初雪
![]() | 円游律 FENCE OF DEFENSE Sony Music Direct 2008-01-16 by G-Tools |
昨年末から引きずっていた仕事に、ようやくめどが立った。映像に音楽をつける作業だったのだが、16日正午、音楽パートもほぼ完成し、やっと全貌が現れた。納品へ向けて最終的な微調整を施すことになるが、とにかく、無事に完成のめどがたったことに一安心。今も早速、次なる業務のための作業に突入しているが、休憩の束の間、こうして無駄にタイプするのが、今の唯一の楽しみ?となっている(苦笑)。
それにしても、この連休は一刻を争う状況だった。特に〆切直前、連続15時間、一切の休みなしの状態で独り作曲演奏録音整音を続けていたなんて…わずか1日前の出来事なのに、果てしなく昔の出来事のような気もする今…よく乗り切れたと、我ながら自分の「火事場のナントやら」の破壊力に驚かされている。
昼。業務を無事に終えて、さぁ眠ろう! と思うも、やはり、気持ちの高ぶりが抑えられず、なかなか寝付けない。食事をとって、毛布にくるまり、ケーブルテレビで放送されていた吉本新喜劇なんかをみたりしながらソファーで横になってみると、心も身体も暖まり、ゆるやかに眠りに落ちそうになるも、床に移動してぐっすり眠ろう、と立ち上がった瞬間、また目が冴えてしまって…このついでに、風呂でもゆっくり浸かろう…なんて調子で入浴してしまったら、案の定、湯船の中でおちてしまった。危ない。いつもの悪い癖(反省)。
無事に生還し、すっきりした心と身体で午後の陽光を浴びていると、ひとつ思い出したことが。今日、フェンス・オブ・ディフェンスの新譜の発売日じゃなかったか? Amazonにオーダーしていたから届いているに違いない! と、ポストを開けてみると、きちんと予定通り、到着していた。そして、よせばいいのに、開封してプレイ! ミニアルムとはいっても…やっぱり全部聴いてしまった(苦笑)。こうしてまた、眠るタイミングを逃し…。
フェンスとの出逢いは、さかのぼること20年前。当時発売されたばかりの、彼等のセカンドアルバムを聴いたのが最初だ。当時は、日本の音楽シーンも「ロック」を生み出すことに積極的で、「こんな音楽が日本にもあるんだっ!」と、独り異常なほどの盛り上がりをみせていたことを今でもよく思い出す(当時から、こうした思いを共有できる友が少なかったのは、今も変わっていない・苦笑)。
このバンドも、結成20年。10枚以上のオリジナルアルバムを発表して、昨年には、キャリアの全てを網羅した2枚組のベスト盤も発表された。長いバンドの歴史の中で、当然、紆余曲折があったわけだが、その歴史をダイジェストで振り返ることができるこのベスト盤…内容の充実ぶりはもちろんだが、ライナーに記されたメンバーのコメントも印象深かった。数々の困難を乗り越えて今、再びそろって表現している様子を目の当たりにした目撃者の一人として、「やっぱりミュージシャンはかっこいい」と改めて思い知らされているところ。そして、その音、言葉の一つ一つは、三度の周り年をとっくに過ぎた我が身にとって、やけに身にしみる内容で…自分のこの20年の歩みととらし合わせてみたりして、なかなか感慨深いものを覚えた。「続けていくこと」の大切さと難しさ、そして、絆の深さを、今一度、深く心に刻んだ瞬間だった。そう、それは、僕のデビュー作のタイトルにそっと込められた想いと同じだ。
![]() | GREAT FREAKERS BEST~FENCE OF DEFENSE 1987-2007~ フェンス・オブ・ディフェンス Sony Music Direct 2007-09-26 by G-Tools |
僕の大好きな、1st、2ndアルバムからの楽曲を始め、収められた名曲の数々は、リマスターされ、ここで現代に気を吹き返している。最初の一曲目「Strange Blue」のイントロから、もうはっきり音の違いがわかるほどの内容で、旧盤では味わえなかった臨場感を覚え、瞬時に陶酔の領域に突入…彼等の世界に飲み込まれていった。セルフカバーでの曲も聴きごたえがある。たいてい、こういう試みは失敗、もしくは及第点に終わりがちだが、ここで聴けるそれは、違った。彼等のデビュー曲「フェイシア」のセルフカバーは特に秀逸。曲の持つ壮大なスケール感を、また違った魅力で聴かせてくれている。
…と、そんな調子で、去年の秋口から、すっかりまた、原点回帰モードに突入していたところ、その暮れに、ニューアルバムリリースの情報がアナウンスされた…ネット時代、これまでだったら取りこぼしていた情報も拾うことができるから、ありがたいやら迷惑やら(笑)。発表する側にとったら、便利な世の中になっているのはいうまでもないが…。
さて、このニューアルバム。プログレッシブロックの手法やら、やけにポップな曲やらがちりばめられ、今の僕の気分にぴったり寄り添ってくれる内容に仕上がっていた。それにしても、やっぱりこのメンバーが集まると、この音になるものだ。丁度、昨朝、自分が仕上げた仕事を聴きながら「あぁ、どこを切り取っても僕だなぁ」と喜びと安堵と溜め息を同時に感じたときのように、彼等が奏でれば、彼等の調べが鳴り響く…というわけだ。
アルバム発表のアナウンスがされた時点で、ネット上で試聴をして、そのときに気になったのが、ラストを飾る1曲「SAKURA ~夢咲くこの場所で~」。とってもポップで、素直ないいメロディが聴けるミディアム・テンポの曲なのだけれど、それがやけに心に響いて、胸、高鳴った。もう、昨秋のベスト盤で十分! と思っていたから買うつもりはなかったのに、このところの過酷な業務続きで頭も朦朧としていたせいもあり(笑)、つい「ワンクリック」してしまったのであった。もちろん、ワンクリックした甲斐は、十二分にあったけど。そして今も、その1曲がこの部屋に流れている。じんじん、震えが身体に走る。エンディングは、なにやら、次を予感させるシーンで終わっていく。これは、そう遠くない未来に登場するであろう次のフル・アルバムの予兆かな? そんな気がしてならない。
おや。ついうっかり、無駄タイプ?が弾んでしまった。そろそろ業務に戻らないと…。
東京では今夜、初雪が降ったらしい。昨晩、早めに就寝したせいもあって、深夜に目覚めたのだが(次の〆切を間に合わせるためにこの時間に起きたとも言える)、起き抜けにネットの新聞記事でそれを知った。気づくと無意識に、家の玄関を開けて、寝静まった外の空気を味わっていた——心地よい。ほんのり湿った夜の空気が、心穏やかな瞬間を僕に与えてくれた。〆切さえなければ、そのまま散歩にでちゃったところだろう。
さぁ。次の手を動かそう! 孤独な夜更けを無事乗り切るために、カロリー摂取のためのホワイトチョコと抗酸化作用を期待してのレーズンを携えながら、今宵も朝日を浴びるまで作業だ。明日、打合せが終わったら、少しブラブラ散歩でもしてこよう。どこへ行くかは…まだ決めていないけど。
嗚呼。今もこの部屋を包むFENCE OF DEFENSE「SAKURA ~夢咲くこの場所で~」。もうじき春分を迎え、暖かくなる季節にぴったりの歌だなぁ。年齢を重ねて、言葉と音の関わりで楽しめるようにやっとなった気がする。難しいことなんて、何もいらない。当たり前のこと、大切なこと、そして信じることを、そのまま素直に伝えればいい。
そろそろ、僕の歌心が覚醒する日も、そう遠くはなかったりして…なんてね(笑)。

