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production note for Long Autumn Sweet Thing @ SPIRAL Garden Showcase
 
May  June July August  September October November

2002年5月13日
 
グランプリ獲得から1週間....いよいよ秋の展示に向けた構想を練りはじめなければ....
なんて気持ちが高ぶっている....そんな気配は毛頭なく....困ったものだ。
連休明けから当然のように経済活動に追われている。
とにかくSICFが終了するまで忙しすぎたから、作業はこなしていたものの身が入らず、
ちっとも成果が望めない....そんな1週間だった。

そうこうしていると、今日、早速、秋の展示に向けた最初の打合せの日程を決めたいとの連絡があった。
来週末には最初の打合せがありそう。やはりぼちぼち、やることを考えておかなくては....
といっても、概ね、やることは決まっている。

SICFでの展示は、この、秋のグランプリ展のための予告だったわけだから。
「プロトタイプ」と銘打っておいたように、SICFでの作品は試作に過ぎない。
プロダクトをより充実させ、音楽のバリエーションを増やし、
それに応じた照明装置の演出パターンを考える....そんな形になるであろう。

会場となるショウケースの特性をよく見極めてプランを練る必要がある。
とにかく「見せ方」が重要だ。それで印象が大きく変ってしまう。
時間があるときにちょこちょこと会場をのぞき見してくるかな?
....なんて、実はもう、既に何度かチェックしているんだけど....。
それにしても、とにかく難しい環境だ。
あれこれ手を加えず、シンプルに見せるのがもっとも効果的な気がする。


5月20日
 
前日より、SICF時に収録したLASTの記録映像の編集を行なっていた。
ここぞというカットに人影がはいってたりするのが惜しいところだが、
それにしても、初めて手掛けた編集にしては、なかなかの仕上りではないか?
自分が苦労しただけに「かわいい」だけかもしれないが....。

こんな時期に編集をしていたのは他でもない。
LAST制作にあたりご協力いただいた方々への報告....
それから、この作品の更なる展開を求めての売込み材料が早急に必要だったからだ。
もちろん、グランプリ展の打合せにも有効であろうから早めに着手した....というわけ。

なるべく多くの方々にこのビデオを観てもらいたい。
そして、この作品の可能性をお互いに探っていきたい。

ダビング後、早速パッケージを完成させ、宅急便を出しに深夜のコンビニへ。

早速、朗報が届くに違いない。
またも根拠のない予感に包まれている。


5月23日
 
朗報、届く。
思っていたよりも早く。

ぬか喜びにならぬよう、必至に祈ろう。


5月24日
 
本日、グランプリ展へ向けた最初の打合せがあった。
関係スタッフの方々との顔合わせ、そして条件面を含めた色々なお話をさせてもらった。

とにかく、お互いのために「成功」と思える展示にしたい。
これまでおぼろげに抱いていたそんな想いを再認識した日となる。

やる気が空回りしないように....それだけ、注意。
それから得意の無駄口もホドホドに....。


5月27日
 
経済活動も一時小休止。
これから最初のプラン提出へ向けた「妄想期間」に入る。

やることは明確になっている。
だが、「見せ方」をどうするかでまだアイデアが固まらない。
予算が無限にあるのならそれはもう、とんでもないことができるわけだが
限られたなかで最大限の効果を発揮する状況....ここ数日もそればかり考えている。

今、「見せ方」のアイデアについては複数持ち合わせている。
どれも自分の中では興味深いものだが、諸条件を踏まえると、
結局シンプルな見せ方をするのがベスト....そう思ってはいる。
恐らく最終的に「シンプル」な見せ方に落ち着くであろうが、
まだ他の可能性も探ってみたい。


5月30日
 
祈りが通じたようだ。
先日の朗報が、徐々に現実味を帯びた話しに展開している。
明日、そのための打合せに出向く。
詳細は、総てが決まるまではナイショ。

5月31日
 
「LAST」新展開のための打合せへ。
こちらでも随分と親切丁寧な対応をしてくださるとのことで、非常にありがたい。
あとはこちらが期待に応える状況を再現しなくてはならない。
空回りしないように....これまでどおり....。

6月初旬、約一ト月振りにLASTを稼働させることになった。展示....という形ではないが。
それに向けて、今週末、設置+動作テストを行なう。
設置のために必要な時間も再度測っておこう。
ケーブル類の整理も済ませてあるし、機材関係の専用ケースなども用意した。
SICF時より、素早く設置できる....はずだが....今度は独りだから....どうなることやら....。


6月2日
 
来秋のグランプリ展の会場となる「ショウケース」を見学にいった。
今日まで開催中だった催しの搬出作業が終わってから約1時間ほど、
空の状態をみさせていただく。

設備のチェックだけをするつもりでいたのだが、
せっかくの機会なので、プロダクトの一部を持参して雰囲気を確認することに。

むぅ。

印象は、こんな感じ。

だが、空の状態のショウケースをじっと眺めていたら、
この空間で映えるプロダクトの形状が見えた気がした。
単なる思い付きだから、実現化は不可能に近いが、その場であれこれ考えてみた。
構造のこと、制作期間のこと、試作のこと、予算のこと、設置のこと....いろいろ....。

こうしてあらゆる可能性を検証してみるしかない。
SICFの出展プランを考えていたときのことを思いだす。


6月3日
 
プロトタイプとして発表したSICFでの展示作品をどこまで発展させるか?
このところ考えているのはそのことばかり。
色々とアイデアは浮かぶが、どれもいっきに2段階以上、進化している気がする。
ジャンプアップは歓迎するべきだろうか?

そんなことを念頭におきながら、今日はまず、
昨日、見学のときに浮かんだアイデアを視覚化するために、
撮影してきた写真を合成したりしてあれこれ試してみた。
しかし、それだけではものたりず、実際に使用するであろうプロダクトを構成する
パーツの大きさを実感するため、紙を正方形に切りだし、パズルのように並べてみる。

何事もまずはやってみることだ。
お陰で、これまで思案してきた部分を解決するいい形状がみえた。
だが、技術的、構造的な問題は、このままではまだクリアされない。

確実な動作環境を構築するためには、試作に相当な時間がかかる。
プロダクトも自作しなければならないし、試作といえどもマシン類は
本番で使用するもので行なわなければ意味がない。
時間も相当必要だが、試作段階で予算オーバー....そんな危険性もある。

もっともっと、整理しなければならない。


6月4日
 
経済活動のための打合せの後、また今日も「ショウケース」の観察?にいった。

ほんの数十分だったが、ボーッと眺めていると....
僕の目の中に入ってきた光景が、秋の展示のためのアイデアへと変化していった。

秋に形にするかどうかはわからない。
だが、いずれ挑戦したみたいアイデアだ。

僕の頭の中では、ものすごく奇麗な仕上りが見えているんだけど....
いつお目見えするかは、僕にもわからない。


6月5日
 
「ナイショ」だった一件について。
LASTのプロモーションの一環として、あるテレビ番組に作品を応募した。
NHK BS「デジタルスタジアム」という番組だ。
事前審査をクリアし、めでたく本番収録へ挑むことになり、
今日は、翌日の収録の前にテスト設置をするため、夜、NHKのスタジオへ向かった。

なるべくスムースに設置がこなせるようにするために、事前に入念な打合せをさせていただいたお陰で、
到着して機材、作品を搬入した後は、順調にことが進んだ。
動作テストも難なく終了。
その後は同じ日に収録される作品のセッティングを観察しながら
滅多に来ないテレビスタジオの雰囲気を独り満喫していた。

総ての作品の設置が完了するころ、念のため、もう一度動作を確認しておこう....
と、LASTを動かしてみる。....すると....液晶フィルムが動作しない。
さっきまでの余裕はその瞬間に吹き飛んだ。

色々と確認してみたところ、どうやら液晶フィルムを制御するためのハードに信号が届いていないようだ。
ケーブルを代え配線を入れ換え....可能性を全て試したがダメ。
まさか、ハード的トラブルか?

収録できないとなると、困るのは僕より番組の方。
そんな迷惑をかけることはできない。
こんな立派なブースまで用意していただいたというのに....。

対策を考える。
代わりの機材を....用意することは不可能に近いことがわかっていた。
取り寄せるまで、少なくとも2日はかかる....他に代わりがきく機材は....思い付かない。

今できることは、一つしかない。
もう一度冷静になってセッティングのチェックをしてみることにした。

最後に動作させた後、暗がりであちこち調整していたから、
その時にどこか触ってセッティングが変ってしまったに違いない。
ひとつひとつ、ゆっくり、時間の許すかぎりチェックをしてみた。

スタジオの退出時間ギリギリになって、ようやく原因が判明する。
やっぱり、余計なスイッチを触ってしまっていたようだ。
信号が全ての機材に無事送られていることを確認し、
残された時間でもう一度作品を動作させる。
問題なし。
深いため息をついた。

明日はいよいよ本番の収録。
ライブじゃないから、いくぶん気が楽。
レコーディングと同じで、失敗してもやり直せるから。


6月6日
 
NHK BS「デジタルスタジアム」本番収録日。
出演者が次々スタジオ入りしていく。

収録前に、本日のゲストキュレーターに作品の説明を行なう。
いつもの調子の、無駄口の多さをここでも発揮し、場を「ひかす」。

本番収録は、約3時間ほどだったか....大きな問題なく終了した。
それにしても、今週のベストセレクションに選ばれた作品....とても魅力的だったなぁ。
僕にはまったく思い浮かばないだろうな....あんなアイデア。
僕も普段は下らんことばかり連発しているのに、「いざ表現」となると「シリアス」になる。
まっ、そのギャップも演出のうち....とは、いつもの都合のいい言い訳だな。

「ベスト」には選ばれなかったのはとても残念だが、とにかく、収穫の多い体験となった。
これから何かが起こりそうな予感がしている....これは、あまりにも楽観主義すぎだろうか?
まぁ、そんな気質を持ち合わせていなきゃ、こんなことは続けられない....かな?

