滞在日誌(滞在を経て今も感じ続けること)フォトログ活動記録映像

2008年度で4回目を迎えた台北市と横浜市による芸術交流事業。川瀬浩介は、同年度レジデンス・アーティストとして選出され、2009年2月20日から4月30日までの70日間、台湾・台北市にある台北国際芸術村(Taipei Artist Villageに滞在。現地の人々との交流を通じ作品を制作し、同年3月27日〜5月21日まで、個展「シーン・オブ・ライト for Taipei」を開催した。

同個展では、台北で録音した街の音と光の様子を記録した写真を用い、台北市の今を「音と光」でアーカイブ。それらを素材として再構築し、1つの映像作品として仕上げられた。普段、生活の中で耳にしている音、目にしている光景が、川瀬浩介というフィルターを通して変換され、純然たる「美」として完成された映像は、鏡のスクリーンに映像が浮かび上がるインスタレーションとして展開。それは「今を生きる自分自身の姿」と、音と光に変換された「今、自分が棲む都市」の映像を同時に見つめることを可能にし、自らを、そして都市の未来を想起させるような光景として展示された。

作品中で聴けるピアノは、川瀬浩介自らがTaipei Artist Villageにあるピアノを演奏し録音したもの。滞在中に感じた想いを刻み込むため、一音一音、丁寧に気持ちを込めて奏でられている。そのピアノを包み込むように配置された音群は、全て現地でサンプリングした音源。台北を象徴する街を埋め尽くすかのように走り回るバイクの轟音や地下鉄の改札ゲートで聴けるシグナル音、夜市の雑踏や東シナ海に通ずる美しい夕日が名物の淡水地区の波の音などがピアノの調べと共振し、実際に台北の街で耳にするそれらとはまた違った印象を与える。

日常で目にする光景や耳にする音は、決して望むべきものとは言えない。しかし、別の視点をもってある側面を切り出し再構成すると、別の何かに生まれ変わる。それは、作品の中だけで起こる出来事ではない。

目に見えるすべては――光。

光が我々を映し出し、光が世界の全てを見せてくれる。

光に抱かれ、覚えるだろう。
光は、君であることを。
君は、光であることを。

主催:BankART1929
共催:アーツコミッション・ヨコハマ(横浜市開港150周年・創造都市事業本部、財団法人横浜市芸術文化振興財団) 
機材協力:フォステクス カンパニー

Thank you very much: BankART1929、アーツコミッション・ヨコハマ、フォステクス カンパニー、日本交流協会・台北事務所、阿部乳坊、葛谷允宏、Kuo Ching Yao、東野哲史、村田峰紀、岡部友彦、福島慶介、Taipei Artist VillageVillage CafeAll artists who lived in TAV All my dear friends who supported me in Japan and Taiwan.