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春の足音

この何年かの間、満足いく仕事を終えたときだけだ。
心底ほっとした気持ちになれるのは。
 
 

 
3月13日未明、昨年末から取り組んできたNHK教育「からだであそぼ」の音源を、ようやく全て完成させた。一部、これから年間を通じて作り続けるコーナーもあるのだけれど、ひとまず、新年度からの放送に必要なものは一通りとり揃った。もうじき、初回のMAがある。全体が繋がったとき、どんな印象になるのか、本当に楽しみ。


それにしても、気づけば、番組の多くの部分で僕の音楽を使ってもらえることになった。その分、バリエーションとバランスをとるのに能力の限界を何度も感じたけれど、期待を寄せていただいたぶん、いつもどおり「全力」で応えるべく、日夜、作業に勤しんでいた。そしてようやく、大きな壁を乗り越えた。

自分を追い込む質は、きっと生まれたときからだろう。そのせいで、これまたいつもどおり、精根尽き果て…作曲してアレンジして演奏してミックスして…おまけに歌って独りでコーラスまで…相変わらずの「究極の独りよがり状態」だったから、それも当然か。でも、とにかく楽しく充実した日々だった。こうした日々が、永遠に続けばいいのに…なんて、少々センチメンタルな気分になってしまうほど、毎日毎日、苦しくも楽しい日々を過ごすことができた。僕に声をかけてくださった皆さんに心から感謝したい。ありがとうございます。


未明に音源の完成をみて、それから明けて翌朝、出来上がったCDを局へ発送するために表に出た。ずっとこもりっぱなしだったせいもあるのだろうけど、春も近づいたこのごろ、温かささえ感じる外の空気に、心洗われるようだった。

発送を済ませてから、そのまま散歩へ。近所の桜並木をぶらぶら…。つぼみが、だいぶ大きくなってきている。いつも春には、同じように散歩をしては季節を感じてみているのだけれど、その日の気分は、これまでとはずいぶん違っているように思えた。


嗚呼。この思いを、早く多くの人と共有したい。それが達成できてはじめて、この仕事が完成する。完成の時まで、あと少し。本当に、たくさんの人に、僕らのこの思いが届くことを祈ってやまない。


その瞬間をそっと待ちわびる。
独り、春の足音を聞きながら…。