人として魅力的な面々ぞろいのスタッフの皆さんにも感謝。
また別の機会に、違った形でお逢いしましょう。


6月7日
 
秋のグランプリ展のための最初のプラン提出日。
数案持参してスパイラルへ打合せに向かう。

約1時間ほど....この作品の将来的な可能性を含めてプランを検討しあう。
そこでいただいたある言葉....僕の表現の可能性を拡げてくれる....そんな直感があった。

帰り道、益々アイデアが増幅していく。
このアイデアが秋にそのまま実現できるかはわからないが、
将来的な可能性として、非常に興味深いものになるであろう。

音楽家としての自分との共通点という部分でずっと思案していた。
だけど、今日、ようやく明確になった。
これかぁ....忘れていたな....そういうことだったんだよ。

これなら僕にも「インタラクティヴであること」の価値観が見いだせそうだ。


6月15日
 
経済活動の1週間から、今日、一日だけ解放される。
今はまだ、未明....突然のカミナリに続いて、雨が激しく降りだした....そんな時間。

今日、じっくりプランを練り直したいが、頭が整理しきれない感じ。
やるべきこと、考えなければいけないこと、処理しなければならない案件が山積みで....
少々パニック気味になっている。

夕方くらいまで何もしないでリラックスしていたい。


6月24日
 
某輸入代理店へ、グランプリ展の協力をお願いしてみた。
予想に反して、二つ返事で快諾していただく....感謝。

これでさらに、責任が増えた。
協力してくれる皆さんのためにも下手な展示はできない。

さらに意識、高まる。


6月27日
 
作品に使用する素材を製作しているメーカーへ。
技術的問題をクリアするための相談と....そして、いわゆる「営業」というやつをしに。
あわよくば、何か展示のプラスになる素材をお借りできないでしょうか....なんて
まったく....帰り道、これは、体のいい「たかり」だな....と、思ったりした。

思案していた技術的なことは専門家のお話を伺うことでだいぶクリアになった。
思っていた通り、技術的に、僕が考えているようなことで不可能なことはないようだ。
だが....僕が考えていることを実現するには、相当なお金が必要ということもわかった。

自腹確定。
秋の展示以降の生活の心配をしなければいけない。
が、たとえどうなっても、この展示を成功させるために全精力を注ぐ。

自分の名前を冠した発表の機会....
僕の代わりは、いないんだから。


6月28日
 
某会合へ。

作品を持参して、ちょっとしたプレゼンじみたことをした。
"n" ensemble orbの初めての公の場での展示を観て下さっていた方にも
お声かけさせていただき、グランプリ受賞作品を生で見ていただく。
仮設の状態ではあったが、僕の取組みを伝えるには充分だったであろう。

その会合では、他にも数組のプレゼンテーションが行われた。
ある方のお話の中に登場した言葉が頭を離れなくなった。

「記憶」

そう。
僕の作品は、「記憶」につかさどるものなんだ。
体験して下さる方々の心の中に刻まれた「想い」....
音と光に包まれたとき、ある「想い」が「再生」される....
そんな機会、そのための装置となるのが僕の作品。

皆さんは、どんな「想い」「風景」が蘇ってくるのだろうか?
いつも言い続けていることだけど、僕が興味があるのは、そのことだけ。

僕が何を伝えようとしているか?ではなく、
皆さんがどう感じたのか?何を想いだしたのか?
僕は、それが知りたいんだ。

僕が自らの作品から何を感じたか?それは....もちろん、ナイショ。

今日も沢山のいい出逢いがあった。
まったく別の道を歩いていた者同士が、ある日突然接点を持つ....
これほど、ロマンティックな出来事はない。


6月29日
 
今日は久々に"n" ensemble orbでの活動。
川崎のクラブチッタで催されたクラブイベントで作品を上映した。

公開したのは、フィリップモリスアートアワード2002入選作をノンストップで編集した15分のシーケンス。
初めて、理想に近い爆音での再生が行なえたのは最高に心地よかったが、
予想していた通り、場に不似合いな我々の作品の在り方を自ら目の当たりにしたそのとき、
苦笑を通り超え、腹を抱えて笑うほどの爆笑の心境になった。
なかなか居場所が見つからないな。

出番終了後、家路へ。
やはり夜中は、家にいるに限る。
元々、夜遊びは得意じゃないから。


7月1日
 
グランプリ展打合せへ。

前回の打合せを経て、再度練り直したプランを持参。
これで概ね、方向性はきまった。
あとは、どうやって見せていくか、実際に図面などを用意していく段階に入る。

SICFのための制作時期もそうだったが、
実際に曲作りにあてられる時間をどう確保するかが問題になってくる。
今の予定では、10月からは曲作りに専念できるように....と思ってはいるのだが....
プロダクトが姿を表さないことには、曲作りにも取り掛かれないから....。

なぜなら、曲作りと照明の動きの演出を決める作業を同時進行で行なっているからだ。

「この音にはこういう光の動きだな」
「こんな光には、この音が合うんじゃないか?」

そんな、いったりきたりの作業を繰り返しながらシーケンスを組み立てている。

つまりは、「光の演出」も含めて「作曲」....そんな状態。
音楽パートを「伴奏」とするならば、照明の動きが「メロディ」といったところか?
もちろん、その逆もまた然りだが....。

とにもかくにも、この先のスケジューリングが肝心。
だけど....7月は、怒涛の経済活動月間?になりそうだから....さてどうする?

まだまだ、試作などの実作業に入るにはリサーチが足りない。
今月は、経済活動の合間をぬって調査を入念に行なうことにしよう。


7月2日
 
考える日。

秋の展示が最終到達点ではない。
その展示をきっかけに、さらに飛躍するために....
この機会を最大限に有効に機能させるための方法....
そんなことを、今日もあれこれ、思案している。


7月23日
 
3週間....経済活動をみっちりと。
隙間の時間には当然、展示のことを考えていたが、
集中した時間が少ない分、なかなかいいアイデアは生れてこない。
しかも、途中、頭痛に悩まされる始末....嬉しい悲鳴も、程々に願いたいものだ。

頭痛の余韻を残しつつも、今日は集中的に打ち合わせを行なう一日となった。
午前には経済活動のための、お昼からは、スパイラルペーパー
(秋の展示について取り上げていただくことになっている)のスタッフとの顔合わせ、
夕方には展示のためのデザインや設置に関するアドヴァイスを頂戴しに大宮まで
専門家を訊ねるスケジュール。

ハードな一日だった。
出鼻をくじかれるアクシデントもあったし....(タイヤ、パンク!)。

総てを終えて帰宅したのは、午後9時過ぎ。
出動時間約12時間。内、車を運転していた時間4時間。
流石に堪えた。

明日からまたしばらく経済活動に追われる。


7月29日
 
2〜3日前より、激しい頭痛に見舞われている。
経済活動の〆切に追われているため辛抱して作業を続けていたが流石に限界。
昨晩は眠れないほどの痛みに襲われた。
なので今日は、作業を一日休みにして朝から病院へいくことにした。

忘れもしない5月3日早朝。
SICFに出展するために荷物を車に積み込んでいたとき、頭部を車の天井に激しく強打した。
そのときのダメージが今ごろ?そんな心配が頭を過る。ぶつけた個所も触ってみると、少し痛い。
テレビでは、期せずして、某ロックスター緊急入院の報告が....病状は同じ「頭」がらみ....いやな感じ。
症状を照らし合わせてみる....眩暈....少しする....けど、まっすぐ歩けないことはない....大丈夫か?

もし何らかのダメージが残っていたとしたら....
この先も何度か診察に通わなければならないかもしれない....
そうなったときのために、初診以外は完全予約制の病院を選んだ。
こんなことまで周到に準備してしまう質....いかがなものだろう?

病院に向かう前に散髪にもいった。
目の前には週刊誌....ロックスターの記事が満載になっている。

「同じ病気だったりしてね」

巷で溢れているであろう、不謹慎な会話が再現され始める。

「彼とは達成したものが違いすぎるのに同じ病気だったら....笑い者だね、俺」

と、ひとまずオチをつけて終わらせてみた。
本当に自分の身に振りかかったら....笑い話にならない。
だって、この作品が本当の「LAST」になっちゃうから。

「心配だから結果、教えてね」

苦笑いで応えた。

病院へ。
サロンから最寄りの地下鉄環状線の駅までは少し歩く。
午前中は比較的涼しくて久し振りの徒歩もさほど苦にはならなかった。

目的地となる駅で下車。
長い構内を10分ほど歩き地上に出ると目の前が病院だった。

通うには便利だな

大きな病院だけに、患者のさばきも見事なもの。
スタッフの連携プレイによって、無駄な時間は一切なく、ほとんど待たされずに診察を終えた。

結果、頭の中には異常はないとのこと。
この暑さ....屋外は炎暑とよばれるほどの気温なのに屋内はクーラーで涼しい....
その温度差についていけず、自律神経が失調したのではないか?という診断。
仕事柄、頭痛を引き起こす要因は山ほどある。
この7月もほとんどこもりっぱなしで作業をしていた。
こうなっても当然....なのだが....、なんだが原因不明な感じですっきりしない。
いっそのこと「あぁ〜影が見えますねぇ」なんていわれた方がわかりやすかったか?
なんていうのは不謹慎過ぎるな....反省。

以降の診察は必要ないとのこと。
これで気になることがひとつ解消された。
痛み止めの飲み薬を処方してもらい家路を急ぐ。

午後の早い時間に帰宅。
まずは親に結果報告。「よかった」と一言....それで充分。

頭痛もひいていたが、今日は完全休養にした。
夕方にはご褒美到着。
お陰で夜は穏やかに過ごせた。


8月1日
 
スパイラルペーパー打合せ。

僕の御披露目となる展覧会でもあるわけだから、作家としての自分をどうやってみせていくのか?
その点も重要な要素となるだけに、単にデザインワークだけが目立ってしまうようなものにはしたくない....
そんな暖かい意見をスタッフからいただく。

確かにそうだ。
告知として、デザインとして、それから自分自身の広報活動の一環として成り立つものを....
そうあるのが一番理想的なんだ。

しかし....難しい。
本人でさえ案が浮かばないのだから....投げられた方はさらに大変であろう。

もっともっと、考えなくては....。
きっかけとなる言葉を探さなくては....。


8月2日
 
南へ。
貴重な体験をする。

この技術....いつか自分の作品で使えたら....妄想は膨らむ。


8月5日
 
東へ。
高速道路を飛ばしておよそ2時間。照明機器のデモンストレーションを体験しにいく。

照明を制御するためのシステムは、変更を余儀なくされた。
そのため、技術的な説明をしてもらうために足を運んだわけだ。
マニュアルまで目を通させていただき状況を想像してみる....が....どうなるかはまだわからない。

少々、心配になってきた。


8月7日
 
大宮の専門家に起こしていただいた展示空間の立体図を用いた企画書を持参し
グランプリ展の打合せにスパイラルへ向かう。

立派な視覚的要素が加わると流石に話しが通りやすい。
プロダクトを組み立てるために使用する素材も合わせて持ち込み説明を加える。
予算書も提出した。

これでいよいよ、試作に突入できるまでの段階にこぎ着けた。
が....実際に作業に入れるのは....1週間後くらいからであろう。
経済活動あってこその個人創作だから....。

