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ケミストリー

もしかしたら、今、とんでもない瞬間に立ち会おうとしているのではないだろうか?


昨日の未明、仕事を仕上げたときに、ふとそんなことが頭をよぎった。ロックやアート、前衛が、とっくの昔に「定型化」してしまったわけだが、今、僕らが手がけている仕事は、そんな「枠」から、絶妙なバランスを保ちつつ飛び出そうとしているんじゃないか? そのバランスを整える一端を担う役割として、僕は今、ここにいるんじゃないか? 多くの先人達が、歴史的名盤、名演、名作と言われる作品を生み出したときも、きっとこんな空気だったのかもしれない…ちょっと大げさだけど、そんな気分に浸っている(笑)。
 
 

 
2008年1月30日未明。近く公開される仕事のための最初のデモ音源が完成した。深夜に、独りこの部屋で仕事の仕上がりをチェックしてから数時間後、その成果を携え、みんなが待つ元へ向かった。

これは、与えられた「お題」に対する僕なりの回答。バンドでいえば、セッションに近い作業だ。できる限りのアイデアを振り絞って音を紡いだ。「必ず通じる」。そう信じてプレビューを開始。いつもこの瞬間は緊張するけれど、今日はいくばくかリラックスできていた気がする。プレビュー後、みなの表情を確認する間もなく、歓声にも近いリアクションをいただいた。思いは通じた。この瞬間を今日、共有しあえたことが、何よりも嬉しい。

疲労困ぱいの中、わざわざ届けて正解だった。ネットでのデータやり取りがほとんどになってきている昨今…思えば、仕事を届けに出かけるなんて、いつ以来だろう…そんなことを、徹夜明けで薄らいだ意識の中、ぼんやり車窓からの風景を眺めながら思い浮かべていた。


多くのロックバンドが起こしたのと同じような「ケミストリー」が、今、この現場で起きようとしている。僕らは当然、ロックバンドではないけれど、秘めた志は、まさにロックバンドなのかもしれない。


だけど、今日の成果はまだ、デモンストレーション。今日には思い描かなかったような驚きを生み出すために…そして、この先に、この輪がもっともっと遠くまで広がるように…そのために、完成までひとつひとつ丁寧に作業を進めていきたい。


詳しいことは…まだ、ナイショ(笑)。全部出来上がってから報告するのが、好みのやり方なんでね。とにかく、楽しみにしていてほしい。好みにはあわないかもしれないけれど、あらゆることが冷めきってしまいそうな今、ほんの僅かでも「きらめき」を感じてもらえるはずだから。必ずそう感じてもらえるように、僕もこれまでと変わらず、全力で取り組む所存だ。


今年の一月は、これまで経験したことのないくらい、充実した一ト月だった。無休状態なのは正直しどいけれど、この感じ…悪くない(笑)。春にはもっと穏やかな気分でいられるといいな。僕自身もいろいろなことを楽しみにしている。