« 止まない想い | メイン | fatigue »

星に願いを

今夜は星が奇麗だ。

といっても、東京の都心部の星空なので、そんなたいしたことはないけど。
 
 

 
昨晩からの嵐が、今日も東京に吹き荒れていた。強風の影響か、空には雲一つなく、美しい青空が広がっているのに、表に出る気がしない。風さえ穏やかなら、車を飛ばしていつもの場所まで海でも眺めにいきたかったところだけれど、溜まりに溜まった事務仕事もあったし、あまり気分も乗らなかったので、自宅でひっそりすることに。今日は一日、こんな調子…そう思ってじっとしていたかったんだけれど、どうしても部屋の整理に必要なものがでてしまって、それを調達するために、夕方、街まで出かけた。

日もおちていたから、強めの風が、体感温度をさらに低下させてくれる…寒さが厳しいと、ろくなことを考えない。気晴らしに、いつものお店でたい焼きでも買って…そう思っていたのに、そんなささやかな楽しみさえ実行に移せないくらいの気分に陥ってしまう…。結局、必要なものだけ手に入れて、さっさと家路へ。なんとも、惨めだ。

これじゃいかん! そう思って、最寄り駅近くの99円ショップで、お菓子を物色。こんなことをするのは、けっこう珍しい。それにしても、今の日本の現実をここでかいま見た気がした。「夕飯時のスーパーマーケットか?」と思うほど、99円ショップが混雑していたのだ。それも、老若男女問わず…このままで日本は大丈夫なのか?


お一人様には多すぎるお菓子を抱えて帰宅。だけど、そんな余興を設けても、気分は未だ回復する見込みがなかった。疲れと、仕事のペースがつかめてきた安堵と、この寒さと…そして、ほどよい孤独感がそうさせているに違いなかった——毎度のこと(苦笑)。

いや、本当の理由は…他にある。それは明白だ。どうにもならない苛立ち。なんとかしたいが、こればかりは、自分ではコントロールできないことだから…。吐き出すだけで満足できるようなことでもない。あきらめられないことが、わかってしまったから厄介だ。作品づくりのために買い込んだ筆記用具を手にして、とうていここにはかけそうにない己へ向けた激しい苛立ちを山のように書きなぐる(苦笑)。一通り落ち着いたところで、また再び黙々と事務的仕事へ。我ながら、なかなか世話の焼ける質だな(苦笑)。


日付をまたいだ頃に、提出するための書類が完成。今夜のうちに発送しようと、表に出た。寒さは夕方と変わらないほど厳しい。瞬時に身体が冷え渡り、同時にまた、ろくでもないことを考え始めてしまう…。さぁ、さっさと用事を済ませて、暖かい家に戻らなくちゃ…そんなことを独り心の中でブツブツと唱えつつ、ふと脇に目をやると、最寄りの小学校の校門越しに静まり返った広い校庭が見えた。自然と、校庭の頭上に大きく開かれた夜空に目が向く——思わず、立ち止まった。


別に、たいした夜空じゃなかったんだ。もっと奇麗な、満天の星空だって見たことはある。星座の名前だってほとんどしらないし、夜空に想いを馳せたりなんてしたこともない。だけどなんだか、今夜、この夜空に触れることが出来て、少しホッとした。


想い通りにならないことばかりだし、あの日から、満たされない気持ちはずっと抱いたままだけれど、僕はきっと、とっても恵まれているんだ。そのことを、些細な出来事のせいで忘れないようにしないといけない。たとえ今の想いが、一生届かなくてもいい。僕らは同じ時代に生きて、同じ時間を共有している。それだけでもう…ね(苦笑)。


洗濯製剤のせいか? このところ、なんだかやけに、肌着が香っている。お陰でいつも、どこか覚えのある甘い香りが身体を包んでいる。

封じたはずの淡い想いを呼び覚ましてくれたのは、きっと、この香りのせいに違いない。