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カオスの淵で

 複雑系という概念の中で、生命の誕生について捉えると、今、こうして僕らが出逢っていることは、まさに「奇跡」だということを痛感する…そんなお話を聞きながら、現在進行中のプロジェクトに関連した会合へ出席。

 座の様子がまったく見えないままの出席となったので、出向くまではどうなることかと心配していたが、顔をつきあわせて話しをすれば、流石に、ここに呼び集められた理由がよくわかった。

 逢う前から、既に意識は共有できていた。表現する言葉はそれぞれ異なれど、皆、同じ意識で取り組んでいる。そのことに、安心を覚えた。
 
 

 安心を覚えたというのは、何も、僕の緊張が解きほぐされたという意味ではない。この時代に、作り手の多くは、同じ問題意識を抱えているということにである。

 だが、なにもこれは、作り手だけが抱いていることではないはずだ。今に生きる誰しもが、心のどこかで「本当はこうした方がいいんじゃないか?」と、そう思っているに違いない。けれど、それが様々な事情で、出来なくなってしまっているこの現実…何とかしなければと考えているのは、誰しも同じなのである。そうした意識が世の中に常にあるとすれば、僕らにできることは、「最初の一歩を踏み出すため」の、そのきっかけとなる何かを現実の中に据えていくことだ。

 どういう形になるかはわからない。もしかしたら、形には存在しないものになるかもしれない。これからどういう経緯を経ていくかわからないが、カオスの淵で起こった奇跡的な偶然で出逢い交わした想いは、いつかきっと、どこかで花開くに違いない…そんなことを、帰り道、ぼんやり考えていた。

 今日の出来事は、同じ時代に生きるということ。そして出逢い、語り合い、触れ合うこと——そんな、至上のロマンティシズムが今も常に健在であることを改めて痛感させられた機会となった。こうした想いがこの場を飛び越えて次々と増幅され、もっともっと遠くまで響き渡ることを…今はまだ理想の域を超えられない状況ではあるが、思い浮かべている。その理想を現実に近づけていくために、もうひとひねり加えた現状の考察が必要になるだろう。