« 2009年05月 | メイン | 2009年07月 »

2009年06月01日

See you again

 台北から再び、東京に戻った。
 
 

 別れはいつだって寂しいものだ。同じ時代に暮らしているのだから、いつでも逢える…気持ちは通じている…それはわかっていても、今、ここでお互いに背を向けた瞬間から、物理的な隔たりが刻々と広がっていくかと思うと、いつもこみ上げてくるものを抑えきれない。

 今回の滞在も、先のレジデンス期間同様、想像を超える出来事の連続だった。それに遭遇している時間は残酷なまでに苦しいものだったけれど、通り越した今は、これまで以上に穏やかな気分がしている。

 ふと我に返って冷静に考えてみる。何故、今回のレジデンスがここまで色鮮やかな体験として刻まれたのか? それはきっと、「かけがえのないもの」を「改めて」知ったから、ではなかろうか? 掛け値なしに大切と思える仲間、友達ができたこと…こうした感覚は、久しく忘れていたものだった。

 成長する過程で、誰もが等しく体験するであろう「損得勘定の上に成り立つ人間関係」——そんなものに辟易してから何年経つのだろう? 何かに疑問を抱いても、二言目には「仕事だ」で片付けられるのが大人の世界。それに対して僕と言えば、いつだって納得のできないことについては「ノー」と応えてきた。そのお陰で、背負わなくてもいい苦労も幾度も味わったようにもうけれど、自分の選択には後悔はない。けれど、どこかで、そんな姿勢を貫くことにも疲れを感じていたのかもしれない。いや、何か、寂しさのようなものを覚えていたのだろう。何故? どうして? 純粋ではいられないのか? 孤立したとしても貫く想いは揺るがない。その自信はあっても、どこかで不安でたまらなかったのではないのか?

 でもそうして、信じて貫き通してきた道の途中で、かけがえのない仲間に沢山であうことができた。その延長が、台北でも実現きたこと…それが何よりも嬉しいかった。

 独りでいることもできる。しかし、独りでいたら、僕が僕であることができるのだろうか? 僕がこの時代に生きたことを、誰が証明してくれるのだろうか? 僕がみたあの美しい夕日は、本当の出来事だったのだろうか? 僕が伝えたいこの想いは、誰かに伝わるのだろうか? ——そんな想いが、Scene of Lightを手がけたきっかけだった。

 僕がここにいること。君がここにいること。僕たちがここにいること。

 ——。

 嗚呼。レジデンス期間中と同じ現象の繰り返しだ。届けたい想い、感じている気持ちは沢山、心の中に詰まっているのに、言葉にならない。

 とにかく今も、感謝の気持ちで一杯だ。まだまだ続いていきそうなこの縁をより深いものにするために、今回の成果を伝えていきたい。作品だけではなくて、僕が感じたことや思ったこと、そして、僕が彼等から教えてもらったことを。

 またすぐに逢いにいきます。僕らは同じ時代に生きているんだから。