
BankART Life II「心ある機械たち」展、ようやく開幕。
■BankART Life II 「心ある機械たち」展 出展のお知らせ
http://www.kawasekohske.info/BL2/
田中信太郎さん、ヤノベケンジさん、牛島達治さんの作品がある1Fホールに、我が「ベアリング・グロッケン」も展示させて頂いている。
この他、3Fには、Long Autumn Sweet Thing、「シーン・オブ・ライト〜光の情景」のための習作【改変版】も展示。どれもデリケートな作品なので、79日間におよぶ展示での運営が若干心配ではあるが、横浜まで散歩がてら、ちょくちょく様子を見に行く予定。秋の気配がより色濃くなった辺りが一番楽しみ。思索に耽るにはもってこいの季節だからだ。横浜の海を眺めながら、ひっそりと流れゆくときの移ろいを独り味わいたい。
複数の作品を出品するというのに、完全に孤立した状態に自らを追い込んでの準備、設営は、想像を越える重圧だった。しかし、こういうとき、人には便利な機能が備わっているようで、自然とアドレナリンが噴出してきて、やる気が高まってくる。「誰も代わりはいない」という責任感が、余計にその噴出をあおり、眠らない休まないは当たり前の状況になっていゆく(食事をとることだけは忘れないのだが・苦笑)。設営を終えて一息ついたところで、顔以外、全身に筋肉痛が走った。途中から既に痛みはあったのかもしれない。だが気づくまでは何も感じず…。痛みを感じたと同時に、改めて「気持ち」と「身体」は綿密に関連していることを再確認させられた。梱包から設営まで、慎重な作業が続いただけに、余計な力があちこちにかかっていたのだろう。おまけに(これはいつものことだが)、自分の重い体重で、足を破壊しそうになった。今も少し痛む。いい加減、そろそろ減量か?(笑)
展覧会に挑むときには、いつも肝に銘じていることがある。それは「全力を尽くすこと」。展示を経て、どんな結果が生まれるのか? 始めた頃は、そればかり気にしていた。もちろん、当時だって全力で準備して挑んでいたけれど、結果ばかりを求めては、焦り、苛立っていた記憶がある。
その後、数年のキャリアを経て痛感したのは、発表する側にとって大切なのは、発表までのプロセスだ、ということ。全力を尽くし、やれるだけのことに全て取り組み、イメージ通りに展示を成立させること。結果までは僕にはコントロールできない。自分が約束できることは「自分のやるべきことをやり通すこと」。それしかないのだから。そこに至るまで完璧を期して取り組む…それを大切にしていこうと誓った。
僕の仕事がお客さんの心に響くかどうかはわからない。好みだってあるし、そのときの心情だって作品の印象を左右する。せっかく出逢ってもすれ違ってしまうことだってあるから…とくに僕の作品は、どんな形態をとっていようと「音楽」だから、目を耳を留めたくなる時間軸に遭遇できないと、ピンとこない場合が多いのもまた事実。インタラクティブな機能を搭載して、いつでも見せ場を再現するような演出は、僕の作品ではやらない。たとえ、せっかくの出逢いをすれ違いで終わらせることになってもだ。「一期一会」——ある偶然の出逢いで人生が変わった…そんなドラマティックな瞬間を機械仕掛けで無理矢理創り出しても意味がない。僕はそう思う。そのとき通り過ぎてしまったとしても、いつかまたどこかで出逢える…そうしたある種のロマンティシズムを僕は支持したい。そしてきっと、そんな僕と似た気持ちにある人だけが、僕の作品を「好き」と言ってくれるのだろうから。
僕と直接出逢うことはないかもしれないけれど、僕の作品を通じて、いろんなことを考えたり感じたりしてもらえたらうれしい。
「あの日、こんな作品をみたんだ」
大切な誰かに、いつかそんな風に話しをしたくなるような…そういう仕事を、これからも追求していきたいと思う。