今は、この二つがあって、バランスがとれているんだ。


8月8日
 
スパイラルペーパー打合せ。

今回から、アートディレクター、写真家の方に打合せに加わっていただき、
具体的な方向性を検討する段階となった。

よりイメージを膨らませていただくために、作品を持参して観ていただく。

話し合いを続けることおよそ1時間....方向性は決まった。
あとは、現場での処理。

「自然」が味方についてくれるよう、マジックが起ることを祈ろう。


8月15日
 
いよいよ、試作開始。

骨組みとなる材料を購入し一部、組み立ててみる。
照明を設置するパネルを骨組みに固定するための金具も当然、プランニング中から検討済みで、
これを使えば、確実に全面、面で覆われた立方体が組み上げられる....はずだった。

実際にやってみる....
たしかに組み上げられるのだが、理想とする状態とは程遠い。
面で覆われていることは覆われているのだが....美しくない。

これじゃ、ダメだ。


8月16日
 
パネルを骨組みに固定するために利用することを想定していた金具....
試作初日の段階で使わないことに決定した。

では代わりとなるものは....
見た目を重視した場合、骨組みに直接金具等、パネルを固定するためのパーツを
取り付けることは不可能に近い。

思案、思案、思案....。

ほぼ一晩中、出来上がった骨組みの一部を眺めて過ごす。
なかなか、代わりとなるいい工法は浮かんでこない。


8月17日
 
経済活動の合間に、試作を続ける1日。

代わりとなるアイデアを試すべく材料を購入し組み立ててみた。
パネルを固定するために使った金具の選択を誤ったようで、これでは理想的な状態には程遠い。
金具も目立つしビス打ちの個所も多いし全く誤差を許さないし....ダメ。

本当に組み上げられるのか?
不安に駆られる。

お陰で完全に、作業ストップ。
明日また、素材をチェックにでかけよう。
実際に目で見て手に触れて想像してみないことには前へ進めない。

勉強しながら実践に取組んでいる....そんな毎日。


8月19日
 
前日からほぼ徹夜で経済活動の作業。
予定していた内容をこなす。

夕方にはスパイラルペーパー打ち合せへ。
紙面構成の要となるであろう、写真撮影の最終的な方向性を確認する。
スタッフ全員の頭の中に、それぞれの紙面イメージが膨らんでいるのであろう。
それが最終的に合致したとき....共通の手応えを感じられたら....最高だ。
撮影は来週。
どんなマジックが起るか?楽しみでならない。

夜、帰宅してからも徹夜で翌日の経済活動のための準備をこなす。
朝までかかって作業を終え、その後、車で成果を届けに都心までドライブ。
明方の幹線道路は、早々と渋滞模様で....到着するまでに通常の倍近くの時間がかかってしまった。

帰り道、コンビニのサンドウィッチで朝食。
食生活に恵まれた環境にいるだけに、たまにこうしたものを味わうのもたまにはいい。
だけど、ジャンクなものを3日と食べつづけていると想う....

「まずくもないけど、何か、違うんだよな」

こうして手作りの食事の有難みを実感している....というわけ。

明けてもう20日かぁ....今日は完全休養にしよう。


8月21日
 
夕方、秋葉原へ。
Macintosh内部に増設するハードディスクを購入してきた。
容量は120GB。これでムービーのデータも楽々保存できる。
帰宅後早速増設作業を行ない、SICF時の展示の様子を紹介するためのムービーデータを
書きだし、保存してみた。それをRealVideoフォーマットにエンコードしてサーバーにアップ....
残すは明後日のスパイラルWeb更新に合わせて個人サイト上にリンクを貼ればいい。

そして今日からまた試作を再開。
また材料を手に入れてきた。
今度は頭の中で「これで組み上げられる」というイメージができている。
きっと上手くいくはず。

試作のための材料も無駄にしないように、
これまで使っていた材料を再利用しながら進める(お陰でパネルは穴だらけ)。

工作開始からおよそ2時間....できた。
理想的な状態ができた。

ただ....ひとつ問題がある。メンテナンスのことだ。
今の状態だと、照明の電球が切れた場合、交換するのに凄く手間がかかってしまう。

そこまで考えておかないと、こうした展示は、成立しない。

アイデアはいくつかある。
明日もチェックにでかけよう。


8月22日
 
馴染みのホームセンターをハシゴするも、
思っていたアイデアを実現するに相応しい材料がみつからなかった。
いや、むしろこれは、アイデア自体が悪いのかも知れない。

今日も明方まで思案。
ただただ、何もできないままの時間を過ごす。

翌日のスパイラルWeb更新(今回からグランプリ展の情報が掲載される)に合わせて
個人サイトの更新作業を深夜から始める。
展示スケジュールを紹介するためのニュースを更新し
SICFでの展示の様子を紹介するムービーもリンクした。
が....まだこのプロダクションノートの遅れ分は掲載できていない。
急がないと....。


8月23日
 
暗礁に乗り上げた作業は一時ストップさせて、
今日は夜に仕事にでかけるまでの間に液晶フィルムを挟み込むためのアクリル板の加工を....
と思っていたのだが、今週頭のハードワークが祟ったのか、疲れが酷くて何もできず....倒れ込んでいた。

知らぬ間に眠ってしまっていたらしく、気付いたらもう夕方6時....
はぁ....また自分の不摂生が祟ってこの様だ....と、ポーズとしての「反省」を一応してみる。
当然、効き目は持続しない。

東京郊外のスタジオに向かうため、午後7時過ぎ、家を出る。
週末ともあって、この時間も予想外に道路は混んでいた。
小雨降る夜中、独りでおよそ90分ほどのドライブ....
運転自体は結構疲れるが、気分はかなりリラックスできる瞬間だ。
午後9時、予定通りスタジオへ到着した。

進行状況の確認をし、変更、修正個所の打ち合せを済ませ、本日の役目は終わり。
が....ボヤボヤとスタジオの雰囲気を満喫してしまっていたもので、
気付けばもう日付をまたいでいて....帰宅したのは、深夜〜早朝という時間。
もう少し、時間を有効に使えたら良かったのに....と、ちょっぴり反省。
さらに、そんな深い時間に空腹を満たすために食事をとってしまったことにも....反省。
このままいくとまた、洋服のサイズが合わなくなる危険が....。
和服にするか?腹回りの調整、自在だし。

就寝前にメールを確認。
「スパイラルペーパーの件」という件名で連絡あり。
とても急いでいる様子。
携帯の番号、お伝えしておけばよかった....と、今日最後の「反省」のポーズ。
手短に返信を打って、就寝。


8月24日
 
午後一番でアポイントをとり、午後二番?で先方と東京の西寄りにある駅付近のカフェで落ち合う。
スパイラルペーパーに掲載していただくテキストを起こすために確認しておきたいことがある....
ということで、午後のひととき、お茶をすすりながらインタビュー形式での談笑を楽しむ。

これまで考えてきたことや創作に対する姿勢、この作品に行き着いた背景などを少々....。
ここでお話させていただいたことが凝縮され、スパイラルペーパー上で展開されるわけだ。
どんなものに仕上ってくるのだろう?興味津々。

その後は、同時に用意するDMの打ち合せへ。
使用するイメージは伝わっているのだが、さらにいいアイデアがあったら提供してくれても可....
なんてプレッシャーを込めたかのような厚かましいお願いをかましてみる。
すると....夜には新たな候補となるイメージサンプルがメールで送られてきた。

おぉ〜

思わず感嘆の声を漏らす。

さて、こちらの件もどんなものが仕上ってくるかな?
そうそう、秋の展示に合わせて名刺も新調中!

この後、試作のための材料チェックへ出掛けた。
昨日、スタジオで遅くまでボーッとしていたとき、ひらめいたんだ。
スタジオの機材を眺めていたら....一つ、忘れていたことがあったな....って。
某ホームセンターに到着するなり、スタッフに質問攻め....
その甲斐あって、一つ、問題をクリアできそう。

中学校のときの、技術の時間を思いだすな。
あのときも、こんな工具を使って工作してたな。
音楽を始めたときもそうだったけど、義務教育のときに身に付けた知識は結構役に立つな....と、
最近また、痛感している。


8月25日
 
僕が望む「自分」とはどういう在り方なのか?
それはきっと、周りとの関係の中で成り立っていくもの....僕はそう、思っている。

秋の展示へ向けて、新しい接点が増えた。
色々な人たちが、僕と接することで....そして僕の作品を通じて「僕」という存在を
それぞれのフィルターを通して表現していく....そこにあるのが、きっと僕の「実像」。
それが僕の求めていた在り方かどうかは、これからわかっていくことになるんだろう。

いずれにせよ、僕がやるべきことはただ一つ。
自分が信じるやり方で、自分が納得するクオリティの作品を発表すること....それだけ。
出来上がったものについて理由や意味なんて訊ねるのは野暮だよ。
だって、僕が生み出す作品は「音楽」だから。

「音楽」を楽しむには、考えるより感じることの方が重要でしょ?


8月27日
 
スパイラルペーパー撮影日。

想い出の空間を独り占めしての撮影。
広い空間にポツンッと置かれた我が作品....うぅ〜ん。これだけで画になる。
「ここで、この状態で展示したいなぁ」と、思わず独り言。

撮影中、そこに再現されている光景に独り絶えず、ニンマリしていた。
なにせ....ふふふふふ。出来上がりが楽しみだなぁ。
思っていた通り、好みのテイストになったのはもちろんだが、
あの光景が、「スパイラル」の冠がついた広報紙上で展開される....
その在り方そのものも、とても興味深い。
かなり特異なテイストになる予感....早く、完成形がみたい。

作品の運搬、設置はなれたものだが....このところ、集中しすぎていたからちょっと疲れがでた。
無事に撮影を終えた後は、ほとんど無言での撤収となる。
録音とかライブの現場なら流れがわかっているから気楽だけど、撮影なんて....慣れてないからね。

それにしても、カメラ....やっぱり面白そうだな。
大昔の写真クラブ(小学校時)のときのことを少し思いだした。
フィルムのカメラ、買っちゃいそう。
記録写真を残すには、やっぱりフィルムも必要だしな....なんて、購入動機を探している場合じゃない。
予算管理をもっとシビアにしないと、展示が終わったら「破産」だ。
まっ、あのコッポラだって....規模が違うな。比較対象じゃなかった。
この程度の負債で破産しても、武勇伝?にはならない。

帰宅後、用事を一件忘れていたのに気付く。
深夜、疲れたからだにむち打って、再び都心までドライブ。
再帰宅後は、疲れすぎて眠れず....
小松正夫の人生を振り返る深夜番組をみながら睡魔登場を期するも笑いすぎて逆に目が冴えた。

明日は完全オフにする。
 


9月2日
 
LAST for showcase....試作も終盤に差しかかる。

SICF時からプロダクトの構造が変ったため、
実際に組み上げる前に照明と液晶フィルムの距離が適性かどうかテストする必要があった。
液晶フィルムに電極をハンダでとりつけ、加工したアクリル板に挟み込む....
そして仮の状態で骨組みに取り付けSICF発表時のシステムで動作をさせてみた。

問題なし....むしろ、より良い状態になっている。
だが、まだまだ調整しないといけない問題は多数....
予算内で対策を施すための策を練らなければならない。


9月3日
 
陽光が心地よかった。

空の半分以上を埋め尽くすほどの立派な雲が立ちこめる中、東へ。
照明制御システムを拡張するためのリサーチとお世話になった方のお出迎え任務....
そしてそのついでに、そば屋散策....「ついで」の用事がメインか?

