事か? と思いきや、単に、既に開場しているのに、電源を入れ忘れていたということだったらしい。朝の挨拶を済ますついでに、早速、その件をツッコミ。「ホントに、何が起こるかわからないですね(笑)」と、昨日の夜の別れ際の言葉からつながって今朝のこの調子…。なに? 僕の人生はやっぱり、ドラマ仕立てなのか? なんてことも思ったり…まぁ、今年は本当に波瀾万丈だったから、その一年の最後を飾るイベントで、楽しい思い出が一つ一つ蓄えられるのは、嬉しいこと。みなさん、ありがとうございます。



土曜日。週末ともあって、かなりのにぎわいをみせている。だが…僕の展示は、まさに「箱」のような状態なので、かなりの確率で素通りされてしまう。初日から、キャプションの置き場所に困っていた。なにせ、全面鏡張りの展示ゆえ、どこに置いても画にならないのだ。床に置くと、説明を読むためにお客さんがしゃがみ込んでしまう…その図は、あまりにも美しくない。そもそも、大人が靴を脱いで上がったり床に座ったりしゃがみ込んだり、何かを身体に取り付けたり…それはあまりに野暮臭い。

こういう展示機会だから、見てもらうことが重要だし…やはり、キャプションは、鏡の上に置こう。あまりに自然な状態で設置できてしまったので、天板が鏡になっていることに気づかないひともいたみたいだから、映り込んだキャプションをきっかけにして気づいてくれたら…そんな目的もかねて、上に置くことにした…といいつつ、「やっぱり、上には置きたくないよなー」なんて独り言を連発して、下に置いてみたり…またもどしてみたり…と、落ち着かない(苦笑)。



おやつ 独り占め


夕方、予定通り、来客。これまでも多くの活動を共にしている建築家・福島慶介が実家のある小樽から弟さんを連れてやってきてくれた。若いのに気の利く素晴らしい青年だっ! 甘いもの大好きな僕に、とってもスウィートで濃厚なクリームが織り込まれたチーズケーキを小樽からお土産に持参してきているとはっ! 素晴らしいっ! 会場は飲食禁止なのだが、お土産を持ってきていただいた礼儀として、その場で味見しないといけないでしょ? なので、こっそり一口、いただきました(土下座)。いや実は、ただ、一刻も早く、その味を堪能したかったからだけなんだけど…。味は、評判どおり、とってもおいしくて…その後の時間、裏の事務所に身を寄せて、数分の間に、独りで全部平らげました。スタッフの皆さんでもいたらお裾分けしようと思ったんだけれど、タイミング良く?誰もいらっしゃらなかったから…。皆でシェアできるように…と、気を利かせて用意してくれた使い捨てのスプーンは、あいにく、全く役目を果たさないままでした(僕が独り占めしたせいでね・笑)。今度は是非、現地でこれを味わいたい。もちろん、絶品の海産物もあわせて、ね(笑)。

夜、別の友人が来場。彼は映像の専門家なので、合成のことなど、あれこれ技術的な話題で盛り上がる。「この後、食事をする予定があるけれど、一緒にどうですか?」と誘ってくれるも、明日の搬出準備もあるし、既にその日も、相当な疲労っぷりだったし…終わってからの体調次第で…という曖昧な態度に留めておいたら、その後に、メールが…食事の約束は勘違いだったとのこと。ふぅ(苦笑)。でも、これで少しは、明日の搬出に向けた体力温存ができそうだ。


記録撮影


今日の最大の仕事は、作品の記録撮影を自ら行なうこと。前日、同じ展覧会に出展されているシムラユウスケさんが、会場全体の記録撮影を行なってくださって、僕も気づかなかった見事なアングルを発見してくれた。自ら「直線好き」と名乗る氏だけあって、流石だ。お陰で、スチールの作業はかなりスムースに進んだ。

ただ、ビデオの記録が…難儀してしまう。鏡を使った作品だから、当然、周囲の風景がすべて入り込んでしまうわけで…どのアングルから狙うのが正解なのか? 初日から随分と思案していたが、結局、普通のアングルに収まってしまった。こういう作品の撮影のときには、カメラごと水平に移動できるようになっていると便利なんだろうなぁ…レール、自作するかな? なんてことまで、一瞬本気で考えたり(苦笑)。

その後、いろいろと試していると、予想外に面白いアングルが発見できた。記録の中で有効に使えるかどうかはわからないけれど、とにかく、押さえておこう。どう活用するか、今後の編集でのチャレンジになるけれど。

閉場後、会場の後片付けが終わる時間まで、およそ30分くらいだったか…これまた独り、必死に撮影慣行。だけど、まだ素材が足りなさそう。明日、朝、早く入って再チャレンジしよう。我が電源投入の使者も、明日は午後からの入りらしいから、遅刻はできません(苦笑)。



家路へ。普段はの移動は、極力、JRを使わないルートを選択しているのだが、夜の時間帯は、逆にJRを使う方が、比較的ゆったりした気分で帰れることに気づいて、この会期中は、いつも、JRを選択して帰宅していた。

そんなわけで、今宵も迷わずJRへ。それにしても…このところ、やたらに人身事故などが各鉄道で起きているようだけれど、これだけの人がホームに常時いたら、事故が起きない方が不思議だ。せめて、混雑時は、階段の両脇の、ホームが狭くなっている部分には立ち止まらないで欲しいな。このところ、駅のホームを歩くときまで、相当気を使わされる。こんなことで、怪我などしている場合じゃないから。自分の名前を冠して作品を発表している以上、僕の代わりはいないんだから、背負っている責任がある。うっかり…なんてことだけは、ないように心がけたい。

明日はいよいよ最終日。搬出をスムースに行なうために、帰宅したら運び出す荷物の準備と…あっ。一日最大3000円のコインパーキングを無事確保するために、午前8時には会場周辺に到着していないとなぁ…。作家の入場時間は、10時30分だというのに(泣)。なんだか、花見や花火大会の場所取りみたいだ。まぁ、場所を確保したら、車の中で眠るとするかな。そういえば、去年の冬に参加したお台場の展覧会でも、会期中、ほとんど車の中で眠っていたっけ。こういうとき、独り身のくせに家族仕様になっている僕の車は、なかなか重宝してくれる。


つづく