あれから1年 台湾、再び。
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台湾でのレジデンスから戻って1年が経過した。すっかりそれ以前の東京の暮らしぶりが板についてきている。
今も、台湾の友人達とは、インターネットを介して連絡をとり合っている。それが、あの日々が夢ではなかったことを唯一実感させてくれる。僅か70日間という滞在ではあったが、あの日々に感じたことは、鮮烈に心に焼き込まれている。そして今、その想いが何だったのか? 彼らから受け取った気持ちは、何故にこんなにも豊かな彩りを放っているのか? それを感覚だけではなく理屈として刻み込みたくて、台湾に関する本をいくつか読みあさっている。
もしかしたら、そこには僕が未だ言葉にできていない想いが記されているかもしれない。自分の中に眠る言葉をもっと沢山発掘したい——そこで浮き彫りになったのは、現地にいたときに感じていたままのことだった。台湾での暮しから感覚として心に刻み込んだことと、それから1年が経って東京で暮しの中で頭から理解しようと取込んだ理屈は、寸分違わぬ一致を見せたのだ。
今回手に取った書籍は、主に2000年を中心に出版されたもの。日本人の目からみた台湾だけではなく、台湾人から見た日本について触れられているものなど、まんべんなくピックアップしている。
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まだ全てに目を通したわけではないが、不思議だったのは、日本人作家が記した台湾に関する書籍の内容だ。どれも今からおよそ10年ほど前に書かれたものだというのに、僕が昨年、現地で感じたことと、ほとんど変わらない想いを綴っているのである。台湾から戻って、渡台経験のある何人かの友人知人に台湾での話しをしてみたところ、やはり皆、一様に似たようなことを話し出す。
それだけ、台湾には、先祖伝来、大切にしている何かが今もしっかり残っているのだろう。そして、多くの日本人が、一様に鮮烈な体験としてそのことを話すのは、近代日本(戦後、高度経済成長以降)では、こんなにも当たり前で失われるはずもないと思われていたことが、喪失したとは言わないまでも、希薄なっているからではないか?
僕がどんなことを感じたのかについては、BankART1929ならびにYokohama Creativecity Centerなどで配布されている「台北・横浜アーティスト交換プログラム2008」記録冊子を是非ご覧頂きたい(光の軌跡を捉えた夜景の写真が目印)。
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手に入れたのは、これらだけではない。まだ目を通していないのだが、最も読むのを楽しみにしているのは、これだ。
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亡くなる数年前に記したものらしい。氏が、どんな視点で台湾を見たのか? それが知りたい。そして、それは果たして、僕が感じたこととどれほどの差異があるのかを。
台湾へ向かう前、現地のことを調べる時間は全くなかった。自分のことに忙殺されていたためだ——東京で暮らす民の典型。そして、今回手に入れた台湾に関する本の著者さえも等しく口にする通り、戦後教育を受けてきた多くの「ぼんやり」とした日本人と同様に、台湾という「国」のイメージが、ほとんど掴めていなかった。中国語を話すけれど、中国じゃない…かつて日本に統治されていて…歴史上の問題から日本との正式な国交は結ばれていない…その程度だった。
帰国後に学んだいくつかの歴史を通じて、台湾に親日家が多いと言われる背景も知った。だがしかし、台湾の人々から受けとった数々の想いは、そうした歴史的政治的背景などは全く関係のない、温かく優しさに溢れる、本当に血の通うものであったこと…だからこそ、僕らは彼らに心揺さぶられるのではないだろうか? 今、僕らが、各々の自分勝手な都合や理屈でせん滅させようとしてしまっているものを、彼らから沢山、受け取ったからではないのか?
冒頭に紹介している「台湾人と日本人精神」でも似たようなことが触れられている。何事も、受け取る器がなければ、気持ちさえも伝わらない。まさにその通りだ。実際に僕が体験した話しを少し若い世代に話してみたところ、聞く耳を持たないという感じの連中が多い。それを一つ一つ、元に戻そうと働いてみることさえも、多くの人たちが、あきらめてしまっているのもまた事実だ。想いが伝わらない…そんな体験が続くと、人は当然、疲弊していく。自らを守るために、口を閉ざす、個を重視する…みんな、バラバラになる。
もしかしたら、もう僕らには、手遅れかもしれない。それは「普遍的なもの」であったはずなのに…。
それでも僕らは、誰かと繋がりたくて、電子ネットワークの中を彷徨っている…まだ希望はある…そう思いたい。
民主主義、社会主義、共産主義、資本主義…あらゆるシステムを開発してきた我々、民。今、たまたま生き残ったシステムが優れていると思われがちだが、果たしてそうだろうか? どんなシステムも、一度歯車が狂い出すと…そろそろ、残されたこのシステムも最期のときを迎えようとしているのかもしれない。それに乗ったら最後、早かれ遅かれ、末路はどれも同じだ。
かつて日本は、台湾より少しだけ早く、その道を進み出した。僕が覚えた懐かしさを残す国・台湾には、どうか日本とは別の道を歩んでほしいと願うばかりだ。
手に入れた全ての本を読み終わったら、もう一度おさらいするつもりで、これを見る。昨年、帰国後に公開された映画「台湾人生」が今年、DVD化された。書籍も発行されたらしい。
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昨年に記した、映画鑑賞後の日記。
もう一度見返した後、あの日何を感じたのか、深く、そして強く、思い返すことだろう。






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