いやいや....まずは最重要課題である照明関連のリサーチへ。
今日の結果で照明制御用のシステムの変更を強いられるかどうかが決定する。

ショウルームに到着後、早速担当の方を捕まえて質問攻め。
前回とは違って、こちらも勉強を重ねていったから話しも比較的スムースだ。
お話を伺いながら複数ある選択肢を頭の中で検証していく。

あれこれ情報をいただくこと30分....
旧来のシステムを中心に拡張ができればベストなのだが....
結論を出すためには改めてテストをしてみなくてはならないことが浮上した。
一端返事は保留。数日中に返答することを約束し、次の目的地へ。

車で10分ほどの移動....難なく到着する。
この段階で既に午後2時....ちょっとお腹が空いてきた。
周りを見渡すも、特別そそられるものはなく....目に付いたのは、立体の看板――ソフトクリームだ。
迷わず直進、購入....その場にはかなり浮いた光景だったようだが、
あまり気にせず、独り黙々と....想像していたよりも美味しい。

しばらくすると懐かしい姿が現われた。
相変わらずだ。相変わらず過ぎる。
こちらは髪の毛の色が変わっていることを指摘され....そうか、去年は銀髪だったな。

無事に合流してから、最後の用事....とおもいきや....アクシデント?発生!
とある事情により「そば」との遭遇は延期に....というわけで、早々に現地を後にする。

順路を間違え不本意なロングドライブとなるも、車中では色々と土産話がきけて面白かった。
自分もなんだかしゃべりすぎたようで、気付いたら声をからしていた....いつもこう。
相変わらず、我が発声はなっていない。

帰宅後から返事を保留した件について動作テストに入る....つもりだったのだが....
長距離の移動で身体は疲れ果て....しばらくボーッとした後、就寝。
身体あってのことだから....無理は禁物。

まだまだ先は長い。


9月4日
 
照明制御システムの自由度を高めるためのプログラムをこなした一日。
いや、半日は作業場の整理整頓に追われていたのが実際のところか?

機材、試作品、作業台、工具、材料....あちこち散乱しているものをいかに効率のよい配置にするか?
機材に関しては、持ち出すこともあるから、それを踏まえたセッティングを....
などと考えていると一向に片付かないままだ。
実際にやってみてうまくなければまた別の状態を生みだし....
結局、ベストかどうかはわからないまま、暫定的な状態で作業を開始することにした。

照明制御システムを少しでもコンパクトにするためには、
照明の演出をプログラムするソフト(音楽ソフトなのだが)上での信号の流れを整理する必要がある。
それさえ上手くいけば、より扱いやすいシステムが完成するはずだ。

....。

辛抱すること数時間....SICF時よりも演出上の制限はなくなりそうな手応えを得る。
ただ、まだ実際に演出シーンをプログラムしていくことを考えると、まだまだダメ。

もう少し頭を働かせる必要がありそうだ。


9月5日
 
今日も昨日同様、照明制御システムのプログラムに費やす。
昨日取組んだプログラムから大幅な改善を試みた。
相当苦労したが、一日辛抱したお陰で、ようやく理想的な状態を得る。
プロダクトが完成してからまた調整することになるが、
ここまで完成していればさらなる更新も楽になるはず。

テストのためにプログラムした10秒ほどのシーケンス....
プログラムを見直したお陰で、SICF時には再現できなかった演出が可能となった。
アクリル板も液晶フィルムも新品だから、照明が当たった時の輝きが違う。
これだけでも十分美しい。

ここに必要な音がイメージできる。


9月6日
 
午前。
ようやく一つ、気にかかっていた連絡事項を済ませる....一安心。
なんだか、楽しくなりそうだ。

午後。
スパイラルへ。
グランプリ展へ向けたスケジュールの最終確認とDMの文字校正のお願いを。

帰り道、某美術館へ寄ろうと車を走らせるも、大雨の影響か?都内の道路状況はあれ気味でたどり着けず....
結局、遠回りを強いられ自宅に戻ったのは打ち合せ終了後からおよそ3時間後だった。
道中のBGMは、ヴァンヘイレン....2枚組のライブ盤を含めて3枚のアルバムを完聴?する。

帰宅後は雑事を色々と。
書類の整理も必要だ。
あらゆるものが溢れかえってきた。

機材手配完了。
それらが届くまでの期間、工作の続きを....地味に....コツコツと....。

曲の構想もより具体的にしていかなくてはならない。


9月7日
 
極限から極限へ。
多層の次元を横断する。

午後、某所へ。
クール。
ハイクオリティ。
素晴らしい。
だけど、なんだか、シリアスすぎる気がした。
去年出逢っていたら、違った印象だっただろう。
今はたぶん、僕が求めているものが変ってるんだ。
きっと、そう。

その場で偶然出くわした光景の方にしばらく釘付けになる。
彼女はきっと、大物になるよ。
....いや、昔は僕たちもあんな感じだったよね?
でも....こんな場所じゃぁ流石に....彼女は天才かもしれない。

彼らがもし、この瞬間に遭遇することまでも想定していたのだとしたら....考え過ぎか?

夕方、歴史的建造物の跡地へ。
強欲なる民のるつぼへ紛れ込む。

「食」に関する興味だけは、いつの時代も変らないのだろうか?

そろそろ、「音」のことが気になりだした。
そういえば、今日も沢山の音塊に包まれていたな。


9月8日
 
グランプリ展の開催が決定してからこれまでの間、時間をみつけては曲の構想を思い浮かべてきた。
おぼろげに....ではあるが、おおまかな方向性は固まっている。
照明装置制御用のプログラムが一段落したので、
今日は、楽曲の方向をより明確にするために時間を使う。

真剣に頭を働かせた一日....
といいたいところだが、半分くらいはヴァンヘイレンを聴いていたかも?
その他、90年代のハードロックをいくつか....どれも個性に溢れている。
世界に名を刻んだ名盤の数々だけに、音の質感がどれも「刻印」を打ったかのよう。
やはり録音物は、こうでなくっちゃいかん....と、改めて痛感。

他にも沢山の音楽を聴いた。一曲の一部分だけを何十曲と....
しかし、どれも今の気分じゃなかった。

自分の過去の仕事(経済活動のもの)も引っ張り出して聴いてみた。
うぅ〜ん、どれもいいできだよなぁ....なんで今、暇なんだろう?

昼間、郵便局とドラッグストアへ。
週末ドライバーの作法に苛立ちを覚える。
鮭を喰らう。
GODIVAのトリュフチョコのパッケージの妙に気付く――お土産でいただいた。
部屋が少し片付く。
近所で行われていたライブ....出向くつもりがキャンセル。

なんだか少し、自信が復活してきた気がした。

明日、スパイラルペーパーのデザインが上がってくる。


9月9日
 
スパイラルペーパーのデザインを確認しにスパイラルへ。

凄いことになっている。
その光景を目にするなり、思わず、ニヤニヤ。
ふふふふふ....発行される日が待ち遠しい。

帰宅したのは、夜。
センチメンタルになりたいのだろうか?
今日出あった「ある曲」に支配されたまま。

やるべきことを整理しないと....ちょっと混乱気味だな。

たまには雨に打たれるのもいい?


9月10日
 
今日も激しい移動の連続。

16日に原美術館で行われる音楽イベント「サウンドガーデン」に作品の出展要請があった。
そのため、今日は会場の下見と打ち合せをこなしに、午後から外出....というスケジュール。

出展作品は、もちろん「Long Autumn Sweet Thing」。
だが今度は、屋外での展示になる予定(雨が降らなければ)。
そのため、設置場所を入念にチェックする必要がある。

夕方、会場へ到着。
開催中の「ヴィンセント・ギャロ展」はあまり気に留めず、会場の視察を重視する。
イベントの企画に関わっておられるスタッフの方(会うなり半笑いだったな。そんなに俺って....)
に詳しい状況を聞きながら設置予定場所をじっと眺めること数分....再現したい配置が徐々に浮かんできた。

スパイラルペーパーの撮影時の感じでレイアウトすれば問題ないであろう。
だが、もうちょっと違う形にしたい。
構想は頭の中に既にある――夜空に閃光を....。

その後は、出展のお誘いをいただいた主催者との打ち合せへ。
状況は既に美術館スタッフとの間で確認がとれていたので問題ない。
搬入の件などを調整し、早々に次の目的地へ向かう。

それからおよそ1時間後、東京の西側にいた。
現地で数十分、事務的作業を済ませ本日の任務は全て終了。
帰宅したのは....やっぱり夜中....。

連日の移動は流石に堪える。


9月13日
 
原美術館での展示のための資材を購入しに馴染みのホームセンターに向かう。
雨対策が必要なので、養生シートを大量に購入。
それから電源の延長ケーブルも在庫を買い占めるほど、カゴへボンボン....。
細々したものだが、積もればやはり、結構な出費だ。

そのあとはちょっとした和めるひとときを....。
いつものように、とにかく穏やかでいられた。
あまりに快適すぎて、愉快すぎて....。
この後、深夜に予定されていた打ち合せを忘れるほどに....。

今日も帰宅は午前0時。
なんだか突然、慌ただしくなってきた。
改めて、この先数日のスケジュールを確認してみる。
どういう手順でやるのが能率がいいか?
それすら考えたくないほどの用事の山。

かなりパニック気味だ。


9月14日
 
本日も移動の連続....。

午前中に起きて、原美術館でのイベント出展告知の続きを....。
緊急参加になったからお誘いが届けられなかった方もいたのが残念でならない。
だが、当日は相当な混雑が予想される。
チケットだって....あるかどうかわからないし....免責コメント。

午後には、グランプリ展の広報活動のためのDMをピックアップに城東地区へ。
印刷所の後にはその近場の某事務所によって"n" ensemble orbの映像を
DVにコンバートする作業をこなすことになっている。

同事務所では、週末だというのにスタッフが集まって黙々と各々の作業をこなしていた。
こちらもなるべく、得意の無駄口は控えて....と思ったが、やっぱりいつもの調子で....
サービス精神を発揮しているつもり....なんだが....再び免責コメント。

作業終了時点で時刻は夕暮れ....黄昏時の川沿いエリアから今度は都心部への移動。

DMの件でデザイナーに確認をとりに都内中央部に舞い戻ったのは午後6時前。
次いで7時過ぎには、スパイラル館内に置きまきしてもらう分のDM納品を済ませる。

お祭りの匂いにいざなわれ....本日最後、なかなか幸運に恵まれたか?
連日の和みのひとときを味わう....和み過ぎか?いや、もっと積極的に和もう!

それにしてもこのところ、移動のしすぎだ。
車移動が多くて、腰を痛めてしまったみたい。
明日、原美術館の搬入だというのに....。
今日は早々に作業を切り上げて休息することにする。


9月15日
 
腰痛は本格的なようだ。
一晩様子をみたが、あまり改善されていない模様。

夕方には搬入を済ませなければいけないのだが、
状態があまり思わしくないので、搬入を本番当日(翌日)の朝にずらしていただくことにした。
調整もまだ十分じゃなかったから、できた時間を有意義に使いたい。

....と、気付けばもう明方。
ちょっと張りきりすぎたかも?

作品/機材をパッキングし、出掛ける準備をして就寝。


9月16日
 
波乱の一日。

早朝、仮眠から起きるなりネットで「ピンポイント天気予報」をチェック。
すると、6時間前まで「くもりのち雨」だった予報が「くもり」に変っていた。

どうかこのままで....

機材を積み終え家を出た途端、小雨が降り出した。
会場となる品川と我が家は随分と離れている。
きっと現地は大丈夫....そんなことをいいきかせながら
あの日と同じBGMで環状線を飛ばした。

定刻。会場に到着。
予報通りの見事な「くもり空」。

さて、これから大量の機材を設置予定場所となる2階の屋上へ運び込まなくてはならない。
エレベーターがないだけでなく、搬入経路もなかなか険しく、
運動不足な我が身にはそれだけでも大仕事....
人手を借りながらの行程ではあったが、運び終えたころには多量の汗が噴出していた....
まっ、こんな無駄にデカい身体だから....仕方ない。

屋上には、一切、ひさしとなるようなものがない。
マシン類が多いため、雨にやられたら最後。
即座に用意してきた養生シートで総ての荷物を完全に包み込んだ。

この段階で午前11時前。
このまま雨が降らなければ、午後3時頃からセッティングを開始する....
そのつもりだったのだが....。

まもなく小雨が降り出し、セッティング開始予定時刻には
相当な量の雨が養生シートに包まれた作品/機材を直撃していた。

館内は「ギャロ展」を見物にきたお客さんでいっぱい。
この時間内は、機材をもって館内をうろつきまわることはできない約束になっている。

しかし....この雨....。

完璧に養生しておいたから雨は進入していなかったようだが、流石に気が気じゃない。
「ギャロ展」を観覧中のお客さんには悪かったが、
事情を説明して館内に作品/機材を一時避難させていただくことにした。
が....そのスペースがあるのは1階....また逆戻り....始まる前にヘトヘト。

「この状況だと、屋上での展示はないですね」(現場を仕切るスタッフから)

機材を壊してしまっても屋上での展示を実現させたい気持ちも高かった。
だがしかし、電気を扱うシステムだけに、万が一お客さんを感電させてしまっては....。
でも....雨の中、照明が光る光景も....きっと美しいに違いない....。

そこで思い浮かんだ。

「借景」

屋上への出入り口を開放した状態にして、お客さんを屋上内へは入れない....
つまりは、出入り口を切り取られた窓とみたて、そこから観る風景を楽しむ....
水浸しの屋上へ一歩も足を踏み入れなければ、感電の心配はなくなる
(僕自身が感電する可能性は残されたままだが)。

その条件で一時は設置許可がおりる。
「伝説を残すぞ!」なんて 叫びながら士気を高め、既に疲労困ぱいの身体にむち打ち
1階へ下ろした機材を再び2階へ上げかけたとき、再度、ストップがかかった。

残念だが、確かに何かあってからでは遅すぎる。
そしてなにより、この我が身も大切だから。
グランプリ展を前に倒れるわけには....違う意味での「伝説」になっては....単なる笑い話だ。

やむなく、館内のカフェスペースに設置することに....
この時点で開場まであと30分....そのあとはとにかく大急ぎで作業した。

SICF以降、何かと設置機会に恵まれているので、組み立て作業はなれたものだ。
開場時刻に少しこぼれたが、体勢には影響なかった模様。
会場入りしてからおよそ8時間....ようやく、幕が開けた。

雨と汗でたっぷり染み込んだジャージ(設置日恒例の「正装」)を着替え、気分もすっきり....
かとおもいきや、流石に色々ありすぎて、一気に溢れかえる疲れにやられ....
しばらくぼう然と、ただイスに腰掛けていた。

出演者が豪華なだけに、相当な人数が押し寄せている。
疲れもあって、楽しみにしていたライブはすべて味わえずじまい。
人の多さにも酔ってしまっていたかな....そして....雨は上がり....。

肝心の我が展示は、たまに集中的に観てくれるひとがいた程度。
その場での大きなリアクションはなかった。
いや、あったのかもしれないが、SICF時同様、
今回も作品に張り付いていることはしなかったから正確にはわからない。
ただ、どこかのプレスが、じっくりと長い時間、我が作品を撮影していた。
その他、二人の若者がシステムまで含めて入念にチェックしていたり....
少ないリアクションはどれも、濃いものだった様子。
起きまきしていた100部ほどのDMもほとんどはけたし
グランプリ展の宣伝という意味でも成功だったと言えそう。

盛り沢山のイベントは、予定時刻を少し押して閉幕。
ひとまず無事に終えられただけでもホッとした。

今日はいつかのように撤収を急かされることはない。
独り寂しくぼちぼち....いや、ホドホドに急ぎながら撤収作業をこなしていたとき、
嬉しい出来事があった。
ある出演者が駆け寄ってきて、お褒めの言葉をかけてくれた。
カタコトの英語でこちらもグランプリ展の宣伝を....
「スパイラルでやる」ってことだけは伝わったみたい。
社交辞令度合98%だとしても、素直に喜べた瞬間だった。

そんな喜びも束の間、撤収もそろそろ終わりか....という段階で
遠くの方から「かんぱぁ〜い!」の歓声が....。
トホホホホホホホホ....先に打ち上がられるとは....ここでも、宴に縁遠い質を発揮してしまったな。

でも、また最後にちょっとだけお楽しみ――花火。

この季節にもなかなかあうもんだな。
今度は、ここの庭で自分の作品を設置してみたい。
この花火に負けないくらいの、いい雰囲気をだせそうだ。

ちょっとおっちょこちょいな担当さん、
優雅な歩き姿が印象的なお姉さま、
凛とした雰囲気を漂わせる頼もしくて力持ちな淑女さま、
一日中仕切りとおしたクールマン、
統括お疲れ様です、お誘いいただいた主宰さま。

この先の将来的な展望を考えるいい機会をいただきましてありがとうございました。
ここで得た経験は、いずれかならず役立つことでしょう。
いつの日か、その成果をお見せできれば....もちろん、この、同じ場所で。

なんとか無事、日付をまたがず帰宅。
倒れ込むように眠りについた。


9月17日
 
スパイラルペーパー色校。
仕上りをみて、今日もまた、ひとりニヤニヤ。

あぁ。
リリースされる日が本当に待ち遠しい。

帰り道、ちょっとしたハプニング。
車を停めていたコインパーキングの精算機が故障していて車が動かせない....
珍しい足止めを経験する。

30分後に到着した警備会社のひとの話しによると
ここ数日の雨で故障してしまったのかもしれない....とのこと。

やっぱり、昨日の展示は屋内にしておいて正解だった。


9月18日
 
経済活動に勤しんでいた途中、気分転換に散歩にでた。

この辺りは、ときおり、見事な空模様をみせてくれる。

今日の夕暮れ....「劇的」としかいいようのない雲影を見た。

そろそろ、僕の作品が似合う季節が近づいてきている。


9月19日
 
昼。仕事の成果を届けに「旨いパン屋」のある街へ。
軽い渋滞に揉まれながら10分ほど遅刻して事務所に到着。
30分ほど打ち合せをした後、資材購入のためいつものホームセンターへ向う。

「あの香ばしいパン」と、また向かいあいたい

この、抑えることの難しい最大級の欲求を封じ込め、なんとか用事に向かったというのに....
結局、空腹に耐え兼ねてコンビニでサンドウィッチ+オニギリを買い食い。
こんなことなら....今度はもう迷わない。

購入する材料はプラン決定時から決まっている。だが、一度に全部は買わない。
なぜなら、自分で設計、工作しているため、あらゆる「ミス」と常に背中合わせだからだ。
まとめて買ってから「ミス」に気付いては....予算がいくらあってもたらない。

作業はいつも、ちょっと作っては様子をみて修正、調整を加えていく....そんな感じ。
まるで作曲しているのと同じような感覚....。

帰宅後は、先日とどいたばかりの特注回路(液晶フィルム動作用)に接続するための
ケーブル作りを黙々とこなしていた。
見様見まねでやったにしては、まぁいい出来ではないだろうか?
発注の段階でラックマウントできる仕様にしてもらったので、
早速、部屋に余っていたラックに収めてみる....うぅ〜ん!!!
これだけで「できるヤツ」な雰囲気になるなぁ。
受験参考書を本棚にズラリと並べては「秀才」の気分に浸っていたころのことをちょっと思いだした。

ここまでの状態に到達したところで動作チェックに突入。
昨日届いた調光ユニットに接続して液晶フィルムがきちんと動作するかを確認....問題なし。

週末はメインプロダクトの骨組みを一気に組み上げる。
明日また、ホームセンターへ出掛けて必要なものを手に入れておこう。
なにせ、連休に突入してしまうから....大賑わいな街で行動することは、何事においても能率が悪い。
自由業の我が身にとって、これ以上の損失はないのだ。

そしてこのところ、街へでるたびイライラするから、なるべく人込みには紛れたくない。
意識、価値観の多様化は歓迎だが、モラルまでとは....いかがなものだろう?


9月20日
 
朝まで経済活動の作業。
仮眠程度の休息の後、遅めの昼食、いや朝食?
ストレスを解消するかのように、大量に....これだから、無駄に身体がデカくなるわけだ。

今日中に....週末の連休に突入する前に材料を揃えてしまいたい。
街が賑わう休みの間は、じっくりこもって作業をこなす....自由業者にとっては、これが一番能率がいい。
そんなわけで、事務的作業を終えた夕方、車をとばしていつものところへ。

買い物は3時間以上に及んだ。
レジがわかれているから、手順を考えて進めないと大変なことになる。
大きな重たい荷は後回しにし....なんて、ここへは去年からずっと通い詰めだし....
もう手慣れたものだが、今日は量が量だけに、流石に堪えた。
今週もみっちり作業していたし....和める時間もなかったし....余計に....。

この週末の連休中の作業で、骨組みの完成とアクリルの加工までの完成を目標にする。
その他の時間は、照明制御用プログラムの見直しと音源制作のための下準備を行なう予定だ。
それから....例の某会合のためのシナリオも練っておかないと....これ、かなり重要。

ところで、何事においてもそうだが、物事は出逢いのタイミングによって印象が随分と変わってしまう。
例えば、昨日出逢った、盤をたたき割りたくなる程のCDも出逢うタイミングさえ適切であれば....
もしくは、もっと心にゆとりのあるときに聴けば、きっと素敵な記憶として刻まれたに違いない。
もっとも、我が気分のバロメーターは通帳の残高に敏感に反応するようだから、
一番の原因はそれかもしれないが....。

今日、素敵な出逢い、そして再会があった。
10年くらい前、音楽の道に足を踏み込んだときのことを少し思いだしたような....
明日の工作時間のBGMはこれで決まり。
それにしても最近、グランプリ展のために作ろうとしている楽曲と
全然違うタイプのものばかりを聴いているな。
そう言えば、SICF直前もそうだったっけ?
あのときは確か、流行りのポップスがヘヴィローテーションだった。
彼らの曲は、ある一時期、何度もループして聴きたくなるんだ。
今は、全く気分じゃないけど。

次の週末....どうかいい出逢いがありますように。
そのために、できる限りの準備をしておく必要がある。


9月21日
 
お月見。
月影が雲がかった夜空に。
まるで「nAP」のエンディングシーンのようだ。
ぼんやりとしていて....じっと眺めていると違う景色が思い浮かんできそうな....。

月明りを浴びながら、久し振りに「和む」。
やっぱり、相当疲れているみたいだ。
落ち着けるのは、この瞬間だけ。


9月23日
 
かなり神経を使う作業に挑んだ。

液晶フィルムに電極を取り付け、アクリルに挟み込み....
つまり、装置の最大の特徴の部分を工作していたわけだ。
うかつに扱うと電極を取り付けるメッシュ状の接点をちぎってしまうため
とにかく慎重に行なう必要がある。
ハンダで接着し、その後、絶縁....とにかく、しんどい作業である。

予定では、この時期に取組む作業ではなかった。
しかし、今週末に予定されている某会合での展示のためにキューブを新調しよう....
突然、そんな気分になってしまい....予定を変更したというわけ。
SICFのために製作したモデルは、持ち運びが多くてもうボロボロのため、
現在、グランプリ展のために制作中のモデルと同じ素材を用いて組み立てるつもりだ。

夕方には骨組みも無事完成。
ここにパネルを取り付け33面全てを覆う....この作業は来週から。
予定していたアクリルの加工は来週に持ち越すことに。
その前に、某会合のための準備を進めなければならない。


9月26日
 
装置一新....SICF時のモデルが「長男」だとすれば、これは弟か?
「次男」誕生だ!

一応のテストをすませ、不備がないかどうか....あちこちチェックしてみた。
液晶フィルムに取り付けた電極の接着状態は大丈夫か....んっ?
余計なことをしてしまったようだ....断線している。

いつ断線したのか?
そんなことはどうでもいい。
早く直さないと....。

応急処置も手慣れたもの。
ハンダゴテを手に、ササッと再接合完了!

作品を動作させながら、明日の会合で行なうプレゼンのシナリオを考える....
結局気付いたら、朝だった。

それにしても、楽器を手にできるのはいったいいつだろう。
頭の中では、着々と構想が固まりつつある。


9月27日
 
会合へ。
素晴らしい経験。
刺激沢山。

今日の出逢いが総ての始まりでありますように。


10月1日
 
この響きだ、この「響き」!
欲しかったこの「響き」!
一音聴いただけで震えのおこるような「響き」!

この「響き」....伝わるといいな。


10月4日
 
骨組みに側面パネルを取り付ける。
想像以上にかなり堪える作業となった。

だいぶ予定はおしはじめている。


10月5日
 
作業に集中したかったのだが、
今日は昼に、知人の結構披露宴の二次会の予定が入っていた。
昨日ももちろん、朝まで作業で、結局、そのまま、ほとんど寝ずの状態で、会場へ。
最寄りの街の、ビヤホールだ。

半年振り以上の大量の飲酒....そのうえほぼ徹夜状態....しかし、昔とった杵柄はなんとやら....で、
会費を取り戻す勢いで飲み食いし続けることおよそ90分....
恐らく、列席者の中で一番もとをとった....はず....自慢にならない?

帰り道、買い物の用事があったのだが、身体はぴんぴんしている。
疲れた身体にアルコールが入って覚醒したのか?
だが....家について一息ついたところでやっぱり....ガクッ....ダウン....
それも当然....寝てないんだから....そして、お年ごろだから。
しばらく仮眠をとった後、再び作業に戻るも、やっぱり疲れて成果上がらず....
今夜は身体の状態に素直にしたがうことにした。

予定は、順調におしはじめている....にも関わらず....夜、また和んでしまった。

まぁいいじゃないか?
何事もバランス....つまり、メリハリだから、さ。
 


10月7日
 
夜、照明を取り付ける背面パネルまでの取り付けが終わった。
この段階で相当な重さ....実際の重量はそれほどでもないのだろうが、大きさもあるから持ちにくく....
独りで作業台に乗せようと試みるも失敗....戻すに戻せない状態に陥り、
とても中途半端な体勢で運よく手元にあった電話を取り家族へ緊急助っ人要請の電話をかける。
もちろん家族は、同じ屋根の下に、いる、わけで....目を合わすなり表情は半笑いだ。

とてもこのままじゃ持ち出せないな。
運び出す前には一端、ある程度まで解体しないと駄目そうだ。
でも、大丈夫。もちろん、そんなことを踏まえた構造にしてあるから。
梱包材を買わなくちゃいけないのが余計だが....。

明日の営業に備えて、某会合のために誕生させた「次男」を面倒みてやらないとな。
早速ちょっと、不具合が生じているから。


10月8日
 
スパイラル広報スタッフに同行して、某局、某番組へ作品を持参して営業に向かう。

やはり、直接作品をみていただくのはインパクトがある。
作品の持つ力だけじゃなくて、あの仰々しい大荷物を持ち込むところにインパクト「大」だったようだ。

やや難なのは、設置に時間がかかってしまうこと。
だが、そこは見事なコンビネーションを発揮して、
僕が設置している間に広報スタッフに話しをつないでもらう....という戦術にでた。

応対してくださった局側のスタッフさんとの相性もよかったようで、
お陰でいい方向に話しが進みそう。

こうした経験ひとつひとつが、きっと未来につながっていくのさ。
そう、僕の、輝かしい「であろう」未来に、ね。


10月11日
 
ここ数日、鬼門である液晶フィルムの取付作業に追われていた。
この日も朝からずっと同じ作業の繰り返し。

日付をまたいだところで、ようやく総ての液晶フィルムを取付終わった。
これでようやく、プロダクト部分が完成....疲れた。本当に疲れた。

明日からやっと、作曲に取り掛かれる。
こちらは本業だから、手慣れたもの。
作業の流れも身体に染み付いているし、軌道に乗ればアッという間に....と、なればいいんだけど....。
やりはじめると、構想はどんどん変容していくから....
どれだけ焦点を絞れるかにかかっている。
やりたいことは沢山あるから。


10月12日
 
曲のモチーフ、断片を探りながら、照明制御用の下準備となるプログラムを組む。
大体のベースとなるプログラムは既に済ませてあったから、それに手を加える程度でプログラムは完了。
動作テストをしながら、再び曲のモチーフを探す。

この連休中にあたりをつけて、来週、一気に書き上げる....あくまで予定だけど。

このところ、一日中、自作のサウンドをループで聴いている。
凄く単純な構造なんだけど、一日聴いていても飽きない。
これをどうにか有効に取り入れたい....どうなるかな?
 


10月15日
 
来るグランプリ展「Long Autumn Sweet Thing for Spiral Garden Showcase」
のための最後の打ち合せへスパイラルに向かう。

進行状況の報告と、展示、設置のための準備等の最終的な確認、
それから「おねだり」などを....。
プロダクトが形を表している分、気分的にはずいぶんと楽になった。
あとは、搬入や設置のことなどをじっくり考えなくてはならない。
「見せ方」次第で印象は全く変わってしまうから、ここは慎重にならなくては....。
あっ、もちろん、曲作りも念入りに。

先日の営業成果が早速あらわれた模様。
その他、広報関連で朗報が色々と届く。
高揚感とともに、これまで以上のプレッシャーが....。
でもこの感じ、だいぶ慣れてきた。
そして、なかなか心地いいじゃないか!

満足の行く成果が残せなくちゃ、総て台無しだけどね。
まぁ、全責任が自分にあるというのは、楽な部分もある。
ほら、自虐キャラだから....あっ、誤解されても困るけど....
それは「オチ」をつけるための自己防衛対策の一環であり....余計わかりにくいか?
とりあえず、世の中からの印象では明朗活発で通っているはずです。
いや、最近本性が暴れつつあるようで....大いなる誤解もまた、歓迎だったり....
そんな場合もなくはない。


10月16日
 
作曲は一向に進展なし。困った。

取材も決まったのでとにかく、
この新しいプロダクトでなにか見せられる状態にしておかないと....。
というわけで、本当は一番後回しにするつもりだったSICF時の演出パターンの移植に今日は取組んだ。

照明制御用のプログラムを組む段階で移植のことも踏まえたものにしておいたから
ここまでの作業時間はそれほどでもなかった。
でも、これに改定を加えるのが本来の目的。
9面パネル分の演出を考えなくてはならない。

いつものように、作業終了時にはもう朝だ。
穏やかな光の明滅と緩い音楽の効用で、途中、睡魔が何度も登場する。
そこを堪えて今夜は前半部分までの改定を済ませた。

なんとなく、安心。
明日、新しい....いや、本来あるべき姿の「Long Autumn Sweet Thing」part 1が完成する。


10月17日
 
より豊かに、より艶やかに、もっと強く、もっと激しく――。

まさにこの言葉にピッタリの成果を得たのは、やはり深夜。
微調整まで済ませて、このpart 1はほぼ完成の状態までこぎ着けた。
これなら、自信をもって明日、取材に挑める。

SICFで発表したプロトタイプ時から比べると随分とシステム的に複雑になっている。
だが、着々と準備してきただけに、動作も快調の様子(1日9時間の展示だから不安もあるが)。
なるべく早めに作品を完成させて、綿密な動作テストの時間を確保したい。
まっ、いままでのことを考えたら、ギリギリまで曲作りしていそうだが....。
 


10月18日
 
NHK「新真夜中の王国」の取材。
なんと、インタビュー付きで取り上げてくれるとのことで、
夕方、取材クルーが我が家にやってきた。

担当ディレクターの方は、もちろん、先日営業に赴いた際に応対してくださった方。
なんとなく、僕の人と成りを理解してくれているようで話しもスムース。
狭い部屋に数名のテクニシャンが入り込むのでカメラセッティングなどに少々手間取ったものの、
流石にプロ....困難な状況を素早く回避し、次々、必要カットを収めていく。

光の明滅の効果を正確にカメラで記録するのは至難の術だ。
実際、SICFの記録映像をおさえるときも苦労したからよくわかる。
だが、今日は違った。
モニターで確認した効果は、もしかたら実物よりも素敵かも?
なんて、少し思った。
もちろん、実物は実物で相当いいけど....温度、熱も感じられるしね。

インタビューも難なくこなす。
SICF授賞式同様、また、僕が独り楽しんでいる姿が収められているはずだ。

先日、その授賞式の模様を収めたビデオを拝見する機会があった。
今日はその反省を踏まえて対処してみた....つもりなのだが....どうだろう?
やっぱり、性根はかわらないのか?オンエアーが楽しみ。

ヴァージョンアップさせたpart 1の演出....
同席してくれたスパイラル広報スタッフの受けもよかったみたいでホッとした。
「前の方が良かったですね」なんていわれたら....もうやる気失っちゃうよ。

取材終了後、展示/設営に関する報告が届く。
開演の幕は、そう簡単には開かない。


10月20日
 
和んでばかりの一日。
素敵な彼(彼女?)との出逢い。

いつでも僕たちを楽しくさせてくれるその在り方は、ある意味、アートと言える....か?

そろそろラストスパートの時期。
設置のための細かい調整を進めなくてはならない。
まだ頭の痛いことが沢山ある。


10月21日
 
作業場のレイアウトを変更。
「あっちむいてこっちむいて」状態は、これでようやく回避された。
2001年のSICFのために購入したデュアルモニターカードを端末にインストールし、
2台のモニターを配置....ちょっと不具合があるものの、照明のプログラムは圧倒的にやりやすくなった。

....と、思えたのも僅か数時間。
結局、デュアルモニターカードはあきらめ、元の状態へ復帰させる。

色々な案件が滞ったまま。
イライラはつづく。


10月22日
 
イライラは和んで解消。

10月23日
 
設置の細かいことについてアドヴァイスをいただいている方と打ち合せ。
転倒防止などの安全対策のことなどを中心に色々とご教授いただいた。
それから、見事な「格言」も授かる。

それを胸にやる気を奮い立たせ再アタックしてみると....
あれま不思議なことに、アッという間に問題解決!
これでようやく、曲作りに専念できそう。
やはり、専門家の一言は役に立つ。
感謝!

3曲目の作業にとりかかりたいのだが、
今日も2曲目の修正を念入りに行なった。
だいぶ理想とする状態に近づいている。

もう一息。


10月24日
 
和みそこね。
突然の腹痛で、今日予定していた総ての日程をこなせず。

相当なプレッシャーがのし掛かっている....といいたいところだが、
多分原因は、食べ過ぎ。
まぁ、食べ過ぎの原因もストレス解消のためだったりするわけだから
やはりプレッシャーは相当なものなのかも?
悪夢をみたりするから....作品が煙り吹いて燃え上がっている光景とか....。

とにかく、無事、幕が開くことだけを信じて....今は作業に専念したい。


10月28日
 
いよいよ追い込み。
作品の仕上に集中したかったのだが、今しかもうタイミングがないから....
展示に必要なものを買い足しに出掛けた。

細々したものをあれこれ手に入れると、やはりそれだけでも相当な出費。
またまた、予算オーバーに拍車をかける。
うぅ〜ん....打ち上げのためにキープしていた予算も....これで消え去る?か?

帰宅してからは、その膨大なパーツをひとつ一つチェックする作業。
組み立てるものは実際に試してみて不備がないか確認しなければならない。

そんなことばかりで、結局曲作りは一向に進まないままだ。
3曲目が....できそうでなかなかできない。
イメージは掴めているのに....。


10月29日
 
今日も朝から出掛ける。
僅かに設置案を変更したくなったので、そのために必要なものを手に入れるために。

帰宅してからは、昨日に引き続いてチェック作業、下準備に追われるも
夕方からは最終調整をかねて、3曲目の作曲の続きを....。

明日は、仕込み日。
午前6時には荷を積んで、出発しなければならない。
逆算すると....荷造りの時間を考えて、作業していられるのは午前2時がリミット。

....。

刻々と時間が過ぎてゆく。
作業が盛り上がり始めたのは、午後11時過ぎから。
ここからしばらく、集中して作業が行なえたのはいいのだが、
気が付けばもう午前2時を過ぎている。
完成まであと僅か....とにかく、今日できるところまでは仕上げておかねば....。

作業を終えたのは、予定をオーバーした午前4時。
これから大急ぎで荷造りだ。
午前6時には、迎えの運送業者がくる。


10月30日
 
荷造り中の慌て振り....ビデオに収めておいたらさぞかし笑えただろう。
とにかく大慌てだった。

自分で運搬する機材関係のものだけでもかなりの量。
玄関付近には、大量の荷物が既に散乱している。

午前6時に作品本体を運んでもらう運送業者が来るまでに
この機材を積み終わっていなければならない。
間に合うか?
 

休むことなく、黙々と手を動かしつづけることおよそ2時間。荷造りが完成した。
時間に余裕があれば、シャワーでも浴びてすっきりした状態で挑みたかったのに....。
あとは積み込むだけだが、ここで既に時間は5時45分。
15分で積みきれるかな?
大慌てで駐車場まで車をとりに向かう。

秋の早朝....あたりはまだ暗かった。
この空の感じ....ずっとずっと、昔のことを思いだす。
辛かったけど....今は悪くないな。

午前6時....定刻に運送業者がやってきた。
まだこちらの積み込みは終わっていない。
だが、先方も荷を積むための準備があるらしい。
その間に終わらせたい....せっせと身体を動かす。

先方の準備が整う前に、こちらも積み込みが完了した。
一息つきたいところだが、そんな余裕もない。
手が空いてすることがないのが、逆に落ち着かない感じだ。
そのうえ、テンション高め。

よし、あれをやってみよう

結構な重さのある作品本体を独りで作業台から下ろしてみることにした。
きっと今のテンションならできる....無理をする必要は全くないのにやってみたくなった。

重量上げの選手のように、声を出してやってみる。
火事場の〜は、まんざら嘘じゃなさそう。
慎重にタイミングを計って....

おぉ〜っ!

想像していたよりも楽に下ろすことができた。
もちろん、一発成功だ。

運び出すことを待つ作品....いよいよ、会場へ向かうときがきた。
 

総ての積込が完了したのが午前6時40分ごろ。
7時には会場に到着予定だったのだが、少し遅れそうなので
搬入/設置立ちあいをしてくださるスパイラルのスタッフの方に連絡。
徹夜状態での運転....確実に運び込むまでは何も始まらない....
自らをそう言い聞かせ、集中する。

平日の早朝、都内の道路状況は良好だった。
この雰囲気....いつかの朝、キップを切られたときのことを思いだす。

会場に到着したのは、7時15分頃。
既に運送業者も到着している。
作品、機材を会場に入れ終わったら少しゆっくりしよう....
おっ。早速スタッフがお出迎えだ。
挨拶を....と、車を出た瞬間、挨拶もできないくらいの寒さに気付く。
風も強くてものすごく寒い。
口が強張って挨拶も思うようにできなかった。

「おはようご....うぉぉぉぉぉぉっ」

こんな感じで皆で震え上がる....そんな「おはようございます」。

これから始まる設置作業のウォーミングアップ....
お手伝いただきながらそんな調子でのんびり搬入をこなすこと十数分....
一番気掛かりだったプロダクトの搬入も無事終了....ひとまず無事だ。身も作品も....ふぅ。

荷物の整理を....その前にちょっと休憩。
徹夜明け、もちろん空腹....
景気付けに買ってきてもらったココアを味わいながら、しばし和む(あっ、代金払ってなかった)。

ぼちぼち荷物の整理をしながら、先に提出してあった本日のスケジュールを確認。
ここでプロダクトの細かい修正などをすることにしたので、ちょっと予定は変ってしまうが
丸一日作業できるから問題ないであろうと判断。
ということで、持参したディレクターズチェアに座り込み、
外から丸見えのショウケース内で微調整のため工作を始めた。

作業をしやすいように僕の周りであれこれサポートして下さるのがとてもありがたい。
普段なら当然自分だけでそうしたことまでこなすわけで....
一日、作業環境を構築するだけで終わってしまうことだってままある。
手伝ってもらえるありがたみ....痛感。

これまで僕は、色んな人のお手伝をしてきた。音楽や表現にまつわる、色んな業種のお手伝を。
楽器持ち、機材運搬といった雑用に始まり、現場での制作のサポートやエンジニア的業務....
そして、今では相当貴重な経験、財産となっている裏方実務まで....
ただただ、やってきた流れに乗っていただけなのに、本当に沢山の貴重な経験ができた
(その総ての経験が結集して、今日、この日を迎えられているんだ....
受賞してから....いや、このプランを自分独りでだって実現できる....
そう確信して実際に実行に移せたのは、こうしたこれまでの経験があったからこそ....これは紛れもない事実だ)。

自分なりに精一杯やって、それなり以上にこなせてしまった色んなお手伝....
いや、もしかしたら、そのいずれのケースでも、かなりの貢献度を発揮していたのかもしれない。
もちろん、いつも高いプレッシャーのなかで、ギリギリのところで挑んでいたことだけれど....。
そんな経験があるからこそ、僕自身、人に手伝ってもらうことをなかなか許さなかったんだ。
僕がやってきたようなことを、僕と同じくらいの貢献度を望んでしまうだろうから。
それがわかっているから、実際にお手伝してもらうことになると、逆に非常に気を使う。
裏方業務も経験しているだけに、その側の気持ちも察することができるから余計に....。
だから、あれこれ気配りして疲れるなら、独りでやるか....いつもこんな感じだった。

そんなことだから、わずかなことでもありがたいのなんの....。
それにしても、こんな僕が、今回の展示では、本当に沢山の人たちにお世話になったものだ。
お陰で、だいぶ「おねだり上手」になったかもね。
これからはこれに「甘え上手」を加えられたら....色んな意味で楽しくなるかも?

閑話休題。

予定を変更しての設置作業になったものの、設置は計画通り、お昼に完了した。
途中から「専門家」も応援に駆け付けれくれて、厄介な作業を代わりにこなしてくれた。
心配な要素はもう何もない。
そうそう。これも「おねだり」して提供していただいた、巨大ポスターも無事貼り終えた。
久々に目にする「B0」大のポスター....あまりの巨大さに扱いにちょっとてこずったけど、
この場所に、凄く映えるなぁ....感謝です。

残すはこれから、ここで、最終調整を行なうだけだ。
音と照明の演出の手直し....それから、最終的なミックスもこの場で....。
様々な外的ノイズを考慮しながら、音のバランスを整えていく作業だ。

 

....。

 

何時間費やしただろう?
気付いたらもう、青山の街には明かりが灯されていた。
完全に日が落ちたくらいの時間にようやく現状での納得の状態までこぎ着ける。
仕上り具合を確認するため、誰もいないショウケースの中....作品の正面に座りじっと眺めていた。

穏やかだ。
丸見えの、ガラス張りのショウケース....でも、周りの視線は全く気にならない。
音と光に彩られ、求めていた「雰囲気」がこの空間を包んでゆく....
我が作品の前で独り「無」に近づいてゆく....。

疲れも手伝ったのか、持参したディレクターズチェアに身をゆだね、しばらくの間、うとうとしてしまった。
表から見た光景は、かなり滑稽なものだったろう。
見方を変えれば、それもひとつの「アート」だったかもしれない。
しかも、あの「伝説のジャージ」姿で....
そして頭には新たな定番となりつつある、ヘアバンド....髪の毛くしゃくしゃ....
場所は青山通りに面した東京の一等地だし....やっぱりこれも「アート」だな。
んっ?もしかして、実際の作品より、こっちのパフォーマンスの方が、魅力的!?
 

今日の作業は予定していた時刻に終了。
明日からの本番に備え、家路へと....。
永い5日間が始まろうとしている。


10月31日
 
初日。

開場前に、夕方からのレセプションのための余興として登場予定のスモークマシンのテストを....。
だが....心配していたとおり....スパイラル1階全域を煙りのじゅうたんで多い尽くしてしまった....
館内は大騒ぎ寸前....無理をいって試したもらったが、これじゃやっぱり実際の登場は断念せざるを得ない。
しかし、午前中の陽射しが僅かに差し込む館内に拡がったその光景は、なんとも美しかった。
ご迷惑をかけたけど、いい記念になったな。
ありがとうございました。

午前11時。
「記念」の煙のじゅうたんも姿を消したころ、いよいよ幕が開いた。
僕の名前を冠した最初の「個展」の始まりだ。

平日ということもあって、客足はまぁそれほどでも....という感じ。
今日は夕方....作品の魅力が最も発揮される時間帯からレセプションを行なうことになっているから、
そこで集客アップを期待したい。だけど、協力して下さった方や知人が主な列席者となるであろうなぁ。
とすると....ふむふむ....。

だが、結果は好転。
通り掛かりの人やプレス関係の方まで、予想に反して、とても沢山の皆さんに作品を味わってもらえた。
それも「スウィートなおつまみ」と一緒にだよ....ふふふ。

「レセプション」というスタイルがあんまり自分の中でイメージできなくて
始めるまでは???だったんだけど、実に楽しい結果が残せた。
他の例を参考にするんじゃなくて、自分なりのスタイルでやればいいんだ....
やっとそう思えるようになった。
「レセプション」の別のアイデアまで思い付いてしまったり....パーティ好きになっちゃうかも?
次の機会は、絶対あれをサーブする....もう、決めてるから。

それから、会場設営を含む準備から接待までをサポートいただいた「強力助っ人陣」に感謝!
この場を借りて、改めてお礼を申しあげます。

初日の夜にこの賑わい....いきなりテンション高めでちょっと心配だな。


11月1日
 
二日目。

客足低調。
日暮れの時間からはもりかえすも、やはり、昨夜の賑わいが忘れられず....。
でも、なかにはじっと見つめたまま、じっくりと鑑賞して下される方がけっこういらした。
一対一で作品を向かいあっている瞬間を目にしたとき....
これが理想的な在り方かな?そんなことを少しだけ感じた。

夜、西からのお客さんとともに呑みにでかける。
数年ぶりにヘベレケになった。
終電を見事に逃し、タクシーで帰宅....ちょっと張りきりすぎたかな?
着衣そのままに床についた。
どんなに酔っても、全部覚えているから怖い。
この質を解消できたら、もっと違う楽しみが生れるのかな?


11月2日
 
無事、起床。
疲れは残っているものの、体調は良好だ。
シャワーを浴びてギリギリの時間に家を出る。

今日から週末....連休にはいる。
賑わいを期待したい。

午後から客足伸び気味。
夜の時間になると、一時的に異常なほどの盛況を見せること数回.... ちょっと安心。


11月3日
 
疲れがそろそろピーク。
バックルームでほとんで寝ていた。

まさにウナギの寝床のようなそのバックルームは、
無駄にデカい我が身体にはかなり堪える空間だ。
この数日、ほとんどをこの「狭い別荘」で過ごしていたわけだが、
色々と手を加えたかいあって、 4日目ともなると、なかなか過ごしやすくなっている。

ここには、使われていない本棚がある。
持参したディレクターズチェアに座り、常設のイスに足を投げ出す....
これでもかなりリラックスした状態がキープできる。
「これでヘッドレストがあればあぁ」
と、頭を後ろに倒してみる....
すると、ちょうどいい位置に、棚板が....頭をすっぽり、その本棚のある段に入れることができるのだ!
外部には絶対に見せられない姿であることは言うまでもない。
ある意味、相当「衝撃的」だ。
でも....これが意外にいい塩梅....より深い眠りが....快適だ。

この2日間、機材トラブルはない。
たっぷり眠ることができる。
たまに起きだしては会場の様子を伺う。
なかなかいい感じ。


11月4日
 
最終日。

夕方、第1回、第2回SICFグランプリ作家が入れ替わりで陣中見舞い?に来てくれた。
一昨年、去年の苦労話などをききながら、しばし談笑。
「同じ釜の飯をくった」感覚....というものは、こういうものなのかな?
差し入れにロールケーキをいただく。
家に帰ったら、「恵方巻き」ならぬ「恵方ロール」にして食べる事を約束。
どっちの方角が正しいのかわからなかったけど、とにかく約束を果たしましたよ....と、ここで報告。
それにしてもこのロールケーキ、いままで食べたなかで最高だったな。
想い出の味になったような....また食べたい。

夜....別れを惜しむようにあれこれ作品周辺を撮影する。
が....スタッフパスを家に忘れてきたため、スタッフに注意を受けてしまう。
どうやら、1階カフェのスタッフが「怪しい男がずっと撮影している」と通報してくれたようなのだ。
親切に通報してくださったのはありがたいけど、作家本人を「怪しい」ってのは....トホホホホホ。
でも確かに、搬入出日にはジャージ姿だから「怪しい」よな....グシャグシャの頭にヘアバンド巻いてるし....納得。
やっぱり、「人間は見た目だっ!」と再認識。
だけどこの先も当分、「搬入出日はジャージ」というスタイルは続いていくと思うけどね。
だってこのジャージは「伝説のジャージ」なんだから。
僕が自伝を発表するときがくるとしたら、冒頭のくだりはこうさ。

「ここに一着のジャージがある」

バカ過ぎた。

夜の時間帯は、かなり盛況だった。
その、通報された時間帯はピーク時で、そんな盛況振りの様子をカメラに収めていたんだ。
このあと作成するプロモーション用の記録ビデオに使おうと思ってね。

最後の最後まで、時間ギリギリまで熱心に見て下さった方もいて....嬉しいかぎり。
持ち込んだDMも全部はけたし、芳名帳への書き込みもかなりの量。
スパイラルのスタッフにも気に入ってもらえたようだし、成功と言える。
もし社交辞令度合80%だとしても....いやいやいやいやいや....社交辞令のはずがないさ。でしょ?

この1年の挑戦がいよいよ今日で終わる。
永い1年だった。
本当に、とてつもなく永い1年だった。
思い起こせば丁度1年前、第2回のグランプリ展が開催されていたこの場で、
第3回の募集要項を手にしたことから始まったんだ。
それから1年....去年の今ごろ、他の色んな発表の場を覗いてはジェラシーに湧いていた我が強欲なる想い....
だいぶ、落ち着いたかな?いや、まだまだ湧いたままかな?どうだろ?

いままで停っていた物事が一気に動き始める....そんな手応えから始まったこの1年....
今年の実感したこの想いを実りあるものにするためには、これから先が肝心になる。
この展示期間中も、ずっと、これから先のことばかり考えていた。
どうなるかはわからない。
だけど、何か動きだしそうな....今は、そんな予感でいっぱいだ。
この作品のこれからの展開....そしてこれからの僕の創作のこと....
その成り行きを一番楽しみにしているのは、この僕自身さ。

これは総ての始まり。
これから総てが始まる。
 

とにかく、明日また、作品を無事に引き取ってこなくちゃな。
あの巨大な代物は、しばらくは我が家で、立派な棚として活躍する予定だ。
新曲が出来上がったら、また別の美しい姿を見せてくれることだろう。
今度はどんな表情になるかな?
次の春、また逢えるかもね。

おやすみ。

どうもありがとう。

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